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ライブは出だし。

『枕草子』の「春はあけぼの」風に言えば、ライブは出だし。アーティストが登場するその瞬間に、どれだけ熱量を爆発させられるか。その熱の高まりを浮力にして、ライブは熱気球のように高いところへと滑空するような気がする。

いま次々と公開されているミュージシャンのライブをそんな観点からみている。中でも昨日のこれは凄かった。

ミスチルこと Mr.Children の25周年を記念したライブ。
数々のヒット曲のイントロが流れるたび、その時代に聴いた記憶というか余韻がぱっと蘇る。本人たちが登場すると、画面の向こうの観客がワッとなるのにつられて、僕らの気持ちも高揚する。

そのあとも凄かった。まったく出し惜しみのないセットリスト。「もうこの曲やっちゃうの?!」と驚くが、これでもか、これでもかと名曲が演奏される。こんなに多くの曲を一人の人がつくったことが信じられないくらい。

いっしょに観ていた奥さんは途中で思わず「櫻井さん……」とため息をついていた。好きとか凄いとかそういう言葉では追いつかない、とてつもない光量を放っている一人の人をみて、ただただ名前を呼ぶしかない、という感じで。

これまでいくつかのライブを観たけれど、ここまで距離が近く、迫ってくるライブはなかった。「プレミア公開」という形もよかったのかもしれない。なんだか圧倒されて絶句したまま、一時間半の前編が終わった。どこも気を抜くところがない、すごいテンションで疾走するライブだった。

そして今晩20時から、後編が公開される。

うちは今からワクワクしてその時を待っている。

すでに済んだ過去なのに、そこに本人たちはいないのに、これほど人の気持ちに触れられるって凄いことだ。「ライブは出だし」と書いたけれど、このライブに関しては頭からしっぽまで全部凄い、凄い、凄い。

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