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[ー閉ざされた世界ー]《短編第3話》

[1人の身体に3つの能力]
(登場人物)
雲来
アタル・タツヒコ・コハル
木下基木
ヒロキ
謎の3人組(声だけ)

場面:食堂内
子どもたちと共に夕飯を食べている。
アタル・タツヒコ・コハルはそれぞれ年の離れた子たちの面倒を見ている。
アタルは、一瞬みんなが見える位置に立つ。

アタル「よ〜〜し!みんな〜〜自分でご飯を取って食べろ〜!」
タツヒコ「(フォローするように)慌てずゆっくりで良いよ。」
コハル「(近くにいる子に)一緒に取りに行こう?(2人で取りに行く)」

周りを見て

木下「俺たちは……後で良いか」
ヒロキ「そうですね、あの子たちが取り終わってからで。」
雲来「(音も無く近くに寄る)お2人共遠慮せず……(持ってきたカゴを見せる)こちらここで作っているパンですがどうですか?」
木下「うぉ!美味そう!」
ヒロキ「ホントですね。」
雲来「(カゴを置く)置いておきます、適当に食べて下さい。(雲来は、また音も無く立ち去る。)」
ヒロキ「《音がない……》」
木下「《ほぅ〜〜》(パンを齧りながら何かを思う)」

時間が経ち、アタルがタタタっと歩いてくる。

アタル「みんな〜〜風呂の準備できてるから……(コハルの方を見る)コハル〜先に女子陣から良いぞ。」
コハル「え⁈良いの?」
アタル「おぅ……昨日は、男が先だったからな。」
タツヒコ「(2人の会話を聞きながら微笑ましい顔をして見つめる。)」
雲来「それじゃあ、私は部屋にいるね。後のことは頼むね。(アタルたちに)」

雲来が、立ち上がり部屋に向かう。向かっている音がない。
木下は、ヒロキに小声で。

木下「(スイっと立ち上がる)ヒロキ…ちょっと手洗いしてくるな。」
ヒロキ「え?……あ、はい《なぜ…報告した?》」

木下は、スタスタ歩いていく。
自室に歩いている雲来を程よい距離感でついていく木下
雲来が、立ち止まり、振り返る。

雲来「どうしましたか?」
木下「!気づきましたか……ちょっと気になったことがありましてね。聞いていいですか?」
雲来「どうしましたか?」
木下「……単刀直入に聞きますが、和尚さん能力者ですか?」
雲来「……そうですね、能力者といったら能力者ですが……」
木下「え⁈」
雲来「私は……ケルベロスという、3つの能力を宿しています。」
木下「ケルベロス?…それでって神話の動物で……能力が3つって。」
雲来「……1つ目は力•2つ目は治癒……3つ目は……これだけは、自ら危険と判断して自分の中に封印してますが……」
木下「え?どうしたんっすか?」
雲来「ここ最近…私の中の……」

食堂付近から声が響く。

雲来「⁉︎……(走り出す)」
木下「
⁉︎(後を追う。)」

2人は、声が響いた場所に着く。
雲来は、コハルに話しかける。

雲来「コハル…どうしたんだい?」
コハル「お風呂場に向かう途中で、窓の辺りに人影を感じて……」
タツヒコ「今、アタルが見に行ってます。」
アタル「(走ってくる)ハァ〜(息を整え)外には誰もいなかった……(ジト〜とコハルを見ながら)お前の気のせいじゃない?」
コハル「気のせいじゃない!」
アタル「…気のせいってことで」
コハル「気のせいじゃないから!」

2人が、口論をし始めタツヒコが間に入るが、収まらない。
その間に雲来が優しく声をかける。

雲来「コハル……怖いとは思うけどみんなとお風呂入れるかい?(不意に)アタル、この子たちを守ってくれるかな?」
アタル「え⁈俺が…」
雲来「(コハルと女の子たちをチラッと見た後)怖がってる子もいるだろうから…念の為…」
アタル「(不満そうな顔をしながらチラチラ、コハルを見て、照れくさそうに)分かったよ…風呂場の近くで見張っといてやるよ。」
タツヒコ「僕も、この辺りを見張るね。」
コハル「分かりました。(周りの女の子たちに)さあ、みんな行こう。」

コハルは、スタスタっと風呂場に行く。
雲来が、スーと自室に歩いていく。
ヒロキもタツヒコと共に見張り行った。

木下「あ、(少し考え)……」

場所が変わり、雲来が自室に入り、掛け軸を上げ中に入る。

雲来「(黒い空間の陣の真ん中に座り心を落ち着かせ)ふぅ〜瞑想を始めるか。」

雲来は、小声で念仏を唱える。
場面が変わり、少し寺院から離れた場所に謎めいた3人がいる。

3人組A「お前ギリギリだったぞ!」
3人組C「すいやせん!」
3人組B「まぁ、こっから見ても……あの寺はおれらのアジトに良いんじゃねか?」
3人組A「あぁ〜」
3人組C「見た感じ、子どもと大人1人っすから楽ですね。」
3人組A「油断禁物だ……準備はするぞ。」
A以外「(それぞれ)了解です。」

3人組の姿がスゥーと消える。


次回:4話[悪気…]

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