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お口で「こんにちは」する。

赤ちゃんはまだ、あいさつができない。
「おはよう」も「こんにちは」も「おやすみ」もできない。

その代わりに、赤ちゃんはお口で「こんにちは」をする。
手をのばして、さわって、口に持っていって「こんにちは」。
そうして世界との接点を増やしている。

話は飛ぶが、福岡市に住んでいる僕たちの家には月に一回「福岡市政だより」という広報誌が送られてくる。市内の求人やイベント情報、区役所での手続きなどが載っていて、わが家では結構重宝している。

赤ちゃんは今日、その市政だよりと「こんにちは」した。
朝、奥さんが寝ている間にあやしているときに「いっしょに市政だより読もうか」と誘って、その後、手渡してみたところ「こんにちは」がはじまったのだ。

よだれふき、ガーゼ、僕の指、絵本、おもちゃ。
そうしたこれまで「こんにちは」したものと違い、市政だよりは手でくしゃくしゃにすることができた。それが楽しかったようで、何度も何度も握って、くしゃくしゃにして、最後にぱくっと「こんにちは」。

冒頭の写真はその残骸である。制作した方々には申し訳ないが、大変親しくした証として受け取ってもらえたらうれしい。

生後5か月を過ぎたからだろうか。こうした「こんにちは」による出会いが加速度的に増えてきた気がする。

手をのばして、さわって、口に持っていって「こんにちは」。
赤ちゃんの世界が、どんどんどんどん広がっていく。

三月は、どんなものと「こんにちは」するんだろうね。
こんにちは。こんにちは。
そうやってご挨拶して世界と仲良くなるんだね。

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澤 祐典
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