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これからガソリン車が面白くなる

燃えているロウソクは、消える寸前に最も明るくなるという。夜は、夜明け前が一番暗いという。そんなふうに、何か相転移が起こるとき、起きている現象が最も顕著になる……ということがある。線香花火も、やはり燃え尽きる前が一番明るくなる。

この構造は、物理世界以外でもまま見られることだ。ぼくにとって印象的なのは、ファミコンの命運である。ファミコンは、1983年に発売され、それから2年が経った1985年、そろそろ拡張機器としての「ディスクシステム」が発売されようとしていた。ファミコンには「容量が少ない」「セーブができない」という2つの大きな欠点があり、それを補おうとしたのだ。

そうして任天堂は、ファミコン時代の最後の打ち上げ花火として「スーパーマリオブラザーズ」を開発した。それは、奇しくもディスクシステムの第一弾ソフト「ゼルダの伝説」の開発と同時平行だった。

「マリオ」には、これまで任天堂が培った「ファミコンのノウハウ」を全て結集した。ファミコンは、発売から2年経っていたため、社内はもちろん顧客からもさまざまなフィードバックがあり、何ができて何ができないか、また何が受けて何が受けないかといったことが、ちょうど分かってきた頃だった。

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