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前年の学参・児童書の影響を受け前年超えならずもコミックは依然好調:店頭売上前年比調査 2021年3月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(3月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。3月は1,662店のデータをもとに作成されています(2月は1,672店)。

名称未設定

3月期の店頭POS売上前年比は96.6%。これまで10か月連続で前年超えが続いていましたが、ついに記録が途切れることになりました。前年3月は一斉休校により、学参、児童書中心に大きな売上を記録した月だったため、その影響を受けたかたちになります。その中でも、コミックは好調を続けており、18か月連続での前年超えとなります。

コミックを牽引したのは「呪術廻戦」でした。「呪術廻戦」関連作品20点のPOS押上げ効果は、3.7%となっています。「鬼滅の刃」は昨年3月の売上が大きかったため前年には届いていませんが、3月に入って発売された塗絵帳2点が実用書の売上を牽引しています。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比94.8%。

苦しい中でも週刊誌が比較的好調に推移しました。前月に引き続き「anan」が大きく動いたほか、「たのしいムーミンキルト」(デアゴスティーニ・ジャパン)など、3月創刊の分冊百科も好調です。

月刊誌は「小学一年生」がよく動きました。特別価格1,980円と大きく定価があがったものの、売上冊数も前年比116%と拡大。売場を牽引しています。また株高を受け、「会社四季報」も数字を伸ばしています。

書籍

書籍は前年比93.1%。

前年好調の影響を受け、コロナ禍のもと好調だったジャンルが軒並み前年未達となりましたが、実用書、専門書の2ジャンルが前年超えとなりました。

実用書は『鬼滅の刃 塗絵帳 -蒼-』『同 -紅-』の2点が大きく牽引したほか、『星ひとみの天星術』などもよく動いています。

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専門書は教科書系の書籍が大きく動いています。昨年は3月の休校影響から、教科書の販売時期が大きくずれ込んだ学校もあり、今後の動きが気になります。

学参は、小学参を中心に昨年の一斉休校による売上急増の影響を濃く受けています。ただ、その中でもTOEIC関連本など大人向けのものは引き続き前年以上の売上を記録しています。

コミック

コミックは前年比104.1%。

3月4日に発売された「呪術廻戦(15)」「呪術廻戦 公式ファンブック」が大きく動いたほか、「怪獣8号」も躍進して売上を牽引しています。

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「呪術廻戦」はアニメ放送に加え、映画化も発表され、既刊含めて盛り上がりを見せました。

* * *

昨年4月は大型店の休業や時短営業が続き、売上が低迷した月でした。コミックの売上が少し落ち着く一方、4月14日には本屋大賞が発表され文芸書の売上の復調に寄与しそうです。

まだまだ新型コロナウイルス感染症は落ち着かず、巣ごもり生活が必要とされそうです。次のヒット作を業界あげて育てていきましょう。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

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