企業法務系事務所アソシエイトのキャリアプラン考察(MBAを中心に) 第2版

0 はじめに(第2版あいさつ含む)


初めて法務系アドベントカレンダーに投稿します!

昨年からTwitterを開設し、同業者や法務部員の方のつぶやきを見て、自分の立ち位置(企業法務系事務所アソシエイト)で今後の自分をどう設計していくか、色々考え悩みました。

同じようなお悩みを持つ方や、今後法曹を目指す方に、私の考えや悩みを知ってもらえればと思い、今回投稿させていただきます。

ちなみにnoteは一度別アカウントで書こうとしたものの挫折経験ありです。
当時より使いやすくなってる…!!感無量です(謎の老害ムーブ)

【第2版あいさつ】
自分でも何が書きたかったのか読み返しても分からなかったので早速改訂しました(笑)もう少しMBAの中身を深堀りしようと思います。

1 自己紹介

ざっとこんな感じです。特定回避のため抽象化&フェイク入れつつですがご容赦下さい。
・(not東京、not大規模の)企業法務事務所に所属
・弁護士登録5~10年以内
・訴訟等は少なめ(手持ち20件もない)、日々の法律相談対応がメイン
・事務所の顧問先の業種はかなり広範囲。そのため対応範囲はかなり手広く、M&Aや株主総会対応から(稀ですが)刑事事件まで。強いて言えば人事労務が若干多い感じ?
・年収は1500万円くらい(もちろん額面、固定給と変動給(歩合、個人事件)が半々くらい?)

2 転職を考えた(前向きな)理由

転職を考えるに至ったネガティブな理由は挙げればキリがなくなりそう(人間関係とか、忙しさとか、人間関係とか。詳細はTwitterを見てくれよな!)なのですが、あえて前向きな理由を挙げるとすると以下が理由です。

(1) 企業のことをもっと理解したい

 普段から顧問先の法律相談には答えているものの、それが顧問先の業務との関係でどういう意味を持ってくるのか、そもそも顧問先では我々外部弁護士をどのような位置づけで見ているのかという点については一切分からないまま数年が経ってしまった、というのが第一の理由です。
 別にそんなことを知らずとも法律や実務に精通することは可能なのかも知れませんが、やはりビジネスという第一線で鎬を削る企業の動きや組織論は知っておいて損はないなー、と第三者目線でリーガルアドバイスを提供していく中で考えるに至りました。

(2) (法律事務所ないし個人事業主として)経営を知りたい

 そして何より、イソ弁の圧倒的ウィークポイントである「経営の経験値の無さ」です。私の同期にもノキ弁や独立した者は沢山いて、彼らの経営者としての立ち振る舞いや考え方には憧れるところがあります。弁護士になってからの数年間、質の良いリーガルサービスの提供に注力するあまり、自分で稼ぐという牙がぽろぽろ抜け落ちたような(元々生えていたかもわからないけれど)感覚を持つようになりました。

(3) 小括

 まぁ色々カッコいい事を言いましたが、結論として私は「職人として一生は生きていけないタイプ」で「今の事務所に飽きてしまった」と気付いた、ということでした(結局ネガティブな理由(笑))

3 MBAという選択

(1) なぜMBAか

 「2」で述べたように、ビジネスや経営を学びたいという思いを持ったものの、すぐの転職が考えられなかった私は、勉強しようという方向に舵を切り、MBAを受講することに決めたのでした。

 ちなみに、MBAを受講することに決めたもう一つの理由として、研究論文を書いてみたいという思いがありました。
 私のパートナーは修士論文・博士論文をバシバシとっていて(本人曰く「学位コレクター」(笑))、私にも常日頃「論文は自分の名刺代わりになるから書いておいた方がいい」と言っていました。
 しかしながら、上に述べたように職人として生きていけないタイプの私、法律学で論文を書ける気が全くしません(苦笑)。そこで、「法律×○○」で論文を書けるようになろうというニッチ戦略をとるに至り、その中で日々の業務にも生きうるMBAをとろう!という話になったのです。安易ですね!!(のびしろですね!のテンションで)

(2) 国内MBA・週末MBAという選択

 いざMBAを受講しようと考えても、色んな選択肢があります。もちろん最高級(質・費用ともに)は海外トップスクールでの留学ですが、共働きのパートナーと家族がいる私には(もちろん学力的にも)それは無理です。
 そうなってくると国内MBAを、となったものの昨今は国内のMBAスクールも沢山あります。大学だと一橋や慶応が、専門大学院としてはグロービスなどが有名ですが、それぞれパンフレットを取り寄せるとそれはもうどれも魅力的…(というかもう分からない(笑))
 迷いまくった結果、「週末オンラインで受講できる」「出席は単位取得に必要不可欠ではない」「論文執筆がプログラムに組み込まれている」等を理由に、現在のMBAスクールを受講するに至りました。

 MBAスクールの詳細はおおよそ以下の感じです。
  ・基本オンライン、出席しなくても最悪OK
  ・レポートやプレゼンテーション、試験で成績評価
  ・費用は2年間で300万円ちょっと
  ・MBA取得のために論文が必要

 大手法律事務所であればプログラムとして用意されていて費用も事務所持ちなのでしょうが、そういう訳にもいかないので(というか事務所には内緒なので)費用は最後まで決断する上でのハードルとなりましたが、まぁなんとかなるだろうという楽観論で応募してしまいました。てへへ。でも今となっては後悔は1ミリもないっす。

(3) MBA受講雑感

① 無知の知の極み
 
MBAを受講した最初かつ最大の感想は「自分はあまりにも何も知らないまま社会人をやっていたことか」でした。(最大とか言っておきながら記事の初版では書き忘れるという大失態)
 「WACCって何?」
 「SWOT分析って何??」
 「カスタマージャーニーって何???」の連続…
 マーケティング戦略やファイナンス知識など、もう本当に大学生以下の知識量。ビジネスの第一線で活躍する同級生の後塵を拝しまくり。

 そういえば、私が新人弁護士のころに受けた研修で、当地で即独した先輩の方が講師だったのですがその方はドヤ顔で「Googleマップで法律事務所を探して、近くに誰もいないところに事務所を出しました」と言っていて当時は「ほぉぉ!」なんて思ったものですが(決してその先生を悪く言うつもりはないけれど)、我々弁護士のマーケティングに対する意識や知識なんてそんなものなのです。もちろん一部の方は極めて精緻なマーケティング戦略をとっておられることも分かるのですが、大部分(少なくともアソシエイトの大部分)はせいぜい私のようなひよっこレベルなはず。

② めちゃくちゃ楽しい!
 ①と矛盾するようですが、知的好奇心の塊の私は毎週末ワクワクして授業を受けています。
 もちろん日々の予復習や定期的な課題は(事務所には内緒にしていることもあって)大変ですし、ボロカスに先生から批評を受ける事もありますが、自分があまりにもビジネスや経営について知らなかったことを痛感するとともに、日頃「先生」と呼ばれている自分が、改めて「生徒」になるのも悪くないなーと思っています。
 学ぶ姿勢と意欲は本当に大事(法律にもこの気持ちが欲しい…)。

③ 受講生もバラエティ豊か
 海外MBAに比べると見劣りはするのでしょうが、やはりMBAを受講する方々はかなり個性的かつ尖っている方が多い印象です。しかもその割に協調性めちゃくちゃあるっていう。聖人の集まりか。チームでの作業とかめちゃくちゃ効率いいです。超人の集まりか。
 そんな受講生の中で、唯一の弁護士としてヒューマンリソースマネジメントやネゴシエーションの授業等でちょこちょこ発言させていただいたこともあり、みんなに顔と名前を覚えてもらえたのは嬉しかったです。顧問契約も打診いただけましたですしおすし。

④ めちゃくちゃ刺さる
 ビジネスや経営の勉強とはいえ、日々の法律事務所での業務にも刺さることが多々あるMBAの授業。
 特にファイナンスの授業で先生がおっしゃった2つの発言はきっとこれからも金言として私の中で輝きを保ち続けるはず。
 また、ファイナンスの授業を受けた後にM&Aなんかやってしまうと財務やビジネスのDDで飛び交う言葉がすっと頭に入ってくるようになってきました。ありがてぇ…

4 今後のキャリアプラン

 偉そうにMBAに関して述べましたが、巷の「MBAを取得したからといって何かすぐに変わる訳ではない」というMBA評も理解しています。ましてや私が通っているのはマイナーなMBAスクールだし、弁護士×MBAってだけですぐにバリューが生まれるとも思えない。
 ただ、この資本主義社会で生きていく以上ビジネス・経営を理解しておくにこしたことはなく、ましてや今の法律事務所を辞めようと思っている自分にとっては、このMBA(MBAを学ぶことで得られる考え方、物事の見方)は資格以上の武器になると信じています。
 というかアソシエイト弁護士としてこれまであまりに事務所業務以外に視野を広げてなさすぎました…

 転職の方向性としては、家庭の事情もあってインハウスがいいなと思っています。ビジネスをより身近に感じつつ、その中で法律事務所で磨いたリーガルスキルと、MBAで学んだビジネススキルをいかにうまく融合させることができるか、自分なりに「実験」していきたいと思っています。できれば新しい取組みを一杯している企業がいいなぁ。とにかく「わくわく」したい。

 その後は…留学かなぁ。独立して故郷に法律事務所たてるかなぁ。大手法律事務所ではない自分はここらへんのキャリアプラン像(ロールモデル)が見えない(いると思うのだがこちらが見えていない)ので、手探りで進んで行くしかないんでしょうね。
 もし私のロールモデルっぽい、または「っぽい人」を知っているという方がいらっしゃれば、twitterにてご連絡下さい!死ぬほど喜びます。

5 さいごに

 とても唐突ですが、私が仕事をしていく上で好きな言葉が2つあります。(本当は3つあるのですが、3つ目は挨拶状などで書いているので特定されそうなので避けます!自意識過剰!((笑))

「いつだって時代は過渡期だし、キャンバスは真っ白なんだよ」

馬場康夫著「エンタメの夜明け ディズニーランドが日本に来た!」(講談社)

「創造的人生の持ち時間は10年だ。芸術家も設計家も同じだ。君の10年を力を尽くして生きなさい」

映画「風立ちぬ」カプローニの台詞

 一つ目は、ディズニーランドを日本に誘致した堀貞一郎氏の師匠であり、絵画展を初めて企画したほか、パリーグや民放の開局、大阪万博を手掛けた小谷正一氏の名言です。
 これは私が大学時代に初めて読んで以来、バイブルになっている本で、元気やわくわくを貰いたい日にはかなりの高確率で手に取って読んでいます。
 申し訳ないけれど今の事務所にはワクワクを感じなくなってしまいました…やっぱりワクワク大事(ワクワクがゲシュタルト崩壊起こしつつある)

 二つ目は、ご存知の方も多いと思います。映画で見た時に凄く衝撃を受けた記憶があり、それ以降「自分にとっての10年はどこだろう」と日々考えながら(嘘です、よく忘れてる)生きています。
 おそらくですが、来年くらいの転職のタイミングが、私にとっての10年のスタートなのかなーと思っています。

 本当に唐突な二つの好きな言葉ですが、結局自分は潜在的に弁護士という職業で終わりたくないのかなぁと思っています。弁護士としての仕事に意義や誇りを見出しているつもりではあるけれど、やっぱり楽しい仕事がしたい。そして私にもそんな仕事をする権利はあると思うのです。だから私は転職します!(謎の決意)

 あと、この文章でお伝えしたかったのは「国内MBAも(きっと)悪くないよ」ってことです。「MBAなんだからアメリカ、イギリスで受けないとだめでしょ」と鼻で笑う方もいるでしょうが、少なくとも無意識的にやっかみで批判してくるような方よりはビジネスや経営の体系的な考え方が身につくはずなのでそんな批判は無視しましょう。
 そして、国内MBAが本当に良いかは…私が頑張ってこれから体現していきたいと思います!!!!!(これが言いたかった!)

 最後の最後に、何の取り留めもない文章でしたが、私が転職を考えMBAを受講した経緯、今後どうしていきたいかという考えを吐き出させて頂きました。拙文にお付き合いいただきありがとうございました。
 これからもtwitterでは取り留めもない呟きを続けますが、笑って大目に見てやってください。
 それでは、寒い日が続きますが皆様におかれましてもどうかご自愛ください。


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