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全体で前年比104.8%、書籍は総記・文芸書が特に好調:店頭売上前年比調査 2021年4月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(4月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。4月は1,648店のデータをもとに作成されています(3月は1,662店)。

202104前年比

4月期の店頭POS売上前年比は104.8%。前年、緊急事態宣言下で休業店が多かったことが大きく影響しています。今年も緊急事態宣言が一部地域に発せられていますが、前年と比べると地域・影響は限定的です。

引き続き「呪術廻戦」が好調に動いており、売上を押し上げています。「呪術廻戦」関連作品20点のPOS押し上げ効果は1.9%となっています。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

202104ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比100.6%(昨年83.9%)。

昨年は刊行スケジュールの乱れなどもあり苦戦しましたが、今年は前年超えを達成。中でもHiHi Jetsが表紙を飾った「Myojo」(6月号)が大きく売上を伸ばしています。また「SHO’S肉厚グリルパン」が付録についた「BE-PAL」(5月号)も人気を博しました。

BE-PAL5月号表紙

書籍

書籍は前年比107.9%(昨年89.3%)。

学参以外の全ジャンルで前年超えの好実績となりました。

学参は、昨年の一斉休校による売上急増の影響を受けています。特に4月上旬は厳しい状態が続きましたが、下旬に入り緊急事態宣言が発出された後は、少しずつ売上が上がってきています。

ジャンル別で見ると、辞典の販売ピークが昨年5月以降にずれていた影響の大きい総記、大型タイトルの影響が大きかった文芸書などが特に好調です。文芸書については本屋大賞受賞作品の『52ヘルツのクジラたち』が、昨年受賞作品の『流浪の月』を超える勢いを見せているほか、芥川賞受賞作品の『推し、燃ゆ』もペースを落とさず売れていることが効いています。

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コミック

コミックは前年比102.7%(昨年116.6%)。
昨年は「鬼滅の刃」ブームのまっただ中にあり、既刊のまとめ買いなどの影響を受けて大きく数字を伸ばしました。今年は「呪術廻戦」の既刊が引き続き売れていますが、それ以上に売れるコミックタイトルが増えてきているのが印象的です。

アニメ放映中の「転生したらスライムだった件」や「僕のヒーローアカデミア」などがそれぞれ部数を伸ばしています。

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昨年の5月は雑誌の発売中止が相次いだ一方、「鬼滅の刃」の20巻発売時に店頭で行列ができ、社会現象となった月でした。

昨年同様に緊急事態宣言下の地域も多くなってしまった5月。どのような動きを見せるでしょうか。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

前年の学参・児童書の影響を受け前年超えならずもコミックは依然好調:店頭売上前年比調査 2021年3月【日販調べ】


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