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【コラム】暮らしに寄りそう仏教の言葉⑪「盆(ぼん)」

私たちの暮らしの中には、実はたくさんの仏教用語が溶け込んでいます。
その言葉たちの本来の意味を紐解いていきましょう。

今回ご紹介する言葉は「盆(ぼん)」です。皆さん、今年のお盆はどのように過ごしましたか。故郷に帰省しご先祖のお墓参りをした方もいれば、日頃の疲れを癒しに旅行をしたり、家でゆったり過ごしたり…それぞれのお盆を過ごされたことでしょう。

お盆は、正しくは「盂蘭盆(うらぼん)」といいます。
今回は「盆」の意味を紐解いてみましょう。

お盆は、正しくは「盂蘭盆」といい、サンスクリット語「ウランバナ」の音写で、逆さにつりさげられるような非常な苦しみという意味です。

 『盂蘭盆経』というお経によると、お釈迦さまの弟子・目連尊者(もくれんそんじゃ)の母親が餓鬼道(がきどう)に落ちてそのような苦しみにあっているとき、お釈迦さまの教えに従って、七月十五日に多くの高僧たちに供養し、母親を救ったところから始められたものであると説かれ、そこから仏さまや祖先のご恩に感謝し、力強く生きることを自覚する行事となりました。

浄土真宗ではお盆のことを「歓喜会(かんぎえ)」とも呼んでいました。

『くらしの仏教語豆事典(下)』(本願寺出版社/著:辻本敬順)より引用

<お坊さんから一言>

私は実家が寺であるため、幼少の頃は長いお参りが退屈で「早くお参り終わらないかな。遊びに行きたいな〜」とこっそり思っていました。しかし大人になり、お盆の由来や意味を知ってからは、亡くなった祖父や親戚など大事な方を偲ぶ大切な時間になりました。

日々忙しい生活になりがちな現代の私たちだからこそ、お盆は特に、ご縁のある方々が集まってともに故人を偲び、阿弥陀さまのお救いを聞き、ご恩に感謝し喜ぶ機会にしたいものです。歓喜会とも呼ばれる機会ですので。