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■ その子を見かけたのは、先月の頭。 今年はじめて雪が降った日だった。 わたしが通勤に使っている地下鉄の路線は先頭から5両目の車両が女性専用車両になっている。 この路線はほかの都市部の通勤電車の例にもれず、朝の通勤時には猛ラッシュとなる。 ほんとうに痴漢が多くて、わたしも女性専用車両に乗るようになるまえは、しょっ ちゅう痴漢の被害にあった。 この路線の痴漢には凶暴で悪質なのが多い。 わたしは結構、背が低いほうで、顔つきもなんかぼーっとしてるか らか、痴漢
【前編】はこちら ■ 「……お、お願いっ……ち、ちょっと、ほんとに、やめてっ……」 彼が慌ててスカートを抑えようとする。 完全に女の子言葉・女の子リアクションだ。 あんまり派手にやると周りの人に気づかれる。 このままではわたしは、女子中学生に痴漢した変態女になってしまう。 でも、今のところ周りは気づいていないらしい。 というのも、ここまで個性的な状況をぱっと見ただけで理解できる人などそう居ないだろうし、わたしたちが感じているほど、それぞれのリアクション
■ 単線のさびしい山奥の無人駅のホームに、わたしと加藤は立っていた。 加藤はうらぶれた田舎の風景にぐるりと目をやると、 「課長、自然っていいですね」 と、心にもなさそうなことを言った。 「そうだね」 と、わたしは心にもないことを答えた。 さて、ここから旅館はしばしの距離があるのだが、この死んだような駅とその界隈ではタクシーなどつかまる筈もない。 まあ、わたしも加藤も一泊分の荷物しかない訳だし、加藤の言うように「すばらしい自然」をする意味も込めて旅館まで
【前編】はこちら ■ 旅館の自慢料理が出てきて、ビールを課長と3本くらい飲んだ。 美味しかったのか、そうでなかったのか、あんまり覚えていない。 ……まったく、課長はとんでもないエロオヤジだと思う。 まったく仕事はできないクセに。 なんかこんな風に言うと、いかにもありきたりな表現でイヤになっちゃうけど、あたしは疼いていた。 お風呂の中でされたことを思うたびに、夕食の世話をしてくれている女将さんが早く出て行ってくんないかなあ……とそればかり考えていた。