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トリクルダウンはあります

トリクルダウンという概念をご存じだろうか?

いわゆる「ネオリベ(新自由主義者)」といわれる人たちが、規制を緩和し自由競争を促進させると、トップの人が儲かって一時的に格差が拡大するが、しかしやがて彼らの儲かったお金が社会に還元されるので、全体で景気が良くなる……という考え方だ。富裕層の儲けたお金は、やがてそれ以外の人にも下りてくる、という話である。

このトリクルダウンを標語に、アメリカは近年、自由主義競争がますます激化した。これを「新自由主義」と呼んだのだが、日本もこれにならって小泉政権の時代から、新自由主義的にさまざまな規制緩和がされてきた。郵政民営化などはその象徴である。最近では水道事業も民営化しようという話などもある。

しかし、そうした新自由主義が促進された結果、社会の格差はどうなったか? ますます広がったのではないだろうか? 実際、あらゆる調査が「経済格差は広がった」という結果を示している。実感としても、お金持ちはますます富み、貧乏人はますます貧しくなったように見える。とにかく、低所得者の実質賃金は年々下がる一方だ。だから、「トリクルダウン」などという考え方は嘘だったのではないだろうか?

そうしたネオリベに対する反発意見が、数年前から起きている。ネオリベの旗振り役ともいえる竹中平蔵氏はネットではものすごく嫌われているし、その逆に新自由主義を否定する山本太郎氏のような政治家は一定の人気を獲得している。いわゆる左派と呼ばれる知識人たちは、ことあるごとにネオリベを非難する。彼らに限らず、ネットで何か頭の良さそうな物言いをしている人たちはほとんどがネオリベ批判だ。

そんな彼らの言い分こそ、「トリクルダウンはない」というものである。彼らは、そのことは今の経済格差が証明しているではないかという。

しかしながら、ぼくは彼らに言いたいことがある。それは

「トリクルダウンはあります」

ということだ。そして、「あなた方は、それに気づいていないだけだ」ということだ。また皮肉なことに、そうした左派の論客たちこそが、一番トリクルダウンの恩恵に与っているということだ。

では、トリクルダウンとは何か? 左派論客の気づいていない、トリクルダウンの正体とは何か?

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