今でもまだ全然ミスiDになりたい
私は、今でもまだ、ぜんぜん、ミスiDになりたいと思っている。
お笑いをはじめたのも、次の年にミスiDに出ようと思ってて、そのときに何か自己紹介に書けることがあればいいと思ったからだ。
ミスiDに出てる子たちは、全身で素直に生きてる感じがするから好きだ。インターネットにさらされて強くなったり、強くならなかったりする女の子たちに私はずっと憧れていた。大学生になったら出ようと思ってたけれど、入学したての1年生のときはまだ化粧がうまくできなかったからやめた。そしたら次の年からはもう、開催されなかった。ずっとHPや小林司のtwitterを見たりしてたけど何にもアナウンスはなくて、もう消えちゃったのかもしれないってつい最近やっとあきらめた。化粧なんてあとからうまくなれるんだから、1年生のときにでとけばよかったな。あの子と友達になってみたかったなって、今でもTwitterを見ると思う。
さて、私はまだ大学お笑いにいるけど、大学お笑いは基本的にバトルが中心だ。でも私は、あらゆる戦いがきらいで、というか、普通にお笑いを戦わせるのって変だと思っている。なので、ミスiDという目標を失って、私のお笑いも、あと大学生活も、宙ぶらりんになっちゃった気がする。私のサークルは同期が5人しかいないのだけれど、わたし以外は賞レース激つよの男子で、彼らは少年漫画みたいな勝負の日常を送っている。私は1年生のときは5人のなかで一番強くて、外のライブにも一番呼ばれてたけれど、いつのまにかそうじゃなくなってた。いろんなところに友達はいっぱいいるけど、これといって他に居場所があるわけでもなくて、いさぎよくお笑いをやめる勇気もなかったし、なのにネタを書いたりライブに出るのはおっくうだった。Twitterやnoteにさらした自分の「アイデンティティ」は嘘じゃないけど、でもそれに縛られてお笑いから逃げられなくなっちゃったのも事実だ。逃げきれないし、すごく逃げたいわけじゃないし、でももうやる気でないかも。それでも、時々大会とかに出れば色々な人に会えるし、なんか私のことを気に入ってくれてる人もすごくたくさんいる。で、同期ほどじゃないけどときどきそれなりの結果も出せちゃう。お笑いを続けていろんな経験ができたのはたしかに素晴らしいことだったけど、つくばからの交通費についての心配とか、きもいマンスプおじさんのアイコンとかを心の底に沈めて、やればやるほどどうしたらいいかわからなくなった。
意を決して誰かに思ったことを言ってみると、あなたのことをわかってますよというそぶりでお笑いやめたらって言われて、ちがう、そうじゃない、と思った。私はそう言われたそうにしてたのかもしれないけど、なんか、そうじゃなかった。
もう4年生なのに、私だけ大した結果が無くて、サークルはなんとなく居づらいときがある。私だって結果を出したい気がする、でもあんまり勝負はしたくなくて、わがままなのだ。わたしはわたしのつくったことを、サークルのみんなに認めてほしいと思っていて、そしてたぶんサークルの人たちはちゃんと私のことを認めてるのに、やっぱり自信が持てなくて、勝手に居場所がないと思ってしまう。私がお笑いしてなくても、ノリにあわせられなくても、サークルから排除されることはたぶんない。このことはすごく幸せだけど逃げられなくて少し怖い。
なんか、ぜんぶが中途半端で、アイデンティティがふわふわしていて、それは私にはつらい。だから、ミスiDに出れたらよかったなって今になっても思うのだ。たぶん実際のミスiDはそんな万能薬じゃないだろうけど、わかってるけどすがってしまうのだ。だってやっぱり、吉田豪には会ってみたいし(実は私はなぜか吉田豪にフォローされてる)、プロフィール欄の人生でやったいちばん悪いことの欄に元カレ池に落としたって書いて大森靖子に笑われたいし、面白い女の子と友達になって遊びたいし、絶対に仲良くなれない女の子と無理やり仲良くなろうとしてみたいし、順当に嫌われたい。てかかわいいって言われたいし誰か話聞いてほしい。ゆくゆくは豪の部屋出たい。だって、どうしても、ここまで来てるけど、私、私って大したことなくないと思うから。百歩譲って大したことなくてもいいけどでもまだなんか、納得行くまで殴られなきゃもうどうしようもないのだ。
ミスiDウォッチャーをやってた高校生のとき、ミスiDのたくさんの女の子たちが恥をさらしてでも全身で感じるままに生きているのを見てた。それは今の私をこんなにしていて、これはもう、こじらせというよりは疾患に近くて、生きづらさの根源になっていて、でも、そのおかげで私は絶対に気高いと思える。もう行く方向も行きたいところも特にないから、よくわかんない謎の仙人みたくなってもっとふらふらしとくしかないかも。
かいたの:にらせかんな
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