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偉大なる我らが1990年代。
僕は90年代に青春時代を過ごし、その時に死ぬほど音楽を聴いた。
90年代前半はインディーロックが好きで、
ディスクユニオンに足繁く通い、時にはラフ・トレードやビニール、WAVEなんかにも遠征した。
アメリカの名も無きソングライターや、スコットランドの地道なローカルバンド達がヒーローだった。冴えない人が歌う冴えない日常。でも、それが良かった。
ライブハウスで多くの人と出会い、朝までクラブで踊った。インターネットなんてまだなかったけど、沢山の知り合いが出来た。それは自分たちの世代の、自分たちのカルチャーだった。
後半の96年あたりからはクラブミュージックに傾倒し、Hot WaxやDMR、シスコなんかでドラムンベースの12インチレコードを沢山買った。ブリストル、ロンドン、デトロイト。そんな都市から、まるで旬の特産品のようにレコードが届けられた。毎月のように海外の大物DJが来日し、まだ誰も聴いたことのない本場のキラーチューンでフロアを震わせた。自分でもミックステープ作りに命をかけてた。
レコードショップ、ライブハウス、ダンスフロア。それらの場所から全ての情報とトレンドが発信されていた時代。
あれから20年弱。
日本版のApple Musicが公開された時の衝撃を覚えている。
イノベーションという言葉を身をもって感じた。聴きたい時に聴きたい曲が聴き放題、というのはまるで夢のようだったし、何よりも、もうCDを買わなくていいんだと思うと心底ホッとした。
だからそれ以降の1年くらいはSpotify含めサブスク無しの生活なんて考えられない感じだった。
でも思う。
毎日のようにバズり、拡散される誰かの曲。
満員電車に揺られながら、共有されたプレイリストを消費する日々。そして次の日にはすっかり忘れ去る。
思い出すのは、カビ臭いレコードショップで見つけた死ぬほど欲しかった7インチ盤の事。まだ誰も知らない最高にクールなあのバンドの事。新宿リキッドルームの長い長い階段。いつも見かけるあの人。このライブが終わったら帰りに声をかけてみよう。そんなドキドキ。
そんな事が全てだと感じた、あの時代。僕たちが過ごした黄金の1990年代。好きな音楽と、それにまつわる周辺事項が、まるで自分のアイデンティティのように思えた。
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