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過去が参照される時代

これはすでにあちこちで言われているが、今は「過去の過ちが現在に響く」ことの度合いがかつないほど高まっている。小山田圭吾氏や小林賢太郎氏のスキャンダルによって、我々はそれを強く印象づけられた。

こういう現象は、今後、オリンピックだからとか有名人だからとかに限らないだろう。誰にでも起こりうる。それこそ、ぼくは今53歳だが、これから初めて会う全ての人は、インターネットでぼくのことを検索する……ということを覚悟しなければならない。そして、もしそこで過去の重大な過ちが見つかったら、ぼくの印象は悪くなり、少なくない不利益がもたらされるだろう。

この手の不利益は、かつては誰も経験したことがなかった。今まさに発生中の事案だ。そのため、対処方法も確立していない。だから、我々が自前で作り出していくしかないのだ。

では、どう作り出すのか?
そもそも、有効な対処方法とは何か?

それを考えるには、3つのステップが必要だ。

まず、1つ目のステップ。
これは誰にでも思いつくことだが、「今していることが将来参照される」ということを強く意識することだ。これからの時代は、今していることの記録が残りやすい。それを忘れないことである。

例えばぼくは、つい最近「首に装着するレコーダー(録画カメラ)」を買った。ドライブレコーダーならぬ「ウォークレコーダー」だ。今はまだ3時間くらいしか連続録画できないが、そのうち24時間、しかも数日連続稼働……なんていう機器も当たり前のように登場するだろう。

そうして、それを誰もが持ち歩くような時代になる。そうなると、友だちの前でも迂闊なことが言えなくなる。例えば差別的な発言は、たまたますれ違った誰かにネットにでも上げられたりしたら、拡散して一生消えない瑕疵になる。これまでは、カメラが回っているところだけで気をつけていれば良かったが、すぐに「いつでもどこでも気をつけなければいけない時代」が来るのだ。

まずは、そうした事実を知ることである。これからの時代は、自分のしている全てのことが記録され、のちのち参照される社会である——と。それをしっかり認識しておくことが、とても重要なのだ。

次に、2つ目のステップ。
1つ目を認識した上で問題となるのは、「ではどう気をつければいいか?」ということだ。

これは、まず誰でも思いつくのが、「うかつなことは喋らないようにしよう!」というものだ。つまり、黙っているか、表面上を取り繕う、ということである。

しかし、これには重大な欠陥がある。それは、むしろその方が、かえって問題が大きくなりかねない——ということだ。

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