癒しのヌワラエリヤ旅 -鉄道編-
今回、1泊2日でヌワラエリヤにあるヘリタンス ティー ファクトリーに行くことになった。プライベートでヌワラエリヤに行くのは初めてだったので、せっかくならと思い、コロンボフォート駅から電車でヌワラエリヤに向うことにした。
スリランカのヌワラエリヤ、エッラ方面に行く鉄道は通称「紅茶鉄道」と呼ばれており、茶畑の中を進んでいく鉄道に乗りながら見る景色が最高だと言われている。そんな鉄道は現地人だけでなく観光客も多く利用するため、今ではネットでも座席の予約が出来たりもする。
しかし、私が乗りたいと思っていた朝一番のエクスプレス列車は、ネットでも窓口でも予約することが出来なかったため、朝4時に家を出発し、電車が出発する1時間以上前に駅に到着して当日の切符を買おうと試みた。
5時半頃にプラットフォームに鉄道が到着した。しかし、鉄道がまだ完全に停止してないにも関わらず、みんな自分の席を確保するために必死で電車に乗り込もうとする。「とにかく座席を確保するんだ!」という執着が凄いのか、舌打ちと暴言が飛び交う。それはもう、私が今までで聞いてきた舌打ちと暴言を全部かき集めて煮詰めたような空間だった。
さっき切符売り場で優しく微笑んでくれたマダムも、先に切符買いなよって言ってくれたお兄さんも、同じように舌打ちをし、家族に対しては「ナギンナ!(乗りな!)」と叫ぶ姿は、驚きを通り越してドン引きしてしまった。
しかし、私もそうは言ってられない。彼らと同じように座席を確保しなければ、最悪6時間半以上立ちっぱなしになるのだから、無心で座席を確保した。乗り込む最中も、もう何人に舌打ちされたのか分からないレベルだったが、眠たかったからか、正直どうでも良かった。
通路側の座席の運命なのか、身体が小さい人間の運命なのか、横で立っている人の立派なお腹が顔に当たっている。立っているのが大変だから、ひじ掛けにもたれたい気持ちは分かるけどねーと思いつつ、けっこう気持ち悪かったので、時々肘でけん制した。こんなことになるなら席交換に応じるんじゃなかったな。
紅茶列車とは言え、ほぼ現地人しか乗っていない鉄道の中でポツンと外国人がいて、さらにシンハラ語も話せるとなると、楽しいこと以上に面倒だと思うことが多かった。
セカンドクラスで比較的お金に余裕がある人達と言えど、外国人に対して「ビザはいくらで取れるの?」「日本で働きたいんだけど、仕事はある?」「電話番号を教えてよ」としつこく聞いてくる人もいる。その上、喋ったから仲良くなった気分になったのか、ひじ掛けに座るようになったり、その家族の男の子が私の座っている座席のフレームに土足で足をかけてくるようになった。流石に足をかけられるのは嫌だったので、やめてよって言おうと男の子と目を合わせると、その子はスッと足を元に戻した。分かってるなら最初からやるなや、と思う気持ちはあったが、これがスリランカ人的な所であることも知っていたから、私は受け流すことにした。
逆に、そんなことは聞かずに、妹の話と農業の話をするような隣の席のお兄さんもいるもんだから、スリランカ人と言っても色んな人間がいるんだな、と感じる。とは言え、片方はめちゃくちゃ馴れ馴れしいスリランカ人家族で、もう片方は5分に1回はお兄ちゃんにキレる妹とその兄、というラインナップだ。普通の日本人からしたら、これを無法地帯と呼ぶのかもしれないが、そんな気持ちを忘れるためにも、ひたすら外を眺める。
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