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24分の1。

8月18日に閉館するマリノアシティ福岡に行ってきた。
前に行ったときは平日だったせいか来場者よりも「閉館特価」の貼り紙が多いくらいで殺風景だったけれど、今日はずいぶんにぎわっていた。8月8日から最終日まで臨時バスが運行しているらしいから、そのせいかもしれない。

「24年間、本当にありがとうございました。」
「一緒にいられる、最後の夏です。」

館内に貼られたポスターには、なんだか切ないコピーが並んでいる。何度か行ったスポーツ用品店やベビーグッズのお店は、商品がずいぶん減って売場が紅白の幕で縮小されていた。

僕たちがこの街に来たのは 2021年だから、24年間のうち3年ほど一緒に過ごしたことになる。ランニングシューズを見立ててもらったり、ホットサンド・メーカーを買うきっかけになったのもここだった。

赤ちゃんは24分の1年だけ一緒にいた。でも、妻のおなかが大きい時にも行っていたし、妊娠するちょうど一年前にかわいいくまのぬいぐるみを買って、最初たましいがそこに宿っていたんじゃないかと今でも思っている。だからやっぱり3年くらいは一緒にいた感覚だ。生まれて最初の遠出もここだったかな。フードコート・デビューして「外に連れていけるかも」と自信をもったのもここだったと思う。

館内がにぎわっていたので、特にさみしい気持ちにはならなかった。
でも、こうして振り返ってみると思い出ってけっこうあるものだ。

今日は出産前によく行ったカフェで子どもエリアに案内された。
「いつもそのエリアだけ案内されないなあと思っていたんだけど、子ども用なんだね」と妻。僕たちの両隣にも子どもたちがいて、大きなかき氷を食べたり、大声で泣いたりして思い思いに過ごしていた。

この場所にいた、ということを赤ちゃんは知らない。
そして、この場所もあと一週間ほどでなくなってしまう。
さみしくはない。ないけれど「マリノアっていうところがあってね」といつか話すとき、湧き上がってくるものはあるような気がする。

「もうすぐなくなる」という場所に訪れるのはなんだか不思議な経験だ。
場所は人ではないのに、センチメンタルなコピーを書きたくなった人の気持ちにちょっとだけ近づいた気がした。

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