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前年の「鬼滅の刃」や巣ごもり需要拡大により、前年比92.4%の結果に:店頭売上前年比調査 2021年5月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(5月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。5月は1,664店のデータをもとに作成されています(4月は1,648店)。

202105前年比

5月期の店頭POS売上前年比は92.4%(昨年111.2%)。緊急事態宣言下で店舗の休業や時短営業があったこと、前年に「鬼滅の刃」の第20巻の発売があり、社会現象になるまでの大きな売上があったことなどにより、厳しい結果となりました。

特に昨年好調だった郊外店の売上が大きく落ち込んだことの影響が、強く出ています。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

202105ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比95.3%(昨年89.8%)。

全体的には厳しい状況の中、週刊誌は昨年を超える売上となりました。5月18日に創刊された「隔週刊 Gメン'75 DVDコレクション」や「週刊現代」などが売上を牽引しています。

Gメン

引き続きアイドル誌、NHKの語学テキストなども好調に動いています。

書籍

書籍は前年比97.9%(昨年102.3%)。

文芸書・学参の2ジャンルが前年超えとなりました。

文芸書については「2021年本屋大賞」を受賞した『52ヘルツのクジラたち』、東野圭吾の最新作『白鳥とコウモリ』などが売上を牽引しています。上半期のベストセラーランキング第1位に輝いた『推し、燃ゆ』はランキング発表を受けメディア露出が増えており、今後さらなる売上の伸びが期待できそうです。

推し、

学参の好調を支えたのはTOEIC、英検の関連書です。ジャンルとしては専門書に分類される宅建や簿記などの資格書も動きが良くなっており、自己啓発熱の高さを感じさせる結果となりました。

コミック

コミックは前年比83.3%(昨年157.6%)。

昨年の「鬼滅の刃」の売上影響を受け、大きく数字を落としました。一方で、「東京卍リベンジャーズ」はアニメ化の影響を受け、既刊含めて数字を伸ばしています。新たなベストセラーが誕生しました。

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6月に入り、「呪術廻戦」や「ONE PIECE」などの大型新刊が一斉に発売されました。これが店頭の起爆剤になり、コミックの前年超え基調が元に戻ることを期待しています。

また「鈍器本」と言われる、ページ数が多く束の厚い本にも注目が集まっています。コロナ禍のもとでの新しい動きに注目していきましょう。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

全体で前年比104.8%、書籍は総記・文芸書が特に好調:店頭売上前年比調査 2021年4月【日販調べ】


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