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資格書ジャンルの売上動向とコロナ禍における今後の需要について

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月以降、資格・検定試験の中止や延期が主催団体より発表されています。また例年より広いスペースが求められる会場確保が困難となっており、試験地(都道府県)によっては試験会場が不足することが今後予想されています。

こうした試験中止・延期がある中でも、資格書ジャンルの売上は2020年1~7月累計で前年比103%と、好調な実績で推移しています。

2020年8月に、株式会社アイシービーは、「自粛期間中の資格取得のための勉強」に関する調査結果を発表しました(調査期間:2020年6月17~18日/調査対象:資格勉強をしたいと考えている方1,135人)。この調査によると、「この自粛期間中に資格取得に向けた勉強を始めましたか?」との質問に、3割以上の方が「はい(32.6%)」と回答しました。自粛期間中のキャリアアップ、コロナウイルス影響による将来への不安からも資格取得への需要が高まっているようです。

また主要資格書の売上を前年比でみると、中止となった「FP技能検定」(5月)、「日商簿記検定」(6月)、「秘書技能検定」(6月)は、直前予想問題集・過去問題集などの売上が落ちたことから前年比が悪化しましたが、7月以降からは試験の申し込みが始まるなど、各主要資格書の前年比が回復傾向にあります(表1)。

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◆今後の店頭での展開ポイント◆

試験申込タイミングが売り伸ばしのチャンス!

資格書の売り伸ばしには3つのポイントがあります。

①新刊発売時、②試験の申込開始時期、③試験直前の3回に大きく関連書が動く傾向にあります。中でも②の「試験の申込開始時期」にはもっとも大きな売上の山がきます。コロナ禍でも、7月に申込期間のあった「宅地建物取引士」「FP技能」では、ほかの月よりも多く売り伸ばしており、その傾向は変わっていません。特に今年は売上占有の高い資格の、「日商簿記」「FP技能」「秘書技能」の年3回の試験のうち1回が中止になっています。この後の試験で受験者数が増える可能性が高いことからも、在庫を増やし欠品補充を行うことをおすすめします(表2)。

表2 「日商簿記検定」「秘書技能検定」「FP技能検定」試験日

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売上好調の“宅建士”を最後まで売り伸ばす!

今年の宅地建物取引士資格試験は、4月1日より民法が改正され、その内容に基づいた出題となることから、例年よりも勉強の開始が早い傾向にあります。また申込期間である販売ピークの7月も、前年比121%で推移していることから売上が好調なことがうかがえます。10月試験に向けて、9月以降の展開は教科書・問題集といった商品ではなく、直前予想問題集・過去問題集を前面に置き、最後の売り伸ばしができる売場作りをしましょう。

また今年、注意しなければならないこととして、新型コロナウイルスの影響で、試験会場における受入人数を上回った場合には、一部の受験者は10月18日(日)ではなく、後日、指定された試験会場で受験する場合があります。追加の試験日は、12月27日(日)を予定しているとのことで、例年、10月の試験月を過ぎてからは売上が伸びることはありませんが、もし追加試験日が発生した場合、直前予想問題集・過去問題集の需要が伸びることが想定されます。試験の動向を確認し在庫を持つことをおすすめします。

※本記事は8月20日時点の情報をもとにしています。

(日販 マーケティング部 MD課 加藤隼士)

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