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福島のいま

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『福島のいま』として、これまで双葉郡を取材して撮影した写真を公開していきます。 公の報道では、「こんなところが復興しました」というニュースが中心で、未だ復興できていない場所は完… もっと読む
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記事一覧

【2023年12月、小良ヶ浜取材 その1】

 2023年11月30日に富岡町小良ヶ浜地区の避難指示が解除されると報道があった。かつて何度か訪れており、そのエリアの空間線量率が高いことは知っていた。あんなに線量が高いところを、解除出来るのか? しかし報道をよく見てみたところ、その地区の6つの拠点(公民館や墓地)と、そこに至る数本の道路が解除されるだけだと知った。未だ人が住むことは出来ない。それを果たして、「避難指示解除」と明るいニュースであるかのように伝えるのは如何なものか…当然、実際はどうなっているのか、見に行かないわ

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富岡町小良ヶ浜の境界で

 2023年12月3日、富岡町小良ヶ浜松葉原。ここで1匹の柴犬を連れた男性と出会う。震災前、今は亡き先住犬と海釣りに来た思い出の場所へ行けるかと思い楢葉町から来たという。藪に阻まれ進むことが出来ず、「これで復興なんて」とこぼした。  「避難指示解除されても、アパートばかり建って、住むのは原発やゼネコンの作業員ばかり」  穏やかな表情だが、そこには静かな怒りが込められていた。カメラを抱えて夜ノ森から歩いてきた僕を見て「この現状を発信して伝えて下さい」と声をかけてくれた。勇気

『愛おしい日々』

ワールドメディアフェスティバル ドキュメンタリー<社会問題部門>で銀賞

 今朝、チェコに住むウクライナ人の友人、Mariko Gelmanさんからニュースが届きました。  2022年に僕が出展した展覧会『もやい.next』を特集した関西テレビのドキュメンタリー『もやい 福島に吹く風』が、ハンブルグで行われたワールドメディアフェスティバルのドキュメンタリー<社会問題部門>で銀賞を受賞したというのです。  この作品は、2022年のギャラクシー賞奨励賞を受賞していました。震災から10年に合わせて制作された福島中央テレビのドキュメンタリーのように、通

『境界にて』

【2023年10月17日に双葉町で採取した海水、湧水および骨などの測定結果】

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  2023年10月17日に双葉町細谷海岸にて採取した海水と湧水の測定結果について、12月4日東京新聞紙面にて報じられました。  記事掲載時点では、 海水(単位:Bq/L) ・セシウム137  0.02(たらちね) 0.05(小豆川研究室) ・トリチウム  1.01(たらちね) 1.03(小豆川研究室) 湧水(地下水)(単位:

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『私の大地』

【2023年10月17日、福島取材その4 水の採取を終えて】

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  牛舎でいくつか牛の骨や蹄を拾ってから、次はたらちねの水藤さんが「柿を調べたい」というので、柿の木のある場所まで鵜沼さんに案内してもらう。鵜沼さんの家の前の道路を隔てて東側の土地で、僕は5回目の訪問にして、そこまで入るのは初めてだった。  柿は結局、あまりにも高い位置に生っていたため採取することは出来なかったが、アケビなどが落ちて

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【2023年10月17日、福島取材その3 福島第一原発沿岸の海水および地下水、骨のサンプルの採取】

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  双葉町郡山大原山に位置する細谷海岸には、2017年の11月に初めて訪れた。この時は双葉町の大沼勇治さんに同行する形で入域した。そのころはカメラも安物のRICOHのコンデジしか所持しておらず、今見てもとても粗い写真だ。  それから約2年半後、2020年6月に再び大沼勇治さんと共に入域。その時に大沼さんに撮影してもらった写真は、絵本

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『積み重なる想い』

『FUKUSHIMA Memory and Records 20230610/11.』

 2023年6月10、11日の大熊、双葉の記録。10日は、大野駅西口を出て双葉病院入口を通り、六国を経由して双葉駅まで歩きました。帰還困難区域である大熊町の中央台交差点では、5.5μSv/hまで達しました。11日は、雨が降った影響もあって、双葉町の限定的な場所しか周ってません。寺内前阿弥陀堂が解体されたことを知ったのはこのときでした。  原発事故被災地の実際の空気というものは、復興情報は溢れても、そうでない場所の情報というのはどうしても限定的なものになります。しかし現実は、

【2023年10月17日、福島取材その2 中間貯蔵施設エリアの海岸へ】

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  出発予定の朝8時半、鵜沼さんにダイニング大川原が閉店していたことを伝えると、ショックを受けていた。「双葉町で居酒屋でもはじめようか」と話していた鵜沼さんにとって、東電社員と帰還者を合わせて1600人はいる大熊町でも3年持たなかったというのは、かなりショックだったようだ。  鵜沼さんの運転で双葉町役場へ。9時前には到着し、そこで入

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『遠きふるさと』

【2023年10月17日、福島取材その1 大熊町大川原地区散策】

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。 〜〜〜〜〜 <続き>  10月17日の朝は6時に起きた。福島にいるときはいつも朝5時には起きるが、昨夜少し飲みすぎたこともあって、この日は6時まで寝ていた。僕はホテルではほとんど熟睡出来ないのだが、この日は朝まで目が覚めることはなかった。酒のせいなのか、定宿があるいわきと違って静かだからなのかはわからない。  30分ほどで支度をして、朝の散歩に出る。大

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