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スポーニングのバス釣りを科学的に評価する

科学論文を釣り情報へ還元する第18回目の投稿です。

今回のテーマ:スポーニングのバス♂釣りを科学的に評価する

今回は日本でもおなじみのバスフィッシングについてご紹介します。
Suski, C. D., & Philipp, D. P. (2004). Factors affecting the vulnerability to angling of nesting male largemouth and smallmouth bass. Transactions of the American Fisheries Society, 133(5), 1100-1106.

今回のポイントは・・・・
①営巣中のオスが釣れる確率は70%!
②大きいサイズほど釣られやすい。


今回の論文では、産卵期(スポーニング)のラージマウスバスとスモールマウスバスのオスの釣りに関して科学的に検証しています。

スポーニング時期のバス釣りは、バスの活性が高くハイシーズンとして認識されているのではないでしょうか?

例えば、この時期はシャロー(浅場)で大型が釣れるとか、オスの攻撃性を利用して釣ろう、など色々な攻略パターンが既に確立されていますよね。

スポーニングのオスがどれくらい釣られやすいのか?となぜ釣られやすいのか?についてみていこうと思います。

①営巣中のオスが釣れる確率は70%!

今回はバスの本場、北米の7つの湖でシュノーケリングで巣を発見し、その付近で7人の釣り人による”釣り試験”を実施しています。

当然ながら、巣を守るのがオスの仕事であり、ルアーへの反応は捕食行動ではなく、外敵を追い払う「攻撃行動」であることを前提に研究が進められています。


その結果、214尾のスモールマウスバスのうち149尾(70%)、90尾のラージマウスバスのうち49尾(54%)を釣り上げています。

ルアーは3種類(ミノー→テキサスリグ→別のテキサスリグ)をそれぞれ2キャスト、計6キャスト以内にバイトしたかどうか調べていますので、かなり活性の高い状態であったことがうかがえます。

また、半数以上が1キャスト目でバイトすることがわかっていますので、かなりの攻撃性と言えるでしょう。

ではなぜこのような高い釣果が期待できるのでしょうか?

ブラックバスを含むサンフィッシュ科の共通点が、稚魚がある程度のサイズに育つまで巣を守り外敵を寄せ付けないという点です。

さらに、幼魚や産卵量が多いほど、産卵場のサイズ大きいほど、外敵に対する攻撃性が高まることは、サンフィッシュ科以外の魚類や鳥類にもみられる特徴です。

つまり、守らなければなら巣が大きければ大きいほど繁殖の成功率は高まり、子孫繁栄につながりますから、オスたちはより大きなエネルギーを割いてでも巣の守護神と化して守り抜こうとするわけです。

②大きいサイズほど釣られやすい。

大きいサイズほど釣られやすいのはなぜでしょうか?
これには2つの考え方があります。

一つ目は、先ほどの理由の発展形で、大きいサイズのバスほど抱卵量が多くなり、産卵場が広くなる可能性があります。

そのため、より外敵に出会う機会が多くなりますし、大型バスほど外敵の追い払いにエネルギー割けますかから、攻撃性が高まる可能性がありますよね。

二つ目の理由は、大型のバスほど春の早い時期から産卵に入ります、そのため、他のバスと比べても長い期間、巣を守り続ける必要があります。外敵に出会う可能性が高まるわけですね。

というわけで、大きさほど釣られやすい可能性があるわけですが、
春のより早い時期から産卵場周辺を狙うのが大型を釣り上げる定石になるのかもしれませんね。

しかしながら、北米で行われたこの研究は、ブラックバスの保護を目的に行われており、アメリカでは6月の最終土曜日までバス釣りが禁止されている地域もあるそうです。

ブラックバスは、日本では人気の高い釣り対象魚種ですが、一方で特定外来生物であるというなんとも難しい立場に立たされています。

今回はそういった意味でなかな考えさせられる内容の論文でした。
それではまた次回お会いしましょう。

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