『ルックバック』備忘録

映画『ルックバック』を観た。

数年前に藤本タツキの原作は読んだけれどもう何も内容を覚えていなかったので新鮮な気持ちで映画を楽しめた。


私のこととつなげて

藤野が4コマ漫画を書く。
そういえば私も小学生の頃「マンガ係」として教室の後ろの掲示板に自作の漫画を貼っていた。飼っていたペットと、母方の実家のペットと、叔母さんの家のペット、従兄弟の家のペット、4匹が登場する4コマ漫画。同級生が読んでいるのをそわそわしながら盗み見していた。
初っ端からめちゃくちゃ自分語りになってしまったけれど、将来漫画家になる藤野の原体験もここにあったんだと思うと嬉しい気持ちになった。

全体通して思ったこと

アニメーションもキャラクター造形も、「キャラクター」というより人間的で生々しい分、物語がよりつらく、えぐみが増していたように思う。
藤野が京本にサイン書いた後の帰り道の動き、雨の中ランドセルがチカチカ光ってお世辞にも綺麗とは言えない、なんとも気味の悪いステップで良かった。

他のこととつなげて

藤野が漫画描いてるモンタージュのところ、Twitterでよくみるネットミームの全力でテスト受けてる子だった。こういうのが分かると嬉しい。

藤野が京本を助けたあと救急車の中でピースを掲げるシーン。これは映画『青い春』のゆきおが掲げるピースに似たものを感じた。「ウルトラ警備隊」漠然とした夢、世界平和、空虚さ。ヒーローになれたかもしれない。


おわり

物語の中に答えがあるわけじゃなく、救いもあるわけじゃ無いけど京本は確かにいて藤野の背中を見ていた。
前に進むけれど藤野は忘れるわけでも昇華するわけでも無い。
4コマ漫画が貼ってある制作部屋。それがあることは揺るぎない事実で、

最後の言葉が見つからなくなってしまった。良い映画でした。

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