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明日、朝いちばんの便で。

明日が引っ越し当日。
先ほど、業者さんから電話があった。

「明日の積み込みですが、朝いちばんの便でおうかがいします。」

えっ、そんなに急に? とたじろいでしまった。
もう少しおそめの時間にならないかと伝えたが、次の家の積み込みもあって動かせないという。

準備はできている。
荷づくりもほぼ終わり、朝一でも積み込める。

ただ、気持ちがびっくりして付いていかない。
いまの部屋との別れが、あまりに急に訪れた感じで。

「こんなにも名残りがあるのだなあ」と今更ながら気づく。

人はふしぎなもので、自分で決めたことなのに抵抗を感じるときがある。
そのまま住んでいたい気持ちはないのに、離れるとなると「ちょっと待って」となってしまうのは、やっぱり妙だけど、偽らざる実感だ。

さっき、最後の大物だった台所の梱包を終えた。
今晩つかう風呂場の小物と布団を入れたら本当に全部終わる。

そして明日、朝いちばんの便で、引っ越し屋さんがやってくる。
きっとあっという間にこの部屋がからっぽになり、飛行機に乗ることになる。そして、明日の晩には名古屋にいないのだ。

いまはまだ変な感じがするすぐ先の未来が、だんだん迫ってきている。
いやなわけではないけれど、自分以外の何者かに急かされているような気がして落ち着かない。

それで、TVer でくだらないバラエティを観て気持ちを落ちつけたりして過ごした。夜に近所のスーパー銭湯に行って、ぼーっと湯に浸かり、漫画で思いっきり現実逃避して、心身をゆるめたらようやく明日を迎えられる気分になってきた。

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澤 祐典
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