見出し画像

『アイの歌声を聴かせて』が日本アカデミー賞アニメ部門最優秀賞を受賞できるか、真面目に予想してみた

 今から10日ほど前、アイ歌ファンに嬉しいニュースが舞い込んできました。

『アイの歌声を聴かせて』日本アカデミー賞優勝賞を受賞!


 日本アカデミー賞とは読んで字の如くアカデミー賞の日本版。アニメ部門は2006年に設立されてから今年で17年目になるわけですが。

 まあ正直言いまして、僕はこれまで日本アカデミー賞なんて全然興味ありませんでした(笑)そもそもアカデミー賞にすら興味ありませんでしたし、日本国内で評価されたところでどれくらいその作品に恩恵があるのかもわからなかった。

 果たして過去5年の受賞作品を全部言える人がどれだけいるのかって話ですよ。

 しかし、今年に限ってはめちゃくちゃ喜んでおります(笑)それどころか多分生まれて初めて日本アカデミー賞をリアルタイムで観るでしょう。

 なぜか、を説明する前にまずは最優秀賞にノミネートされた作品を挙げてみます。

・竜とそばかすの姫
・シン・エヴァンゲリオン
・劇場版 呪術廻戦0
・漁港の肉子ちゃん
・アイの歌声を聴かせて

『龍とそばかすの姫』は細田守監督の最新作。『シン・エヴァンゲリオン』は四半世紀続いたエヴァシリーズの最終作で、興行収入100億を突破したメガヒット作品であります。

『劇場版 呪術廻戦0』は大人気アニメシリーズの劇場版。『漁港の肉子ちゃん』はお笑いタレント明石家さんまさんがプロデュースを勤めた映画なんですが、こう書いていくと『アイの歌声を聴かせて』だけ何も肩書がない(笑)

 監督も有名じゃなけりゃ原作があるわけでもなく、有名人がプロデュースしたわけでもない。あるとすれば本当に口コミの力だけなんですよね。

 そんな作品が他のビッグネームと肩を並べているだけでも凄いのですが、ただアイ歌ってそれだけで終わっていい作品ではないじゃないですか。

 これは僕が以前書いたアイ歌のnoteなのですが。


  これらのnoteにも書いてあるように、まあ物語の魅力が凄すぎるんですよ(笑)

 まあ詳しい事は全部書いたのでここでは省きますが、本当に久々に物語単体で勝負している作品に出会えたなと。そんなアイ歌が口コミで評価されて、やっと正式に評価される場に立てた。まあ海外の賞は貰ってたらしいんですが。

 僕は一人でも多くの人にアイ歌を見てほしい。その為には少しでも作品として箔を付けてほしい。だから日本アカデミー賞の最優秀賞はなんとしてでも獲ってほしいわけですよ。

 今回はそんなアイ歌が並み居る強豪を押し退けて最優秀賞を獲るにはどうすればいいのかを、真面目に考えていこうというものです。

・最大のライバルは細田か庵野か

 最優秀賞を獲るにはどうすればいいのか、とついさっき書いたばかりで申し訳ないのですが、正直言って望みは薄いと思ってます(笑)

なんでかと言いますと…下記の歴代受賞作品をご覧ください。

日本アカデミー賞アニメ部門最優秀賞歴代受賞作品(その年のライバル作品)

⑥時をかける少女
(ゲド戦記、ブレイブ・ストーリー)
⑦鉄コン筋クリート
(エヴァ序、河童のクゥと夏休み)
⑧崖の上のポニョ
(スカイ・クロラ)
⑨サマーウォーズ
(エヴァ破)
⑩借りぐらしのアリエッティ
(カラフル)
⑪コクリコ坂から
(劇場版けいおん!)
⑫おおかみこどもの雨と雪
(エヴァQ、劇場版まどかマギカ)
⑬風立ちぬ
(かぐや姫の物語)
⑭STAND BY MEドラえもん
(思い出のマーニー)
⑮バケモノの子
(心が叫びたがってるんだ)
⑯この世界の片隅に
(君の名は、聲の形)
⑰夜は短し歩けよ乙女
(打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?)
⑱未来のミライ
(ペンギン・ハイウェイ、若女将は小学生!)
⑲天気の子
(空の青さを知る人よ)
⑳鬼滅の刃 無限列車編
(劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン、ジョゼと虎と魚たち)

 …と言う事なのですが、この一覧を見て何か気付かれませんか?

 まあまず意外な事に庵野秀明監督が一度も受賞しておりません。過去3度入選するもすべて逃していると。あとやはり宮崎駿監督は賞設立以降に発表した2作品とも受賞しております。まあ宮崎監督が発表した年は問答無用で受賞されていると。

 …まあこんな下手なごまかしは置いておいて(笑)

 実は宮崎監督以外にも06年以降に発表したすべての作品で最優秀賞を受賞している監督がいます。2006年に『時をかける少女』、2009年に『サマーウォーズ』、12年の『おおかみこどもの雨と雪』、15年の『バケモノの子』、18年の『未来のミライ』と3年刻みで受賞し続けている監督。

 そう、細田守監督です!

『竜とそばかすの姫』こそが最大のライバル、というか最優秀候補筆頭と見てまず間違いないでしょう。特に今回なんかは細田監督のキャリアで最高となる66億もの興行収入を叩き出し、本家のアカデミー賞アニメ部門にもノミネート。前作の『未来のミライ』が最終候補まで残っていましたし、細田作品がアメリカでも評価されてるのは間違いない。

 あの庵野監督ですら2009年、2012年と続けて細田監督に敗北。奇しくもこの2人の作品はどちらも日本テレビ系列で定期的に放送されているわけですが、いわば日テレのライバル対決は完全に細田監督に軍配が上がっている。

“推され”というわけではないのでしょうが、M-1で吉本のコンビが優勝しやすいのと同じで、初めから馴染めがあって実力もわかっている作品って評価しやすいのだと思うのですよ。もちろんちゃんと面白い作品を作りますし、海外ウケもある監督ですから実力もある。

 前にこのようなnoteも書かせていただいたのですが、これくらい個人的にも細田監督作品には思い入れがありますね。

 それに比べて『アイの歌声を聴かせて』はどうなのかと。吉浦康裕監督が日本アカデミー賞にノミネートされるのは今回が初めて。前作の『サカサマのパテマ』が9年前くらいの作品ですから、正直知名度もさほどだと思うんですよ。

 要するにM-1の初出場コンビみたいなもんですね。もちろん初出場で優勝したコンビもいたわけですが、ほとんどが名前を売って帰るのが関の山。

 なんだろう…世間って我々が思っている以上に名前を大事にするんで、面白いかどうか観てみないとわからない作品より最初からある程度面白いとわかってる作品の方がより評価されて当然だとは思うんです。

 それに仮に『竜とそばかすの姫』が受賞できなかったとしても、『シン・エヴァンゲリオン』が控えていますからね(笑)この2作品を抜くのはなかなか至難の業ですよ。

 それに庵野監督はアニメでは受賞経験がありませんが作品賞では『シン・ゴジラ』で最優秀賞を獲得しましたし、それに加えて今回は興行収入100億突破の大ブレイクを果たした。

 それらを差し置いて『アイの歌声を聴かせて』を優先する可能性があるかと考えると…う〜んとなっちゃうわけです。

 しかし、可能性はないわけではないと思ってます。

・『君の名は』を抑えて最優秀賞に輝いた『この世界の片隅に』の衝撃。

 2016年、日本に『君の名は』旋風が巻き起こりましたよね。

 去年で言う『鬼滅の刃』みたいなもので、新海誠というそれまでアニメファンの間で有名だったレベルの監督の名前が一気に全国区になった。なので当然この年のアニメ賞は『君の名は』だったんだろうと思っていたのですが…。

この世界の片隅に


 皆様この作品をご存知ですかね?

 昭和初期の広島で生まれ育ったのんびり屋の女の子・すずがやがて戦争に巻き込まれていくという、括りで言えば戦争映画なのですが、この作品って決して反戦とか訴えているような浅い映画ではなく、必ず観てほしいぐらいには深くて面白い作品なんですよ。

 この作品で描かれているのって必ずしも戦争の悲惨さとかではないんですね。もちろんそういう場面もありますが、主な流れとしてはすずの身の回りで起こるなんて事ない日常なんです。

 すずはおっとりとしていて絵を描くのが好きで、勝ち気な義理の姉に苛められてもぽや〜っとしてやり過ごすようなキャラなのですが、そのキャラクター性が良い面でも悪い面でもよく描かれるんですよ。

 そしてやがて戦況が悪化していく中で、すずは取り返しのつかない事になってしまう。気になる方は映画を観てほしいんですが、すずの日常をちゃんと描ききっているゆえに最後の説得力とか物凄いんですよね。当然原爆が落ちるシーンも描いているのですが、そのシーンの中で絶句するようなシーンがあって、そのシーンで本当に僕も周りの観客も一斉に泣いてしまって。

 まあとにかく物凄い作品なんですが、その『この世界の片隅に』がなんとその年のアカデミー賞で大ヒットした『君の名は』を抑えて最優秀賞を獲得したんですよ。

 戦争モノであったりとか、新海誠も当時は売れたばかりだったりとかいろんな要素が絡み合った結果だとは思うのですが、『この世界の片隅に』も最初無名だった作品が口コミでどんどん話題を呼び最優秀賞を獲得するまでに至った。

 今の『アイの歌声を聴かせて』にとても状況が似てるんですよね。

 つまり内容で勝負して勝った作品もあるという前例があるわけです。もちろん今回も同じような結果になるとは限りませんが、それでも可能性自体は決して0ではないとだけは断言できます。

 それに例え最優秀賞を獲れなくても、↓の可能性はあると思ってます。

・『アイの歌声を聴かせて』を金曜ロードショーで放送して

 この2年間、日本テレビが金曜ロードショー枠でなんでかたまに世間的には無名のアニメ映画を流すようになってまして。

 2020年には『聲の形』と『打ち上げ、花火下から見るか?横から見るか?』を2週連続で放送。2021年にはアニメ版『君の膵臓をたべたい』を放送するなど、ジブリか細田作品かコナンルパンしか放送しなかった日テレが結構挑戦的な試みをしているんですよ。

 これは『聲の形』が金曜ロードショーで放送される前日か前々日ぐらいに嬉しくなって書いたnoteです(笑)

 で、なんでわざわざこんな話をしたかって話なんですが。

 実はってほどでもないんですが、『聲の形』も『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も日本アカデミー賞にノミネート経験のある作品なんですよね。『君の膵臓をたべたい』はノミネートも逃しているのですが、更にこの3作品はどのテレビ局の持ち物でもないと。

『聲の形』はNHKのEテレで2回ぐらい放送された事があるのですが、民放のテレビ局では一度もなかった。

 だからこそ日テレが金曜ロードショー枠で放送する事ができたんだと思うのですが、『アイの歌声を聴かせて』もそれに当てはまるのではないかと思うのですよ。

 まあ日本と海外合計で興行収入60億近くを叩き出した『聲の形』や大コケと言われながらきっちり15億ぐらいは稼いだ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』と比べると、『アイの歌声を聴かせて』は2億ぐらいしか稼いでないので実績という意味では本当に口コミしかない作品なのですが(笑)

 ただ逆に言うとそれぐらい知名度の低い作品でも内容の面白さだけでノミネートされたのはそれだけ日テレに目をかけてもらったという事でしょうし、話的にもゴールデンで流せる内容ですから十分可能性はあると思うんですよ。

 なので僕は日テレさんに『アイの歌声を聴かせて』を放送してもらいたい!まあ僕はBlu-rayを買う予定なので個人的に地上波で流れるメリットなんかないのですが(笑)それでも少しでも多くの人に知ってもらいたい作品なので、なんとか実現してほしいですね。

 そうやって吉浦監督の名が売れていったら次作品でもしかしたら最優秀賞を獲れるかもしれませんし、日テレ側としても宮崎駿さんがお年を召されきた今新しいアニメ監督のスターがほしいでしょうから、是非期待したいです。

 今回はこれで以上になります。いや本当にね、個人的な感情だけで言ったらそりゃ『アイの歌声を聴かせて』が受賞してほしいですよ。ノミネートされた以上は受賞する可能性だってあるわけですから、生中継する3月11日はテレビの前で正座待機ですな(笑)

 それでは皆様、最後まで読んでいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?