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【新春特別座談会】若手経営者が考える“本屋”のこれから

出席者:
・書店研究会 代表幹事 うさぎや 常務取締役 笹沼敬史氏(栃木)   
・同 副代表幹事 日光堂升井商店 代表取締役社長 升井修氏(北海道)
・同 副代表幹事 宮沢書店 専務取締役 宮澤隆治氏(千葉)
・同 幹事 久美堂 代表取締役社長 井之上健浩氏(東京)

出版業界全体における変革が急務となっているいま、次代を担う若手書店経営者は、現状の問題点、今後の展望をどのように捉えているのか。出版流通学院の修了生が自己啓発を図るための組織「書店研究会」の幹事を務める4氏にお話を聞いた。

※座談会は、新型コロナウイルス感染予防対策を講じ、マスク着用のうえ実施しています。

コロナ禍を経ての書店の現状

――2020年、2021年は、新型コロナウイルスが猛威をふるい、店舗においても感染拡大防止策が必須となり、一部休業を余儀なくされるなど、書店にも大きな影響を及ぼしました。感染者数は落ち着きを見せているとはいえ、引き続きの対策と、キャッシュレス化の促進による手数料増加といった課題は依然残っているかと思います。そういった点も踏まえ、現在の経営や店舗の状況、今後の方針などについてお聞かせください。

井之上 当初は未知のウイルスということで、世間も我々もどうしたらいいのかわからない状態の中、手探りで対策をしてきました。2020年4月に第1回緊急事態宣言が発出されたときは、皆さん同じだと思いますが、巣ごもり需要でドリルや児童書、コミックを買いにいらっしゃるお客様が殺到しました。弊社は1店舗のみ、入居する百貨店の休業に伴って閉めていましたけれども、そのマイナスをほかの店でカバーできるくらい、実績としては非常にいい状況を作り出すことができました。

2021年は前年の売上増の反動もありますが、誰もがこの状況に慣れてしまって、本を読もう、買おうという行動につながっていないなと、弊社の現状を見て感じています。特に郊外店などは前年比で見ると90%台ですが、前々年比だと103~105%と売れている店舗もあるので、散々な状況というわけではありません。ただ、この先もこのまま売上を伸ばせるわけではないでしょうから、一過性のものだろうと考えています。

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