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【古着再構築のオーダーメイド記録と受注受付】



先日、約半年以上前に受けたオーダーを2点、納品しました。

1つ目は、ブラックオンリーの古着生地のパッチワークと、色彩生地のパッチワークで、リバーシブル仕様で作ったベスト。
2つ目は、フォーマルな生地の古着素材のみで制作したリラックスなコート(後者は納品直前に完成した為撮影記録なし)。

「オーダーメイドでの服の制作」はずっとオープンにしてたことじゃなくて、よく来てくれるお客さんから直接頼まれたら対応するようなワークフローだったんだけど、今回、nisaiとして、オープンに受注を受け付けたいと思います。

納期は受注から半年〜1年目安。1点50000円〜。

「着なくなったけど手放せない思い出深い服を、これからの人生でも着たくなるような再構築にして下さい」
「彼が20才の頃に大事にしてた思い出深い服を、40才という人生の節目の贈り物にしたいです」
「結婚披露宴としての服だけど、それっきりでしまわれるんじゃなくて、私服でも着ようと思えば着れるようなドレスを」
「人生のパートナーになるアイテムを、自分の影響を受けたゲームのセリフを刺繍で入れて」
等等

これまでに受けてきたオーダーは、こんな感じでした。
受け取る時は本当にみんな、心から喜んでくれていて、
それに見合うような服が作れてたなと、僕自身が心から思います。

「どんな用途か」「どんなものがいいか」「どのくらいの予算感か」
この3点だけでもお伝えいただければ準備は可能です。

アトリエにお越しいただき、スケッチブックを交えながら、こういう形や仕様はどうでしょうと提案したり、好みの色や、好みのnisaiのアイテムなどをヒアリングしながらデザインやメモを書き上げるところからはじめていきます。

オールハンドメイドで古着再構築のブランドだから、生地からパッチワークで作ったり、買付に向かうところからはじめるので、時間はかかります。
でもその分、一生物になると思います。

他には、ミュージシャン・アーティストからの受注、セレクトショップからの別注品などをお受けしていました。
ご希望の方はぜひ、DM or 下記メールアドレスから、どなたもご連絡下さい。

松田
mamanana003@gmail.com

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ここからは、

「受注をオープンに受けることにした理由」
「ここ数年間で取り組んだオーダーメイドワークが
 どんな風に自分の服作りに影響を与えてきたか」
「どんなオーダーを受けたかの詳細」

を記録していきます。


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「どんなオーダーを受けたかの詳細」


写真のリバーシブルベストのオーダーは、nisai初期から長年展示に来てくれているお客さんの「奥様」からの贈り物としての依頼でした。

「彼にとって、40代という人生の節目にふさわしいような、人生の後半の相方になるような服を」
「20代の頃に愛用してたシャツやジャケットの素材として一部使ってほしい」
「相反するものが一つになってるような服を」
「仕事に没頭しがちだから息抜きしやすいような服を」
「nisaiらしいものを」


服のディティールや形といった具体的な形状や仕様はあまり決まってない代わりに
「着る人にとってどういう服になってほしいかという思い」
はとても明確な方でした。

全ての思いを一着にまとめるのは難しそうだったので、
2つのアイテムに分割することで、
思いに応えるような提案をしてみました

「40代という人生の節目にふさわしいような、人生の後半の相方になるような服を」
▶モノトーン・フォーマルな生地(スーツ生地等)のみを使った再構築
「仕事に没頭しがちだから息抜きしやすいような服を」
「nisaiらしいものを」
▶袖から脇、裾に向かってボタンで開閉できる仕様にして、その着たままリラックスできるような仕様にする(完全オフではなく途中休憩も似合うような)
●最終案・フォーマルな古着素材のみで再構築したオーバーサイズなコート

「40代という人生の節目にふさわしいような、人生の後半の相方になるような服を」
「20代の頃に愛用してたシャツやジャケットの素材として一部使ってほしい」
「相反するものが一つになってるような服を」
▶モノトーンと色彩がリバーシブル仕様になった。そこに提供された古着素材を組み込む
▶長い年月の間の体型変化にも対応できるよう、ウエスト幅の調整機構を付ける
●最終案・ブラックオンリーの古着生地のパッチワークと、色彩生地のパッチワークで、リバーシブル仕様で仕立てたベスト。

そうして完成したものが、上記2点でした。

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「ここ数年間で取り組んだオーダーメイドワークが
 どんな風に自分の服作りに影響を与えてきたか」


オーダーする人、受け取る人、それぞれの人の体型、生活スタイル。思いを受け取りながら、作ること。
抽象的な「長く愛用される特別な服」じゃなくて、もっと具体的な思い、愛情、分析、デザインから取り組んで、作って、受け取ってもらう、一連の流れ。

そういう作り方は、着る人にとって「愛着がもてる服を」という根幹の思いは同じでも、「明確な体型・年齢・性別は決めずに作るnisaiの作り方」とは、結構真逆で、不慣れなところが多くありました。
(だから、これまでオープンに受け付けてこなかったのものあります)そしてだからこそ、かなりたくさんの学びになりました。

僕は独学で服作りとブランドをはじめた人間です。服の作り方は、古着を解体してつなげるところから学んで、今でも変わらず、フリーハンド裁断と手作業で作るブランドです。そうやって作る一貫したやり方こそが、他で代わりの効かない個性となって、売りになってると思ってます。

パターンを引くことも、立体裁断も、左右対称で作ることも、「頼まれて作る日々」から、はじめてやるようになりました。こういった流れで作るものを、僕は「nisaiのコレクションのアイテムとは(思想として)別物だな」と思っていたけど、近頃、この相反するような作り方が、自分の中で「一つになりつつある感覚」があるんです。

「一時的にやってるだけの別のやり方」とは呼べないくらいに、受け付けてきたオーダーメイドワークは多く、それは僕に「引き出し」を増やしてくれました。
今、僕はオーダーメイドに向き合うことで増やしてきた引き出しを、nisaiの服作りにも活かすようになってます。
「より良い服を作りたい」っていう思いに、新しい扉をあけてくれてる感覚があるんです。

これが、

「受注をオープンに受けることにした理由」

です。

これまで個人仕事と捉えてたオーダーメイドという取り組みが、nisaiのコレクション作りとも相互作用する、良いインスピレーションになってることを実感したから、という話です。

そんな感じで作ってるコレクションは7月4日から。
新宿マルイにて発表開始。
ぜひぜひこちらも遊びにいらして下さい。
あなたのお越しをお待ちしています。

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nisai 2024/2nd Collection
“for you & not for you”
新作即売展

期間:2024年7月4日(木)〜7月17日(水)
場所:新宿マルイ本館1階
時間:11:00〜20:00 (最終日のみ18:00close)
アクセス:新宿駅徒歩8分/新宿三丁目駅徒歩0分

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