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No.278 「手紙や手間に含まれる手」

カナダに留学中の娘から手紙が届いた。中学入学と共に家を出た彼女との連絡手段は、通常はメールやLINEだ。よって、カナダの切手と日付スタンプが押されたクリスマスムード漂う封筒の差出人が娘であるとは、まったく予想もしなかった。封を開ける前から心躍った。

手紙に文字を書き、封筒に入れ、切手を貼り、郵便ポストに投函する。手紙は異国の地まで飛行機に載せられ、海を越えて運ばれ、届け先の郵便局で仕分けられ、最終地の宛先に届けられる。手紙を受け取る相手は封を開け、中の紙を取り出して読む。この一連のプロセスには多くの「手」が介在する。手紙はこれら手作業があったからこそのものであり、その過程の多さに改めて感心する。
パソコン画面上での入力作業で、瞬時に全てが完了することに慣れてしまった現代社会において、手紙の手作業が持つ価値が垣間見える瞬間だった。

メールやLINEは効率的で便利だが、情報のやりとりが主体である。対照的に手紙は手間がかかるが、「手紙」や「手間」に含まれる『手』の温かさやぬくもりが伝わる。
デジタルコミュニケーションにどっぷりと浸かっている今、手紙の手書きがもたらす温かみに触れ、手間暇かかる作業の重要性を再認識した。

メールやLINEの利便性には感謝する一方で、手紙がもたらす「手」の豊かさを守り続けていきたいものだ。

Merry Cristmas and a Happy New Year!


2023年12月

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