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スリランカに来て2週間

私はこれからスリランカに2年ほど暮らす予定だ。しかし、海外で生活した経験はなく、過去に海外旅行に行ったのは大体先進国と言われる国。私にとって未知の国であるスリランカ。その土地に降り立って約2週間ほどの短いながらも濃い2週間を振り返ろうと思う。

入国審査でナンパされる

事のはじまりはスリランカの空港に到着し、入国審査を行った時からだ。パスポートを見せて入国審査官に「どれぐらいの期間いるの?」と聞かれたことから始まる。
私はスリランカに2年いることが決まってたので素直に「2年」と言った。すると審査官に「2年?それじゃあビザ更新しないといけないね(意訳)」のようなことを言われた。今回、スリランカに来るにあたって、ビザやらパスポートの手続きやらは別の人がやってくれていた為、そんなこと言われても私は知らない。「そうなの?ちゃんと更新するよ」と拙すぎるシンハラ語で言っても上手に意思疎通が取れる訳でもなく、ただただ時間だけが過ぎていく。一緒にスリランカに来た人たちはどんどんパスしているのに、私は何でもこんなに時間が掛かっているのか、分からないまま、ただただ焦った。

すると、ビザ関連の質問をしながらも入国審査官は他の質問をしてきた「スリランカで何するの?」「どこに住む予定なの?」正直に仕事のことを話したら、どんどんその話を深堀してくる。「人に教えることは好き?」とか…。もはや訳分からない私はとにかく聞かれたことに応えるしかなかった。
しかし、そんな私でも少し時間が経つと状況が分かってくる。この人(入国審査官)お喋りしてるだけだなぁ…と。そして途中から「大丈夫だよね?良いよね?」と審査官に言い続けていた。そうすると入国審査官はビザのことをゴニョニョ言い出す。そして小さい紙に何やらメモを書いて渡してきた。「これ、僕のワッツアップの番号だから」と言ってきた。私は適当に流そうとしたら「連絡してね、分かった?(意訳)」のようなことを言われた。そんなこんなで、無事に入国審査をパスした。

とはいえ、少々ハッピー野郎だった私は、ビザのことについてこの番号に掛けて聞けってことなんじゃないかと最初に理解した。そして、バカ正直に一緒にスリランカに来た人に聞いてみたら「それナンパだよ」と言われた。

とにかく何でもビビってた

入国審査ナンパ事件があったせいか、私は入国早々に戦々恐々としていた。すべての人が敵のように思え、ホテルでも隠しカメラや盗聴器がないか、到着早々探してしまったぐらい。
その時は外の道を歩くだけも精いっぱいで、現地人の視線が怖く、早く目的地にたどり着きたい、ホテルの部屋に戻りたい一心だった。あまりにも外に出ることにビビっていた私はスリランカに来た旅系Youtuberの動画を見て、勇気をもらっていたほどだ。

真っ白であることについて考える

滞在しているホテルのタオルはいつも微妙にくすんだ白色をしていた。そういえば、スリランカでは白い服はどんどん黒くなるって言われてたなぁと思いながら、ベッドを見ると、シーツのシミを発見する。
たぶんこれは洗っても落ちなかったやつなんだろうなぁ、と思いながら、そのシミをまじまじと見ていると、逆にシミ一つでクレームが入っちゃう日本って凄いんだなと思い始めた。

安いローカル飯はだいたい辛い

旅でスリランカに来たのなら、少し状況は違ったのかもしれない。ホテルで美味しいビュッフェで生野菜やフルーツをいっぱい食べてたかもしれないし、お高いアフタヌーンティーセットを楽しんでいたかもしれない。しかし、私はここで生活しなくてはならないので、一般的な旅行客が行くような所には頻繁に行けない。月の生活費にも限度があるので、それをやりくりしながら今後の住居移転に備えて少しでも消費を抑えたいところだったのだ。
そんなこともあり、SLr300ほどのライス&カレーを食べる。これがまた辛かった。めちゃくちゃ辛くて、昼ご飯のつもりが昼夜ごはんとなったぐらいだ。

3日ほどお腹が緩くなる

急激な環境の変化や食事の変化のせいか、スリランカに来て3日ほどはお腹がゆるゆるだった。しかも、日本では胃腸の調子が悪い時に常飲していたミントのハーブティーが全然売っていないのだ。
やっとの思いで見つけたスペアミントティーも、20パック入りでSLr1000。(日本円で500円ほど)日本で買ったほうが安くないか?と思い始め、中々手が出ない。そして、最終的にスーパーで買ったフレッシュのミントを自分の部屋で水耕栽培することで、自らのミントティー分を供給しようと考えた。

現地の人曰く、スリランカはミントをあまり栽培していないようで、だからこそミントティーの数も少ないらしい。でもスーパーにはフレッシュのミントが売っているという不思議な世界線である。

スリランカのウォシュレットは結構便利。

スリランカではトイレットペーパーを日常的に使うことがあまりないそうで、ローカルなトイレではトイレットペーパーが置かれていないことも全然あるそうだ。そして、紙自体がそもそも高いため、トイレットペーパーやティッシュペーパーのようなものが日本以上に貴重なものである。
そんな中で、私はお腹がゆるゆるだったわけだが、この時も沢山トイレットペーパーを使うまいと考えていた。そこで、現地の人はよく使っているという噂のウォシュレット?のようなものを使った。これ以上詳しくは語らないが、とにかく便利で、紙の節約に役立った。

ローカルの店で軽いぼったくりにあう

とある休日。滞在しているホテルから近いローカルな店で晩御飯を買った。そんなにお腹が空いていなかったので、ライス&カレーではなく、ロティぐらいにしておこうと思って、ロティを2枚注文する。注文前に「1枚いくら?」と聞いたら「SLr100」と返ってきた。「じゃあ2枚ください」と言って500ルピー札を出した。すると、何故か200ルピーしか返ってこなかった。おかしいと思って、不思議な顔をしていたら、「1枚SLr150だから2枚でSLr300でしょ?」と平然と言われる。
いやいや、最初に1枚100ルピーって言ったやん、と思いながらも店の中にいる人は全員男性、しかも全員で私のほうを見ている。これは変に言い返して暴行されたりしても嫌だなぁと思い、そそくさと店を出た。
首都のコロンボの人は外国人のことをカモだと思って接していると誰かから聞いたが、今回の店は本当にそんな感じで、少々悔しかった。しかし、本当はこんなことが日常茶飯事なんだろうなぁと思う。

ちゃんとお釣りを返してくれない

トゥクトゥク(スリーウィラー)にしても、小さなお店にしても1ルピーぐらいのお釣りになると、ちゃんと返してくれない。スーパーなどでは、細かいお釣りを返してくれる店もあるが、基本的には1~5ルピーぐらいは割愛してざっくり計算する店が多い。逆に、ざっくり計算するため細かい金額を払わなくても良い場合もあったりする。
言ってしまえば、得する時もあれば損する時もあるって感じで、双方経験していくと、そうやって小さいお金は循環していくのだなと思って、気にならなくなってくる。

でも、優しい人はいる

スリランカに来たばかりのころなんて、まともにシンハラ語は喋れないし、現地人たちの暗黙の了解的なものは分からない。そんなピヨピヨ日本人なのに、何も言わず、すごく良くしてくれる人もいる。
とあるマーケットの近くにあるセルフサービスのライス&カレーを食べに行った時、私たちが食べ終わったカレーの皿をお店の人は何も言わずに下げてくれた。日本ではかなり当たり前ことだったので、その時はなにも思わなかった。しかし、お店を後にする時、食べ終わったカレー皿は入り口付近にある水場で洗って、返却口に戻すまでをお客さんがやっている姿を見て、店員さんの無言の気遣いに気づいた。

とにかく何でも甘い

食事はけっこう何でも辛いのだが、お菓子になると急に激甘になる。ちょっとしたお菓子やジュースなんかも、とにかく甘くて、興味本位で見てみた成分表示の砂糖の量を見て驚いた。

いわゆるドリップコーヒーがない

スリランカはいわゆるお茶の国なのだが、昨今ではスリランカコーヒーというものも話題になっていて、現地に来たら一度飲んでみようと思っていた。しかし、ここに来て、最初に困惑したのは日本でよく使われているドリップコーヒーがなかったのだ。あったのはインスタントのコーヒーと粉コーヒー。私は粉コーヒーというものに初めて出会ったのだが、この国では日常的に粉コーヒーでコーヒーを飲んでいるらしい。という訳で、私もスリランカコーヒーデビュー。

無邪気な感想を持つこと、上から目線のYoutuber

こうやってご飯が辛いだの、お菓子は甘すぎるだの、色々言いたいこと私はけっこう無邪気に言っていたのだが、これって現地の人が聞いたらどう思うんだろう?と思い始めた。逆に外国人が日本食のこと甘すぎるよね~とか(本当にスリランカの人はそう思うらしい)醤油味ばっかりとか言われたら、自分のことではないとは言え、ちょっと気になるよな、なんて思い始めた。
そんな時にスリランカに来たYoutuberの動画を見ていた。彼は経営者のようで「スリランカには~が足りない、○○もない、△△もない」なんて車窓の景色からアレコレ言っている。その後に「足りないものが多いということは投資のしがいがあるということです」と彼は言った。なんとなく、私はその言葉にカチンと来た。恐らく、彼が今の私をもっと大きく肥大化させた人のように思えて、それで腹が立ったのだ。ローカルな店でカレーも食べたことないくせに、スリランカ人の友達なんて一人もいないくせに、そんなあなた(私)に何が分かるんだってね。

අපිアピ(私たち)という概念

スリランカは日本と同じ農耕文化が土台となって出来上がった文化らしく、අපි(私たち)とそうではないもの(外の人、外国人)の差が激しい。例としては、同じ店で一つのココナッツを買っても現地の人は100ルピーでも外国人観光客には500ルピーで売ったりすることなどがある。他にも、お店や施設に行った時に、その場所に自分の友達なんかがいると、びっくりするぐらいスムーズに手続きが進むそうだ。
なんとなく、滋賀の集落で「私たち」的なものを感じたり、体感した経験があったからこそ、අපි(私たち)になることの難しさだったり、一定の期間が必要なのを感じる。

現地人のキッチンにあったドンキの胡麻ドレを見て泣く

私が実際に2年間ホームステイする家に一足先にお呼ばれする機会があった。その時に一緒に朝ごはんを食べたのだが(朝8時集合だったため)、その時にキッチンに置いてあった胡麻ドレッシングを見て、無性に泣けてきた。今まで、あまり寂しさを感じずに生活してたけど、人間って本当にどこで寂しさを思い出すか分からない生き物なんだなぁと思った。

次にホストマザーからආදරෙයි(愛している)と言われて泣く

ホストファミリーの家にお邪魔した時は、生活圏内でよく使うであろうお店を一緒に見回ってくれたり、親戚のお誕生日会に一緒に連れてってくれたりした。その時にホストマザーがいつも私を輪の中に入れようとしてくれて、その優しさだけで私はもう泣きそうだった。
スリランカに来て約2週間、අපි(私たち)よりもපිට(外の人)であることを感じて、自分自身も意識していたからこそ、あまりの驚きと感動とで気持ちがいっぱいだったのだ。
その後、ホストファミリーの家を後にし、帰宅したころ、自分宛てにホストマザーから「私たちはあなたを愛している」とメッセージが来た。たぶん、このメッセージだけで30分ぐらいは泣いた。

そしてやっぱりお釣りをごまかされる

ホストファミリーの家に行く道中で、初めてのローカルバスに乗ることに成功した私は、次の日もローカルバスに乗ってお出かけをした。その時はかなりの近距離移動だったので、30ルピーほどだと何となく運賃も予想が付いた。そして、コンダクターに50ルピーを渡したのだが、お釣りが10ルピーしか返ってこなかった。
「はて…?」みたいな顔をして、お釣りをもらうために出した手を引っ込めずにそのままにしていたら、コンダクターがお釣りを20ルピーにしてくれた。今までなら、おいおいって思う所だが、これがスリランカなんだなと最近は感じられるようになった。

でも優しい人も多い

とはいえ、優しい人も多いのは事実だ。例えば、同じバスのコンダクターでも私が勘違いして違う路線バスに乗ってても、何となく私の最終目的地から一番近いバス停を教えてくれる人もいる。さらに、スリランカのローカルバスはわりと乗車時と降車時がスリリングなのだが(バスがちゃんと止まらなかったりするから)、変に焦って降りようとする私をコンダクターとおばあちゃんの二人掛かりで止めてきたりすることもあった。(その時はちゃんとバスも止まった状態で降りることができた)
そういう経験をちょこちょこしていくと、何となく怖いだけじゃないスリランカに触れている気がして、常日頃よそ者であることを意識している私にとっては嬉しいし、有難い。


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