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今更だけどアナ雪について


※「アナと雪の女王」のネタバレと個人的な感想を含みます。

娘(5歳)がまたアナ雪にハマっている。
3歳くらいの頃は冒頭の、まだ小さいアナとエルサが魔法で遊ぶシーンしか見れなくて、少しシリアスなシーンに入ると途端に泣き出してしまっていたのだけど、今は最初から最後まで泣かずに見ることができる。時々泣くけど。
映像も歌も綺麗だし、娘の成長も感じられていいのだけど、みているとどうしてもハンスの描かれ方と劇中での扱いに疑問が残ってしまう。

前半のハンスのことを述べると、ハンスはアナと恋に落ちて、馬と仲良しで、アナがエルサを追った後には国を任され、人々のために毛布や温かいスープを用意する。そして、アナに何かあったらしいとわかると、すぐに探しにいき、そこでウェーゼルトンの兵士に対して魔法で攻撃をしているエルサに向かって字幕では「化け物になってはいけない」と言ってエルサをハッとさせる。

とても、精神的に成熟している人に見える。
なのに後半180度性格が変わって、己の利益のためには人も殺せる悪人になる。

別に調べたわけではないのだけど、個人がプラスアルファの利益を求めるために実行する殺人というのは、レアケースなんじゃないかと思う。どちらかというと、ゼロに戻るために、失われた何かを補うために、やむおえず犯してしまう、と言うのが多いんじゃないだろうか?
プラスアルファの利益を求めて殺人を犯すって、なんだか、精神的に未熟な発想のように思える。リスクと利益が釣り合わないような気がする。
中には人を殺すことそのものを目的とする場合もあるかもしれないけれど、そうでない場合は、誰だって「人殺し」になるようなリスクは犯したくないのではないか。利己的に考えても殺人という罪はリスキーすぎるように思う。

ハンスだって、わざわざ悪人にならなくても、人々の信頼は勝ち得ていた。王になることが目的だったとしても善人のままで結構近いところにいたはずだ。
エルサが生き残ったとしても、アナと協力しあって、エルサから認めてもらえるように頑張れば、実質2位のポジションでいられる。
前半のハンスのような成熟した精神を持っているのであれば、もし「王になりたい」という下心があったとしてもこの方向を選択する方が理解できる。

そしてアナとキスをしたときに、
「あれ?呪い解けないね?」
ってなって、
「実はもしかしたら僕には下心があるのかも知れない…」
とか喋らせれれば私は結構好きな展開になるかも知れない。
そしたらアナは持ち前のあの軽いキャラで
「や、あるよね、下心!人間なんだもん、仕方ないって、いいよいいよ、私たちこれからいいお友達になろ♪」
とか言わせたら最高だな、と思う。

でもアナは瀕死だ。
ここから先の展開をどうすればいいか、少し妄想してみることにする。
改めて、「お友達としてやってこー♪」なノリのアナとハンスのもとへ、オラフがやってきて、ウェーゼルトンのあのメガネの人がエルサを殺そうとしていると知らせる。瀕死のアナはハンスの力を借りながらエルサを見つける。しかし今にも殺されそうである。それで、アナは自らを犠牲にしてエルサを助ける。そのアナの真実の愛により呪いが解ける。
これで本筋に戻ってこれた。
いや、でもこれだとクリストフが後半空気ではある。
なるほど。クリストフ問題が浮上するのか。
あ、最後のエルサを助けるシーンで、クリストフがちょっと協力してくれればよさそうだ。スヴェンもいるしやっぱりシチュエーションとして吹雪の屋外がいいだろう。
クリストフはハンスを見て「こいつがアナの言ってた王子か…」と思うのだけど、のちに2人は親友になるので、実際の本編でクリストフがアナにした質問「(ハンスの)親友の名前は?」の本当の答えは「ジョン」ではなく「クリストフ」になるという伏線回収もできる。

もしクリストフとアナをどうしてもくっつけなければいけないなら、2作目でくっ付ければいいと思う。お城にはエルサとアナとハンスとクリストフが楽しく暮らしているところから始まって、ハンスがこっそり「お前、アナが好きなんだろ?」みたいなことをクリストフに投げかける。
アナとエルサが国を守る縦軸と、クリストフの告白大作戦(withハンス)という横軸で構成される。
最後はアナが王になるので、いろんな意味でハンスに向かって何かしらのギャグ的なセリフも生み出せそうだ。

我ながら悪くない気がする。
ハンスが、精神的に成熟した王子様キャラから、三枚目キャラに片足突っ込むような変貌は割と魅力を増す気がする。自分の弱さも知ってる王子様。いいよね。

もしかして、ヒロインが本命じゃない相手とキスしてしまう状況を避けたかったのかな?とも思う(私は気にしないけど)。もしそうだとしても一作目ではクリストフと結ばれず、二作目まで時間が空いているので、それで、まあいいんじゃないかな、と思う。何が?わかんないけど。

ウェーゼルトンのあのメガネの人は割と最初から幼稚そうな精神で描かれているので、まあ最後まで利己的な動きをしても違和感がない。

でも檻にはぶちこまないでほしい。

実際の本編ではハンスが最後、檻にぶち込まれるのだが、ここもどうしても納得いかない。普通に檻に入れられるのではなく、ぶち込まれるのだ。このぶち込まれる部分に対して納得いかないのである。
エルサに「化け物になってはいけない」と言ったハンスを、檻にぶち込むのはどう考えても化け物のやり方ではないか?
ネットではよく「ドラえもん」で描かれるしずかちゃんの入浴シーンが話題になる。
私としてはなぜしずかちゃんの入浴シーンが描かれるか、理解できてしまうところもあるし、原作の時代ではそれがまだ問題視されていなかったのだし、無闇にそこだけ省けばいいとは思わない。
が、やはり子どもに見せたいとは思えないシーンである。なので正直、ドラえもんは最終回を迎えるべきなんじゃないかな?と思っている。変えるのではなく終わって欲しい。そして新しいものが出て来るべきだと思う。

ハンスが檻にぶち込まれるシーンは、私の中ではそのしずかちゃんの入浴シーンと同じくらい、子どもに見せたくないシーンだ。(とはいえ、また別の信条に基づき、ドラえもんも、アナ雪も、娘が見たいといえば見せるけど)

あの最後のシーンは、悪いことをした人間には無闇に攻撃してもいいというメッセージになってしまう気がする。悪いことをしたように見える人間が無闇に多数から攻撃されがちな今のネット社会では、やはり、悪いことをした人間は法律によって裁かれるのであって、多数で無闇に攻撃してはいけない、とこれからの世代に伝えなければいけないはずだ。
だから、あのウェーゼルトンの人もちゃんと人道的に連行されてほしい。
そもそもあのウェーゼルトンの人は「ウイルスタウン」と国名を間違われ続けていて、最初から最後まで尊重されていない。国名を間違われ続ける、という描写はかなり失礼だと思うのだけど、私も名前を調べもせずにウェーゼルトンのメガネの人と言っていて失礼極まりないので、今調べたら「ウェーゼルトン公爵」だそうだ。調べなきゃよかった。

まあ、とりあえず私の書きたかった部分は書けた。
正直「アナと雪の女王」という映画は、私の中ではそんなに、なんというか好きでも嫌いでもない映画で、絵や歌は綺麗だな、と思う、それだけだった。でもエンドレスで見たがる5歳児と生活していると、どうも「嫌いな映画」に近づいていって、私はこの映画のどこが嫌いなんだろう?どういう展開だったら私はこの映画を好きになれるかな?と何度も考えてしまっていた。

今回ノープランで書き始めたけれど、まあこれだったら納得できるかな、というところまで見つけられて満足した。
が、もしこの私の妄想した展開が実際の本編だったら、それはそれで、
「なぜウェーゼルトンのあのメガネの人はあそこまで幼稚に描かれたんだろう?幼稚な人は意外と殺人みたいなことはできないんじゃないだろうか?」
とか言って、ハンス悪役説を提案しそうでもある。
でもハンスにしろ、ウェーゼルトン公爵にしろ、檻にぶち込まれなければもうそれだけでいいや。長々書いたけど、本当に言いたかったことは一言だった。
あの檻に「ぶち込まれる」描写はダメだと思う。

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