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プレ読①地元企業と一緒に「書店のための新商品」を開発「プレミアムな読書体験」をギフトに

日販は、経済産業省 中国経済産業局と共同で「書店で売る商品開発プロジェクト」を立ち上げ、「読書時間をより豊かにするためのギフト商品」と、「大切な人に贈ってほしい本」を店頭で展開する「プレ読(プレミアムな読書をプレゼントに)」キャンペーンを、2月10日より広島県(一部岡山県)の書店20店舗にて開催している。

このプロジェクトは、新型コロナウイルスの影響下にある書店市場で、新たな企画・商品作りに挑戦することによって、書店業界で新たなビジネスモデルを構築し、継続的に新事業が生まれる環境が醸成されることを目的としてスタート。4つの書店企業や地域の中小企業、ベンチャー企業などが業界の枠を越えて話し合いを重ねる中で生まれた、「コロナで人と会えない時間が続く中、大切な人に本と素敵な読書時間を贈ってもらうことができないか」というアイデアの実現を目指したものだ。

本稿では、プロジェクトメンバーとの連携のもと、書店で売るための商品の開発に携わり、プロジェクト全体の進行管理を務めた日販 西日本支社エリアマーケティング課長の谷川太郎と、アドバイザーの川上徹也氏、経済産業省 中国経済産業局 産業部 経営支援課係長の伊東直人氏、書店4法人の担当者の皆様に、キャンペーン実施までの経緯と経験を活かした今後の取り組みについてお話を聞いた。

「プレ読」キャンペーン開催概要

期間:2022年2月10日(木)~
 ※開催期間は店舗により異なる。
場所:広島県および岡山県の書店20店舗
販売商品(価格はすべて税込):
①読書時間をより豊かにするためのギフト商品
・灯火親しむ読書:
キャンドルグラス+キャンドルセット 1,430円
カラームード6個入(ホワイト)
※補充用キャンドル 440円

・陽だまりの中の読書/木漏れ日の中の読書:オリジナルアロマ+アロマウッド 各種2,893円

・味わいめくる読書:フレーバーティー6種パック(各1パック入り)1,160円

・ぬくもりに触れる読書:樹のブックカバー5種 各種2,464円

・音に浸る読書:読書用音楽リスト(YouTube)
 店舗で配布する小冊子(無料)で、読書シーンに合った3つのプレイリストを紹介。小冊子に掲載されているQRコードを読み込むことで、お好みのプレイリストをYouTubeで視聴することができる。

②「大切な人に贈ってほしい本」40冊:リスト化してカタログを作成し、店頭で無料配布
主催:経済産業省 中国経済産業局
公式サイト:
https://www.pre-doku.jp

地域の企業とともに、「新しい本のあり方」を表現(日販 西日本支社エリアマーケティング課 課長 谷川太郎)

日販 西日本支社エリアマーケティング課 課長 谷川太郎

プロジェクト実施のきっかけ

――今回の取り組みはどのようなきっかけで生まれたのですか。

本件は、2021年度地域経済産業活性化対策調査事業の一環として、中国経済産業局からお声がけいただいたことをきっかけにスタートしています。日頃から、新しい商材の取り扱いや本を起点とした新規ビジネスを考える中で、書店様と一緒に新しい事業に取り組んでいきたいという思いがあり、非常にありがたいお話だなと思いました。

しかも、これまで既存のプロダクトを書店様で販売するケースはありましたが、書店様に適した商材を自ら考えて企画から携わるという機会はこれまでなかったので、そこに一番興味を持ちました。

――今回は書店業界をモデルケースとした取り組みとなっていますが、公共団体主導で実証調査まで進むというケースはよくあるのでしょうか。

異例だと思います。発案してくださったのが、中国経済産業局の伊東さんという方なのですが、本に対する思い入れがとても強く、本との出合いの場である書店をなくしたくないという思いから、今回局内で企画を通してくださったようです。

――プロジェクトのメンバーはどのような方々ですか。

啓文社、蔦屋書店、フタバ図書、ブックオフコーポレーションの各法人から各社1名にご参加いただき、コピーライターやエンターテインメント業界、デザイナーといった他業種の専門家が3名、中国経済産業局の方5名と、日販が事務局として4名加わっています。

――日販は事務局として、プロジェクト全体の進行管理を務めたそうですね。

コロナ下の取り組みでもあったので、リアルな場で集まれたのは2021年度中3回しかなく、あとはすべてオンラインでのやりとりでした。オンラインで人数が多いとなかなか意見が出にくいのですが、それでも皆さんが発言しやすい環境づくりができたことで、活発な議論ができたかなと思います。

実際にプロジェクトを進める過程では、なかなかアイデアが出なくて胃の痛くなるような期間もあったのですが(笑)、一から新しく物を作るという経験はとても貴重でしたし、お相手の企業の方が喜んでくださるのでそれがモチベーションになりました。

――新型コロナが人々の生活に影響を及ぼしていることも、コンセプトを決める上でのひとつのポイントになっていますね。

それももちろんありますが、ディスカッションを進めていく上で考えの基盤になったのは、書籍の売上が落ちていく中、「本の使い方を変えることができないか」ということでした。本は基本的には自分のために買うことが多いと思うのですが、その視点を変えて、本を人のために贈るという意識づけができたらというところからスタートしています。

日本ではまだ定着していませんが、スペインで生まれた、親しい人に本や花を贈る「サン・ジョルディの日」は業界をあげて取り組んでいる活動でもあります。その情報は外部の方にも価値を感じていただいて、ギフトという方向性で話を進めていくことになりました。

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