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第2種電工・技能 改良型複線図【ゾーン式複線図】 <0-1 ゾーン式の考え方>

第0-1回 ゾーン式複線図を考案した経緯

この記事は、第2種電気工事士の試験を受けようと技能試験の練習をしている方、複線図は書くべきか迷っている方、複線図が何となくしっくりこないと感じている方などへ、新しく考案した「ゾーン式複線図」を紹介するものです。
「ゾーン式複線図」は、書きやすく作業がしやすいように従来の複線図を改良したものです。技能試験における複線図に関しては、人それぞれ流儀や好みがあるかと思いますが、「ゾーン式複線図」全体でなくても、一部分でもTIPS的に役に立つことがあるかもしれませんので、是非、試していただければと思います。
※本記事は、従来の複線図を否定するものではありません。複線図を習得することは筆記試験のためにも重要です。また、本記事は、複線図をある程度理解している人を想定しています(用語や記号の説明は特にしていません)。

ゾーン式複線図とは?

複線図のモヤモヤ感

技能試験の練習で複線図を書くことにいつもモヤモヤ感がありました。本当にこういうことやってていいのか、迷いがつきまとうのです。
なぜ、そんな風に感じるのか、モヤモヤ感の原因をあれこれ考えてみたら、次のようなことではないかと思い至りました。

1.黒丸をどこに置くか迷う
接続点の黒丸をジョイントボックスの円のなかのどこに置こうかとちょっとした迷いがいつもある。

2.回路の流れをつかみにくい、見通しが悪い
複線図の線をたどれば確かに流れはわかるが、逆に言えば、たどらないとわかりにくい。つまり、ぱっと見わかりにくい(特に、電源から離れた位置の接続点の役割がぱっと見つかみにくい(慣れの問題、習熟の問題かもしれないが)。

3.埋込連用取付枠の部分は手間の割に見返り少ない
埋込連用取付枠の部分の複線図は手間がかかる割に、実際の作業の時にあまり役に立たない。というのも、複線図をもとに作業しようとしても、つなぎ方が複数あって(=正解が複数あって)、どうつなぐのがいいかなと作業中に迷いが出る。言い方を変えれば、埋込連用取付枠の部分は、複線図を書いても作業内容を決定することにはならない。

こういった複線図のモヤモヤ感から逃れるには複線図を書かないという選択もありますが、私は、複線図の書き方を改善することでモヤモヤ感を多少なりとも解消することはできないかと考えました。

複線図とは何かと改めて問う

よりよい答えを導き出すためには正しい質問、正しく問うことが肝心だという話があります。複線図に関する疑問も同じだと思います。

複線図に関してよく耳にする問いは「技能試験で複線図は書くべきか」ですが、その前にまず問うべきは「複線図とは何か」だと思います。さらに、「技能試験において複線図は何のための書くのか」です。これをはっきりさせなければ、複線図を書くべきかの議論は無意味なものになってしまいます。

では、そもそも複線図って何でしょう?
単線図の単線がケーブルなのに対し、複線図の複線はケーブルの中の芯線です。
単線図で書かれている線はケーブルレベルで、ケーブルの中を通っている芯線が2本であっても3本であっても、まとめて1本で表記されます。一方、複線図はケーブルの中の芯線がどことつながるかを1本1本具体的に表記します。

つまり、複線図とは「配線・結線を芯線レベルで表記する配線図」と言えます。
”芯線レベル”であることがポイントで、これによって、どの線とどの線をつないだらいいのかが、単線図に比べてわかりやすく表現できるので、技能試験の際に、複線図を書いた方が作業しやすい、確認しやすい、失敗がないという話になるわけです。
まさに、「技能試験において複線図は何のための書くのか」の答えは、この「作業のしやすさ」です。
「複線図=配線・結線を芯線レベルで表記」→「作業がしやすい」という図式になります。

「複線図=配線・結線を芯線レベルで表記」→「作業がしやすい」
図1-1

そんなこと、わかりにきったことだろうとおっしゃるかもしれません。
この図式で問題ないとも言えます。実際、多くの方が複線図を使って試験に臨んでいます。
「芯線レベルの表記」が役に立つのは間違いないことでしょう。

しかし、「作業のしやすさ」のためであれば、複線図に求めることが「芯線レベルの表記」に終わっていいのと問い直してもいいのではないでしょうか。
また、もし「作業のしやすさ」に関係ない部分があれば、「芯線レベルの表記」を省略してもいいんじゃないかという考えも浮かぶかもしれません。
つまり、こういう図式です。「作業がしやすい」を起点として、複線図とは何かを改めて問い直すということです。

「複線図とは=?」←「作業がしやすい」
図1-2

技能試験で書く複線図は、誰に見せるわけでもない、自分だけが見るものです。ならば、「作業がしやすい」に特化して、複線図をアレンジしても誰にも文句は言われません。「複線図=芯線レベルの表記」を絶対視する必要はないわけです。

技能試験において、複線図は作業指示書である

では、「作業がしやすい」ために複線図に求めることは何でしょう?
私は、「複線図=作業指示書」と捉えてみたいと思います。

図)「複線図=作業指示書」→「作業がしやすい」

「複線図=作業指示書」→「作業がしやすい」
図1-3

「芯線レベルの表記」も作業の指示につながってはいるのですが、もっと、実際の作業、やるべきことを明確にするための「作業指示書」と捉えなして、そのために複線図をどう改善していけばいいのかを考えてみたいと思います。

作業指示書としての複線図の過不足感

「技能試験において、複線図は作業指示書である」を捉えたとき、現状の複線図にはどんな問題があるのかを確認してみたいと思います。
私は、現状の複線図は、肝心なところが物足りなくて、いらないところに手間がかかると感じます。具体的にあげてみましょう。
まずは、物足りないと感じている点から……。

■物足りない点

1.せっかく複線図の書いても電気の流れがつかみにくく、ストレスの元になる
作業指示書として、案外大切なことは、今自分が何をやっているのか、その意味がわかるということがあると思います。
現状の複線図は、線をたどれば、どことどこをつなげばいいかがわかるものになっているわけですが、逆に言えば、たどらないとわかりにくく、そのため、意味はよくわからなくても、●(接続点)に集まっている線をたどってつなぐという作業になりがちです。しかし、そういった機械的な作業は微妙にストレスを伴います。
また、複線図を紹介する印刷物や動画では、わかりやすいように線の色を変えてあることが多いですが、自分で書くときいちいち色を変えるのはちょっと面倒で、接地側も非接地側も同じ色で書くと、ますます、線の様子がわかりにくくなります。

2.スリーブ、刻印の種類を特定する情報がない
現状の複線図において、●(接続点)の記号は、そこで線同士をつなぐことを表す以上の意味はもちません
しかし、実際の作業においては、リングスリーブの大きさと刻印を判断する必要があります。技能試験の解説書などでは、●のそばに「○」や「小」と添えているのを見かけますが、その判断方法は各自に委ねられています。複線図自体にはスリーブ、刻印の種類の判断の助けになるような情報はないのです。(図1-4参照)

図1-4

3.ジョイントボックス内に接続点の●をどこに書くか決め手がない
3番目のポイントは複線図の書きやすさの問題です。
複線図において、●(接続点)は、ジョイントボックスを表す円のなかのどこに書いてもかまいません。例えば、接地側の接続点は左上の方に書かないといけないとか決まりはありません。
線と線が交差するところが自然と接続点になる場合(図1-5で言えば、電源からの線と器具からの線が交差する接続点)はいいのですが、そうでない場合、みなさん、線同士、接続点同士のバランスなどを考えながら、あるいは、なんとなく、●(接続点)の位置を決めているのではないでしょうか。
実際の作業上でも、●の位置はあまり関係がありません。線同士をつないでいけば、自ずと決まっていくので、作業指示書という意味では、●(接続点)はどこに書いても問題ありません。ただ、自由度が高いのはいいのですが、私は、この決め手がない感じがどうも落ち着きません。●を書くときに、いつも”ここでいいかな”という気持ちがどこかにあります。(図1-5参照)

図1-5

次に、手間がかかる割には不要ではないかと感じている点です。

■不要な手間と感じる点

1.(繰り返しになりますが)埋込連用取付枠の部分は手間の割に見返り少ない
冒頭でも述べたとおり、埋込連用取付枠の部分は、不要と言うのは言い過ぎかもしれませんが、手間がかかる割に書いた意味があまり感じられません。
埋込連用取付枠は、接続する芯線の数が多い、わたり線があるなど、複線図を書く上で一番考えたり、手間がかかったりする部分だと思います。
しかし、手間をかけて書いた割には、作業指示書としては不充分だと感じます。というのも、埋込連用取付枠への結線は、正解の結線方法が複数ありますが、複線図はその結線方法を指定することはできません。しかも、複線図からイメージする結線方法と実際の作業では感覚のズレがあることも問題だと感じます。(図1-6参照)
複線図を書いただけでは、どの線をどの器具のどの端子につなぐのかまでは規定していないので、実際の作業の際には、改めて自分で判断しなければならないことが残ることになるのです。

図1-6

ゾーン式複線図は複線図の改良版であり、作業指示書である

以上のように、複線図を作業指示書として見た時の問題点を解決しようと工夫してみたのがゾーン式複線図です。
基本的には従来の複線図をベースとして、足りないところを補い、必要ないところを簡略化しました。
「技能試験で複線図は書くべきか」の問いに対する私の答えは、「書くか書かないかは、その人の感覚に合った方を選ばがいいが、もし、書くのならば、技能試験の適した複線図の書き方をしよう」です。

※ゾーン式複線図は、あくまで、技能試験の対策のために考え出したものであり、ゾーン式複線図があれば、通常の複線図はいらないということではありません。筆記試験の対策のためにも、通常の複線図の書き方をマスターすることをお勧めします。

では、次回は、ゾーン式複線図の概要を説明します。

Ⓒnishi morinaga

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