【お絵描き12】痒い思い

キミにはまだわからないかもしれないけれど、大人になると背中が痒くても自分の手じゃ届かないようになるんだ。

これは大人的な困難を寓話的に伝えてみたかっただけなんだけど、背中に手が届かないのは、ボクの老いやただの運動不足に起因するだけなんだよね。

大人になるといろいろな制約によってしたくても出来ないことが増えるんだ。

ヒーローだって、ホントは他人より身内の方が大切なのに、ヒーローという立場が彼に滅私奉公を強要する時があって。それは究極的な局面では本当に助けたい人は助けられないことも意味しているんだ。

今だってボクはキミのことを想いながら、通話ボタンを押すか押さないか逡巡した後、ボクらをとりまく周辺の事情を考慮して、ただ鳴らないスマホをじっと眺めてみたりしている。

ああ、背中が痒い話だったのに、歯痒い思いの話になっちゃったね。