【官能時代小説】手 籠 め 侍 【5/12】
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饅鰻寺の本堂の離れにある風呂場は思ったとおり暗く、湿気が多く、いたるところが腐っていた。
しかし天井は高く、湯の加減は意外に心地よい。
なにせ、この山奥にある荒れ寺を求めて丸三日、山の中を彷徨きまわっていたのだ。
慎之介の躯は清められ、癒されることを求めていた。
「……ふう……それにしても……」
それにしても、なぜあの薄気味悪い和尚にせよ、あの美貌の小坊主にせよ、単に墓を見せてくれと云うだけの簡単な話