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一人じゃないって、すてきなことね。

『魂うた®️』なんて、何の意味もねえじゃねえか!!」

と僕はキレた。

苛立っていた。虚しかった。悔しかった。

2018年8月、そう、今年の夏のことだ。

僕の住む名古屋は、40℃を超える猛暑となったこの夏。
わが家の状況は、最低最悪だった。

夫婦の間のケンカは絶えず、その原因だった収入を増やす道は見つからず、おまけに一番の稼ぎ頭だった『魂うた』をやる気が失せていた。

家族、夫婦、お金、家事、プライド、いろんなものがぐちゃぐちゃになって、感情もコントロールできなくなって、結局、僕たちは別居することになった。

奥さんがいなくなって一人きりになった部屋は、がらんとして、とてつもなく寂しかった。

僕はいままで「人生をよくする」ために無数のワークショップに通い、多くのお金と時間をかけてきた。

そのすべてをかけて臨んだ結婚生活のつもりだった。

その結果が、これか?

なんだよ、これ!

金返せ!!

ばっばーーーん。

はーっはっは! オーケー、お困りのようだね。では、そんなボクちゃんに〜、いまからこのジーニーがそこを抜ける方法を教えてあげよう!」

「まずは、ちょっとボクちゃんがダメだったところから指摘してみるよ。では、張り切って行ってみましょう。レッツ、スタート!」

(間違いその1) 一回で全部うまくいくと思っていた。

まず〜、ボクちゃんがダメだったのは、一回でぜーんぶ、まるーっと、一切合切うまくいくと思っちゃってたところ!

ノンノン、違うよねー。そうはいかないのよねぇ。残念ながら。

その夢見がちなところ、キライじゃないけど、現実からあまりにも離れると、今回みたいにバーン!といっちゃうわけ。バーン!って。

目隠しして運転するようなものだから。そりゃ、事故るよねぇ。

(間違いその2) 変わったことに気づかなかった。

ワークショップ、たーのしいよねぇ。ワクワクしちゃうよねぇ。

でも、そうした非日常の場から帰ってくると、ボクちゃんの前にはいつもの毎日が待っているわけ。

それは昨日と同じような見た目をした世界。
だから、うっかりするとすぐに「以前の自分」と同じ見方をしちゃうわけ。

でもね、ボクちゃん、ちゃーんと変わっていたんだよ。
ただ、そこを見るためには、ボクちゃんのように「変わっていないところ」ではなく、変わったところを見続ける必要があったんだ。

(間違いその3) 以前の自分に同化してしまった。

で、そうやって「変わっていないところ」ばかり探していると、どうなると思う?

じゃじゃーん! せっかく変わったのに「後戻り」しちゃいます!

ま、正確には後戻りなんてしてないんだけど、そう感じるからつらいよねぇ。あんなに「できる」って分かったばかりなのに、また戻っちゃうんだから。本当のことを知っている分、つらくなる。

でも以前の自分や日常ってやつは、それだけ強力なものなんですよー。おー、こわっ。

(間違いその4) 誰かが人生を変えてくれると思っていた。

そしてそして〜、最後のやつは、一番、とびっきりのやつ。

ボクちゃんは〜、『魂うた』が人生を変えてくれると思っていました!

ぶぶーーーっ! 不正解!

人生を変えるのは、ご主人様、いつだってア・ナ・タ。

他でもない、あなたなんですよ!

それを誰かやなにかに任せようとしていたから、こうなっちゃったんだねぇ。

以上、ジーニーさんのダメ出しコーナーでしたっ♪ ちゃお!

・・・大変うざったい、失礼なやつではあるが、ジーニーの話を聞きながら、なるほどと思ってしまった。

数回の『魂うた』を経験し、喜んでは元に戻る(錯覚なのだけれど)を繰り返すうちに、僕は人生を「本来の自分」と「以前の自分」の綱引きのように捉え始めていた。

『魂うた』で確かめた「本来の自分」は、「以前の自分」の成分がたっぷりと染み込んだ日常へと戻っていく。

そこには「以前の自分」と付き合っていた人たちや環境が残っている。その人たちに悪意はなくても、彼らは元の自分に戻そうと働きかけることがある。人はそれほどに変化に抵抗する生き物だからだ。

僕たちの仕事は、その葛藤の中で「以前の自分」を「本来の自分」に置き換えていくことだ。「本来の自分」で立つ、といったらいいだろうか。

それは、しばしば強い逆風にさらされる。転んでは起き、転んでは起きの繰り返しになる。

ジーニーは言う。

「だっかっら〜、一人でやろうとしちゃダメなの。『本来の自分』を知っている誰か、証人になってくれる仲間たちとつながっていれば、風で飛ばされてもちゃーんと戻ってこられるのよん♪」

実際、僕が最低最悪の夏を越え、9月に『魂うた』ファシリテーターの仲間たちの前で弱音を吐いて気づかされたこともこれだった。

そこに仲間がいる。
自分がそんなやつじゃないと知ってくれている証人がいる。

それほど心強いことはないのに、僕は結果が出ていない自分を引け目に感じて、余計なプライドもあって彼らとつながるのを避けていた。

でも、つながった後の世界はぜんぜん違った。

人とのかかわりの中には「仕事」があった。
「いま、なにをしたらいいか」が明確になったし、一人でやっていたときよりも不安に駆られることが少なくなった。

ひとりじゃないって すてきなことね

とジーニーは歌う。ずいぶん古い歌だが、本当にそうだなと思う。

「でもね、ボクちゃん、ボクちゃんがどんなにダメだと思っていた時期でも、ちゃーんと前に進もうとしていたこと、ジーニーも知ってるし、他のみんなだって知っていたんだよ。そうして頑張るボクちゃんを見ながら心の中で『ガンバレ!!』て言っていた人が、たくさんたくさん、いたんだよ」

いまは分かる。児童館で子どもたちと関わるときに、ふっとそんなまなざしで見ていることがあるからだ。

トラブルを起こしていた頃の「以前の自分」に戻ってしまう子もいる。どんなに踏ん張っても、耐えきれず飛ばされてしまうことなんてしょっちゅうだ。

でも、そこでぐぐぐって踏ん張っているのを知っている。
そして、また起きて、立ち向かっていくのを知ってるよ。

だから、大丈夫。

人はもしかしたら、いくつになっても、そんなふうに以前と本来の間を揺れながら生きていくのかもしれない。

そして、その揺れによる振動が、人の心と心をつないで共鳴しているんじゃないかすら思えてくる。

「はっはーん、どうかな。それは、この先、生きてみてのおたのしみっ♪」

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