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ちょっとづつ覚悟が決まってくる3ヵ月目

まもなくスリランカに来て3か月を迎えようとしている。そんな中で、最近色々と自分の中での「覚悟」のようなものが定まって来た気がする。


「コンテンツ」になってしまう立場をを120%利用する

何というか、自分と言う存在や自分の作品がいわゆる「コンテンツ」として消費されることが、昔から嫌だったんだと思う。だからこそ、逆に刺さらない作品ばっかり作ってたし、今も刺さったり、刺さらなかったりするYoutubeを更新している。

「面白い」とか「見てられる」って何なんだろうって、いつも思っている。何というか、自分達が「面白いもの」を消費するために、作品や人に対して無意識に欲求を求めている感触がある。私はどうもそれが好きになれなくて、いつもどこかで抵抗しているし、拒んでいる。

そういう考えもあってか、あんまり顔出しはしたくないし、ひっそりジワジワと侵食していくような存在になりたいと思っていた。それは日本だけに関わらずスリランカでも。でも、スリランカではそれすら難しいことに気が付いたのだ。

当初、私は「その土地に馴染んで暮らしていく」ことをモットーとしてスリランカ生活を始めた。しかし、馴染むことよりも逆に目立ってしまうことの方が多かったのが、正直な話だ。それもそのはず、私はスリランカ人ではなく、日本人だからだ。持ち物や行動だけでなく、肌の色だって違う。そのおかげで、どこ行っても目立つし、どのお店に行っても、すぐに自分の顔を覚えられる。もうそれはビックリするほど簡単に、皆1回で私のことを覚える。(スケジュールはすぐ忘れるのに)

そんな様子は職場でも同様で、常に写真撮影の時は目立つ場所に立たされるし、セレモニーの時もだいたい前に出される。職場的には「日本人がいる」ってことはとてつもないアピールポイントだからこそ、日本人の私はことあるごとに前に出させるのだろう。
ぶっちゃけそういう扱いも「私」ではなく「日本人」という存在がコンテンツ的に有効であるから前に出されているんだよなぁ…と思うと、ちょっと舌がザラザラした感覚になる。

しかし、スリランカで日常的に生活していると、シンハラ語を喋る日本人という存在がどれだけアドバンテージが高く、彼らの人生にとって価値のあるものなのかは、計り知れない。現地の人たちにとって、私と会話すること、仲良くなることは彼らの人生の1ページに刻まれるレベルの凄い事態であるのだ。その事実に気づき始めた時、私は自分が「日本人」として「コンテンツ」になってしまう立場を120%利用しようと考えた。というか、もはや何しても目立つなら、その状況を活用した方がよっぽど有用なように思えてきたのだ。

自分の生き方をアートとして形作ることをやめる

私は日本にいた時から作家として活動していた。自分が体験してきた古民家での暮らしや農業、そんなもの達をアートとして流通出来れば…と考えていたのだ。しかし、その考えはスリランカに来て、一変したのだ。

というのも、スリランカでの生活があまりにもザラザラで、傷ばっかり作っていくような毎日だったから、こんな大変な経験をアートとして流通させるために小さくしてたまるものか、と思い始めたのだ。
本当にスリランカでは毎日変なことが起こる。家ではホストマザーが日光消毒と言って食器をベランダに並べるし、職場では毎日事件ばっかり起こる。(ついでに私も振り回される)「No スパイス」って何故かご飯屋さんの厨房に向かって叫ぶことにはもう慣れたし、約束した時間にはだいたい来ない暗黙の了解も経験済みだ。こんな経験を、一つの額縁に入れて、ローカルの店でスリランカカレーを食べたこともないような人に「面白いですね」って言ってもらって流通させるために形作る。いや、そんなのふざけてる。

スリランカだけじゃない。滋賀でのの古民家での生活だって、こんなもんじゃない。見たこともないような大根を急に貰って慌てたり、初めて夕飯を一人で食べた時にご飯の味が分からなくなるぐらい泣いたり、色んな体験があるからこそ、そんな簡単に共感されたくないし、消費されたくない。だからこそ、アートとして流通させるために自分の生き方を形作ることをやめようと思ったのだ。もっと実直に生々しく、自分の生き方を見せていくべきだと考えるようになった。

もちろん、他者にそれがアートとして理解されるのは良いと思う。だた、私は一貫して自分の生き方を「アートとして」意識的に形作ることをやめようと思ったのだ。だって、私の世界はアートよりも広いのだから。

前項のどうやってもコンテンツになっちゃう問題しかり、自分の生き方をアートとして形作ること問題しかり、スリランカに来て3か月という期間で自分の中での大事なポイントに気付けたのは本当に良かったと思っている。これからの21か月、もっと変わって大きくなるためにも、今まで以上に私は前に出ようと思う。

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