東京の空

東京の空

智恵子は東京に空が無いという
ほんとの空が見たいという
(高村光太郎「智恵子抄」より)

だれかがお金がなくなると焦っている。
お金がないからとしたいことをしないでいる。
いつかなくなる日を心配してお金を貯めている。

お金がなくてもしあわせだという人がいる。
お金のことを考えるなんて意地汚いという人がいる。
お金がなくてもできることを考えた方がよいという人がいる。

サブスクリプションでお金を払ったことを意識させないようにしよう。
電子マネーでピッとやれば、一瞬でお金は移動する。
そうやって仕組みを複雑にして、お金をたくさん得る人がいる。

お金ってすげーな、と僕は思う。

いま、あなたのためにお金を払い、あなたはとてもよろこんだ。
いま、あなたのために働いて、あなたはとてもよろこんだ。
お金をつかって、はたらいて、自分がよろこぶこともできる。

お金があってもなくても、日常の光は灯っている。
だからといって、お金がなくていいことにはならない(らしい)。

いま、そのとき、
お金は、はたらきは、よろこびは、
ふくらんでいるのだろうか。

パンの酵母のように、
子どもの笑みのように、
あふれて割れて、すくすくと。

あの人は東京に空が無いという
となりで見上げる僕には、その空にお金が舞っているように見える。

僕らが見たいのは、札束ではなく、むこうの青空ではなかろうか。

ほんとの空がみたいとその人はいう。
ほんとの空なんて見たことあったっけと僕は思う。

(名作なのにすいません。)


記事を読んでくださって、ありがとうございます。 いただいたサポートは、ミルクやおむつなど、赤ちゃんの子育てに使わせていただきます。 気に入っていただけたら、❤️マークも押していただけたら、とっても励みになります。コメント、引用も大歓迎です :-)