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精神と時の部屋。

『ドラゴンボール』に登場する精神と時の部屋では、時間が外の360倍速く流れるため、中で一年過ごしても、外では一日しか経っていないという。

赤ちゃんをあやしながら、外出した奥さんの帰りを待つとき、僕は自分がこの精神と時の部屋に入ったのではないかと錯覚することがある。

一緒になってゴロゴロ転がり、抱っこして歩きまわり、ミルクも飲ませて、オムツも替えて「さて、どのくらい経ったかな」と時計を見ると、たった15分しか進んでいない。あらゆる手を尽くした後、ネタ切れになったタイミングでこれが起きると、愕然とする。

それに赤ちゃんといる時間は、自分だけのときと違って極めて静かだ。外の車の走る音や子どもが遊んで叫ぶ声がよく聞こえて、部屋の中を通る風も感じられたりする。

その間、携帯も見ないし(これはそう心がけている)、ゲームもできない。読みかけの本を読むこともない。でも、抱っこして歩きながら、それらの物が視界に入るとついさわりたくなって、ぐっと我慢。

いっしょになって心から楽しめる時間もあるにはあるけれど、そうでない時間だってある。そういうとき「これはある種の修行なのだ」と自分に言い聞かせながら、赤ちゃんといる。まさに精神と時の部屋だ。

そんな赤ちゃんは、今日はお昼にやたら長く寝た。
起こさないように僕たち夫婦は「だるまさんがころんだ」みたいに大きな音を立てないようにして、昼ごはんを食べた。

よく眠っているので、奥さんに休憩をとってもらおうと外に出かけてもらい、赤ちゃんと二人きりになった。「もしかしたら帰ってくるまで起きないかも」と淡い期待を抱いて、ニンテンドースイッチの電源を入れた途端、赤ちゃんがパチッと目をさました。

そのスイッチを入れたつもりはなかったんだけどな。
そうして、今日も修行を終え、いまこれを書いている。

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