一周目

THE W2回戦の1週間前くらいはなんだか、息がつまるような感じがしてた。他のプロの芸人さんのほうがよっぽどTHE Wのためにいろんなことを犠牲にして、何かをかけてるはずだ。他の学生芸人の人も、私よりはよっぽどちゃんと向き合ってるように見えてて、私なんてぜんぜん真剣じゃないような気がした。真剣じゃなにのにTHE Wに出るなんてチートみたいだって思った。なのに、夏休みはいろいろあって心もちょっと疲れてたし、どう頑張ったらいいか分からなくってあまり行動に移せなくて、気持ちだけ疲れた。THE Wが終わったら彼氏と温泉旅行に行くんだ!だからちょっとだけ!って思ってなんとか頑張った。(ちなみに、THE Wが終わってから、彼氏がいないし別にあてもないということに気が付いた。実は彼氏がいないというのもショックだけど、そんな、自由恋愛が始まって以来使い古されてるに違いない、たいして面白くもないボケを、仮にもコメディエンヌである私が知らないうちに脳内でやってたことが、とてもショックだった。つまんないしださいし最悪だ。ほんとに最悪だ。)

直前にいくつかライブに出て、ぎりぎりまでいろんな人と相談してネタを調節したりしたから、実はそれなりに頑張れてたのかもしれないけど、でも自分のなかでは、自分がずいぶん不真面目に思えてた。私はサークルの他のみんなに比べると、全然お笑いに興味がない。お笑いサークルに入ったときは、やっていくうちに興味が出て好きになるだろうって思ってたけど、どういうわけかそうでもなかった。人を笑わせることにも別に正直そんなに興味がないっぽい。好きでもないこと頑張れない→お笑いが好きじゃない自分はだめ、ってなって、自分を責めてたから苦しかったのかなって思う。

昨日つくばで、サークルのライブ(DONPAPA4周年記念ライブ 4thとともにあらんことを)があって、初めて漫才をやった。乙女ブレンドのイツキと「イツかな」っていうコンビを組んだ。実際にできたネタは、漫才って言えるかもお笑いって言えるかも微妙だけど、かんなのやりたかったことがちょっとできた。へんてこだけどイツキのキャラクターもかんなのキャラクターもたぶん活きてる。たぶん全員には受けてないけど、アンケートを見たら確実に一定数には刺さってたから良かったなと思う。イツかなでネタを作ってたら、お笑い始めたばっかりのときのドキドキとか思い出した、意味は特にないけどなんかやってみたいからこういうムーブも付け足しとくか、みたいなノリがすっごく楽しかった。

DONPAPAに入ったばかりのときは、腹話術をやるステージとお客さんが用意されてることがうれしくて、とにかくやりたいだけのことをやってた。でも、他の同期がどんどん結果を出したり、プロの芸人さんと知り合ったりする中で焦って、「お笑い」をやらなきゃ、笑わせなきゃって気が付かないうちになってたみたいだ。でも、私は誰かの好きなものを作るなんて器用なことはできないし、たぶん自分がやりたいことをやったほうが周りの人から見ても面白いタイプだ。イツキと漫才をやってみて、あーそうだったーって思い出して楽になった。一周回って戻ってきた気がする。私はそんなでいいし、そんなしかできないし、そんなのがよくできるから、パワーアップしてまた頑張る。

書いたの:にらせかんな

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