「紳士たれ。」
今日の記事は、毎日配信している音のないラジオ「生きているQ」(メルマガ)から抜粋、編集したものです。
こんばんは。澤です。
お聞きいただき、ありがとうございます。
今日は、何回かに一回の「野球回」でございます。
プロ野球、読売巨人軍の長野久義選手が「人的補償」として広島東洋カープに移籍することになりました。
巨人は、昨年の終わりに内海哲也投手という生え抜きのスターを同じく「人的補償」で西武ライオンズに移籍させています。
入団からずっと巨人で育ち、巨人を愛してきたスターの流失、ということで、スポーツ紙はこの話題を大きく報じました。
「人的補償」というのは、プロ野球の仕組みを知らないとわかりづらいのですが、すごく簡単に言うと「他の球団にスター選手をとられたチームが、代わりにその球団から選手をとることができる」制度。
ただ、ルール上、相手の球団が「プロテクト」(保護)した28人はとってはいけないことになっています。
つまり、先に挙げた長野、内海の両選手は、巨人が「プロテクト」していなかった選手ということになります。
さて、前置きが長くなりましたが、ここまでの事情をなんとなく理解した上でこの記事をご覧ください。
内海と長野を「守ることはできなかった」 巨人・原監督
(2018年1月8日 朝日新聞デジタル)
この記事の中で、巨人の原監督は、今回の「人的補償」による生え抜きの流出について、こう語っています。
「ジャイアンツファンとして、心境的には残念。しかしルール上、仕方ない」
「彼ら2人を守ることはできなかった。しかし、彼らは評価された。野球人として2人にエールを送る気持ちは変わらない」
これ「アンタが言うなよ」と腹が立ったんです。
だって、もし守りたかったら「プロテクト」すればいいわけですから。
原監督は「プロテクト」から外すという判断をした張本人です。
その人が「守ることはできなかった」 と、ルールや他の誰かが決めたみたいな物言いをする。
僕がトレードされた本人だったら怒ります。
「勝つために、今後のジャイアンツのために、いまのチームの戦力を鑑みて二人は外しました」
って、 どうしてはっきり言わないのか、と。
昨晩はそう思っていたのですが、そういえば出典は、読売新聞のライバル、朝日新聞。そう思って、別の媒体をみてみると、原監督の発言はこうなっていました。
「ジャイアンツファンも、私も心境的には残念。残念です。でも、ルール上仕方がない。プロテクトで28人だけは守ることができる。でも彼ら(内海と長野)2人を守ることができなかった。」(2019年1月8日 スポニチアネックス)
同じく「残念」「ルール上仕方がない」「守ることができなかった」という言葉が使われていますが、こちらからはやや苦渋さが伝わってきます。
「巨人軍は常に紳士たれ」
という言葉があります。
かつての読売新聞社主、正力松太郎氏が遺した言葉で、巨人の選手は常に社会人、そして人間として模範になることを求められている、という意味です。
二つの媒体に載った原監督の言葉。
一方は責任逃れをしている人にみえるし、一方は苦渋の選択をして責任を引き受けている人に感じられます。
どちらが本人なのか。切り取った言葉からは分かりません。
もし原監督と「紳士たれではなかったのか!」と問い糺すことができるような場にいたなら触れられるかもしれないですけどね。
本当のことは、本人たちにしか分からない。
そんなに簡単じゃないんだ。
多くの思いを飲み込んで「選手冥利に尽きる」と言って、巨人を出ていく長野選手。
その長野選手を受け入れる「男気」黒田のいた広島東洋カープ。
そして、原監督。
真実は、球場に託されます。
今シーズン、広島・長野が巨人相手にボッコボコに打つのか。
それとも、鬼となって生え抜きを切った原監督が結果を出すのか。
「紳士たれ。」
その言葉は、誰の頭上で輝きを放つのでしょうか。
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