【インタビュー】西本願寺で働く人たち/vol.3
“これから”の西本願寺を伝える広報活動
<前回の記事>
ーーSNSを用いた広報活動をスタートして、変化したことはありますか。
衣笠:内部からの反響が大きかったですね。「SNSやったらいいのにってずっと思ってたんだよね!」ってたくさん声をかけてくれました。「こんな投稿をすると面白いんじゃない?」って意見をくださる方もいて、参考にさせていただいています。
安静:SNSでは日々のちょっとしたことも発信しているんですが、投稿に使えそうなことを他部署の人も情報提供してくれるんです。「蓮がきれいに咲いていたよ」「イチョウがきれいだったから」と写真を送ってくださる方もいて。先日は「今、きれいな虹が出てるよ!」と電話で知らせてくれる方もいました(笑)。私たちだけじゃなく、皆が協力してつくりあげている感じがしてうれしいですね。
ーー今後、どのようなことに取り組んでみたいですか。
衣笠:西本願寺のSNSをフォローしてくださっている方は、京都やお寺が好きな人が多そうです。そういった方たちが、もっと京都やお寺を身近に感じたり、実際に触れていただけたりするような投稿や企画をつくっていきたいですね。例えば、投稿に反応してくださった方の中から抽選で何人かにご参拝特別ツアーをご案内したり。企画を通じて実際にお寺に足を運んでいただき、SNSだけでは伝わりきらない部分を知っていただきたいと思っています。
安静:私はお寺に来た際に参加できる体験を増やしたいと考えています。例えば、お香やろうそくの絵付けですね。西本願寺の前には門前町があって、古くからお供え物のお菓子やろうそく、お念珠、お香など専門のお店がたくさんあります。京都のお寺を支えてきた伝統技術を体験することもできますし、西本願寺を訪れた記念にもなります。
ご自身がつくったものを家族にプレゼントしたり、お家に飾っていただいて参拝したことを時折、思い出していただいたりできるのではないかなと。また、こうした体験を通じて門前町が賑わい、地域全体が活気づくといいなと思っています。
衣笠:安永執行長の就任後に職員に向けて「アイデア出し」のワークショップが行われ、「どうすれば開かれたお寺になるか」ということを考えました。現在、各部署の職員が温めているアイデアがあるので、実現に向けて準備しています。
ーーどんどん変化していく西本願寺が見れるんですね。
衣笠:12月に新しいブランドマーク・タグラインが発表されました。来年も新たな取組みが始まる予定ですので、今後の西本願寺に期待を寄せていただけると嬉しいですね。
広報担当者から見る西本願寺の魅力
ーー広報担当者から見た、 西本願寺ならではの魅力を教えていただけますか。
安静:私は少し暗くなり始めた、夕方頃のお堂の雰囲気がとても魅力的だと思います。薄暗いお堂の中でろうそくの明かりだけで照らされた内陣(ないじん:お堂の奥)をみると、本当に極楽浄土(ごくらくじょうど)の世界みたいで。でもお堂の外に一歩出ると、途端に現実を感じます。お堂の中と外の空気感がまるで違うんです。写真では伝わらないものなので、ぜひ実際にお参りいただき体感してほしいですね。
衣笠:冬の朝のお勤めですね。私達も月に1回以上は必ず、僧侶として朝のお勤めに出るんですが、お堂には暖房器具がなく、冬は身体の芯から凍えるほど寒いんです。でも、寒さでピーンと張り詰めた独特の空気がすごく良くて。まだ薄暗い早朝、お堂と向かい合ったときに感じられる空気がとても好きです。
安静:西本願寺は、拝観(入場)料はありませんし、朝のお勤めや各法要はどなたも参拝することができます。普段、お寺に行く機会がなかなかない方も、ぜひ一度お参りいただきたいです。
ーーnoteの読者の中には、まだ西本願寺を訪れたことがない方もいらっしゃると思います。初めての方でも楽しめるポイントはありますか?
安静:毎日、境内を案内をする無料のツアー「お西さんを知ろう!」を開催しています。これは「お西のお坊さん」がガイドになって、西本願寺の歴史や見どころを案内しています。日によって担当するお坊さんが違うので、「何度参加しても楽しい!」と好評です。
ーー何度か参加して、“推し僧侶” を見つけるのも楽しそうですね!
衣笠:参加いただいた方には24種類ある「024 (おにし) カード」をお渡ししているので、それを集めていただいても面白いかもしれません。予約などはなく、当日お越しいただいてすぐに参加できます。1日に4回開催しているので、気軽に参加していただけたら嬉しいです。
衣笠:西本願寺には、写真映えするスポットがたくさんあるんですよ。特におすすめは樹齢400年のイチョウです。11月末から12月にかけてイチョウの葉が美しい黄色に染まって、落ちたイチョウの葉が黄色い絨毯(じゅうたん)のようで、本当にきれいなんです。
おすすめの撮影ポイントは、阿弥陀堂と御影堂をつなぐ渡り廊下です。ここからイチョウを撮影すると、京都タワーも一緒に撮影することができます。西本願寺だからこそ撮れる景色です。
安静:お茶所の前にある手水舎(ちょうずや)からイチョウの木に向かってカメラを構えると、水面にイチョウが映り込んで、ノスタルジックな写真を撮ることができます。今回ご紹介したのは、ほんの一部ですので、ぜひお気に入りの場所を見つけに来てください。
▼境内と建造物