見出し画像

No.270 「春風と恋心」

いよいよコロナ禍の長トンネルから抜け出せそうだ。この3年間、自分を褒めたいくらいに徹底して感染対策を行なってきた。その甲斐あって罹患することなく周りにご迷惑をかけずに済んだ。
「油断した時が一番危ない」
亡き父が常に言葉にしていた戒め。気を緩ませることなく基本的感染防止を続けよう。
 
春一番の季節が巡ってきた。この時期は宴席の機会が多くなる。これまで最大人数3人と頑なに守ってきたが、こちらも解禁だ。
 
先日ある宴席に出席した。そこで思わぬ人と再会する。かれこれ30年振り。一目見た瞬間にその人だと分かるほど、30年前の面影が漂っている。心地好い柔らかな春風が頬をなでる。
 
幼い頃から恋多き少年だった。初恋は幼稚園の同級生。容姿の記憶は残っていないが、「こがゆき」という名前だった。小学生から大学生まで、いつも気になる子がいた。この恋心は失せることなく社会人になっても続く。妻に出逢うまで相応の人に恋心を抱いた。
「仕事も恋もがむしゃらに!」
青春を謳歌し、若さとバカさに酔っていた頃だ。
 
再会したその人とは一度だけデートをしたことがある。その後ご縁なく30年のときが流れたのだが、そのデートで感じた甘酸っぱさが心に漂ってきた。
「お久しぶりですね」程度の会話は交すも宴席はお開き。

帰路の電車内で続く心の甘酸っぱさ。久しく感じることが無かったこの情感と優しい春風が心地好く調和する。還暦前のオジサン(初老?)でもこんな気持ちになるんだなあ。

春風と恋心、これからも年齢に関係なく享楽していきたい。


2023年4月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?