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■ 月曜、午前2時 「ほんとうにね、あたし、昔からついてないの」 電話の向こうで、カランと氷がグラスの中で崩れる音がした。 女は酔っているようだ。 「なぜそう思うんです?」おれも煙草に火を点けながら答えた。「誰と比べて、ついてないと思うんです?」 「誰って……」 女は少しムッとした声で言う。「決まってるじゃん、みんなよ、みんな」 「“みんな”って誰のことです? 抽象的ですね」 「うーん…例えば、姉さんとか、妹とか」 「3人姉妹なんですか? 『若草物語』です
前回【1/10】はこちら ■土曜、午前8時 洗面所から薫がドライヤーを使っている音が聞こえる。 目を覚ますと、自分がどえらい勢いで朝勃ちしていることに気付いた。 なんとまあ、信じられない。 昨晩あれほどやりまくったというのに。 こんなことは数年ぶりだった。 おれは上にTシャツ、下はトランクス一丁という過分にくつろいだ格好で、洗面所に入った。 洗面台にしつられられた椅子に座って、髪を乾かしてる薫の背中が見えた。 薄いグリーン色のパンツ以外、何も身に
前回【2/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■月曜、午前2時 30分 時計を見ると2時30分だった。 電話の主はどうも10代の少女のようだ。 しきりに「あの……」とか「えっと……」とかを繰り返すばかりで、一向に話が始まらない。 どうも頭の中が派手に混乱しているらしい。 電話で話をするのが苦手なのかも知れない。 おれが辛抱強く待っていると、ようやく彼女は以下の言葉をまとめ上げた。 「……あの……その……あたし……かおるっていいます」 「別に名
前回【3/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■土曜、午前0時 ベッドの上に広げられた薫の身体は、うっすらと赤みを帯びている。 大きく息づく豊かな胸の上で、乳頭はぴんと天井をさしていた。 下半身は汗とおれの唾液と、薫自身が溢れさせた液で濡れて光っている。 それに、薫は全身に汗をかいていた。 薫の汗はおれの汗のようにだらだらと流れはしない。 朝露のように、無数の玉の汗が裸身を覆っている。 薫の顔は真っ赤だった。 別に意地悪をしていたわけではないけ
前回【4/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■月曜、午前3時 10分 「い、いきなりでした……あたし、何も考えられなくなって……」薫の声は、だんだん消え入りそうになってゆく「……それで……あたし……」 薫が黙ってしまったので、おれは頭の中で電話の向こうにいる少女のことを、あれこれ想像し始めた。 声が小さいことから、おれの頭の中では、薫はとても小柄な少女になった。 小柄で、今にもポキンと折れてしまいそうなはかなく華奢な身体を持つ美少女。 顔は瓜実型
前回【5/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■金曜、午後11時30分 ベッドの上で膝を立てて横たわる薫。 「……あっ………………いやっ…………」 おれはその膝と膝の間に手を差し入れて、ゆっくりと開いていった。 かすかに薫の膝から抵抗を感じたが…… それは実に弱々しく、義務的なものだった。 「……や……だっ……」薫の二重の垂れ目が、薄目でおれを見る「……は、恥ずかしいよぅっ……」 おれは気にせず、薫の膝を開く手にぐいっと力を入れる。 「……
前回【6/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■火曜、午前2時30分 「それで……あたしの脚を……その人がグイッと……」 「グイっと?」 気を遣ってはいたのだが、声が裏返っていた。 昨日の電話から24時間ばかり……失業中でとくにやることも、考えることもないおれは、昨日みすみすと薫に電話を切らせてしまった自分を責め、後悔にあえいでいた。 しかし……気も狂わんばかりだったたおれの後悔を裏切り、薫から電話が掛かってきた。 今度はうれしさで気も狂わんばかり
前回【7/10】はこちら 初回【1/10】はこちら ■金曜、午後10時50分 「ねえ、先、お風呂に入ろうよお……」部屋に入るなり抱きついてきたおれに、薫がくすぐったそうに言う「ねえったら……ち、ちょっと待ってよ……ねえっ……」 「いや、いますぐしよう」 おれは耳を貸さずにポニーテールにした薫の髪の匂いを嗅ぎ、首筋にキスをした。 「……んっ」薫が敏感に反応する。「ま、待って……あっ」 紺のブレザーを剥ぐように脱がせて、ブラウスの上から乳房を鷲掴みにする。 見た
■ 「ふふふ……どうしたのかな? 柿崎くん……そんなに飲んだかな?」 「うっ……あっ……か、課長っ……」 身体の自由がきかない。 頭もぼんやりして、足腰が立たない。 きっと……島倉課長がお酒になにか盛ったんだ……そうに違いない。 「じゃ、そろそろ布団のほうに行ったほうがいいんじゃないかな……?」 「……まっ……まだっ……だ、大丈夫ですっ……あっ……」 ばたり、と倒れてしまった。 今は地方都市に出張中。 この部屋は島倉課長が予約した旅館の部屋。 信じ
【前編】はこちら ■ 身体は酒に混ぜられていた何らかの薬物のせいで、自由がきかない。 大声を出して誰か助けを呼ぶのは……恥ずかしすぎる。 それにこのハゲのフェラチオは……あまりにも巧みすぎた。 (あっ……ああっ……だ、だめだっ……だめです木本さんっ……) 僕が閉じた瞼の奥に浮かべたのは…… 会社ナンバーワンのエロ女、木本さんの姿だった。 (いっ……いま僕のちんちんをしゃぶってるのはっ……ハゲで変態の島崎課長じゃないっ……会社一エロい、木本さんなんだっ……