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re. 自責なんだね

ボクたちは必ず死ぬのだ
誰ひとりとして例外なく

それなのにもかかわらず
この砂漠に産みおとされて
この砂漠で必死に生き続けて
この砂漠に彷徨い果ててゆく
目的地などいっさい知らされないままに

つらい流転の毎日をかさねたところで
瞳に映りこむ景色はただ果てもない砂丘
もうこれ以上は無理だと嘆き憔悴して
やがて投げやりに倒れてしまうのだ

だらかいっそ無責任なラクダにでも
この身のゆく末を手向けてしまおうか
そんなふうにさえ眩惑されてしまう

そうなればきっとアレ﹅﹅は襲って来るだろう
そしてこの胸を打つ ひと脈の鼓動は
血潮を忘れてカラ打ちを始めるに違いない

それはまもなく渇いた虚しさの疼きを覚え
たちまち からだじゅうを蝕み始める
不快で悶々とした汚濁な闇へと堕ちてゆき
ヌタ深くまとわりつく嫌臭な汚泥に埋れ
渇きと鈍重のドロ壺にハマり為す術もない

ボクは鼻水と涙と脱糞を醜く散らしながら
泣きじゃくる嗚咽の愚鈍で塩漬けにされる
アレ﹅﹅はボクのことを責めたてる
そしてボクは焦燥感という圧縮機に潰され
ミンチになって吐き出されるのだ

例えばこんなことになる _
仕事で解雇される
働きたいのにもかかわらず
何故か行く先々で解雇される事態

面接ではその経緯は公言できない
だから経歴を偽わざるを得ない

どんな話しかたをすれば相手が喜ぶのか
どんなリアクションならばそつがないのか
そんなふうに他人の顔色ばかりを阿るのだ

「何でもやります、頑張ります」
そんなウソが反射的に漏れ出しすのだが
その場しのぎのメッキは直ぐに剥がれる

今回もやっぱり仕事ができない
今回もやっぱり解雇されてしまう
やっと職にありついたというのに …

「すみません」は便利なセリフだ
とりあえず相手の叱責が止むのだから
まわりは笑顔で許してくれるのだから

とにかく直ぐに謝す癖が染みついている
相手の沸騰を鎮めることに全力を尽すのだ
自分が正しいか否かなんてどうだっていい
もちろんそこに謝意なんて全くないけれど

自分がやったと自白すれば相手は怒る
怒りを鎮めるためには手段を選ばない
「自分はやっていない」
「それは〇〇さんのしわざです」
そうやって自分じゃない誰かを名指しする

とにかく責任を転嫁して急場を凌ぐのだ
とにかくこの場の火の粉を振り払うのだ
今ここの沸騰が鎮まればいいのである

怒った相手はすぐに立ち去ってくれる
濡れ衣を被った〇〇さんは狐に摘まれる
そして自分はそれで平気なのだ

〇〇さんへの負い目もなければ自戒もない
まるで何事もなかったかのように
けろりとして屈託のかけらも見当たらない

そんな具合なのだから
周りの者たちは違和感を抱くのだ
コミュニケーションや社会生活の端々で
何かが変で何かしら致命的に欠けている

自分はピュアなのか或いは多重人格なのか
善悪の概念も時間軸も存在しない異空間
そこへ周りの者を翻弄し掻きまわすのだ

しかし自分はけろりとしているのだから
挙句には「大丈夫ですか?」
などと逆に周りを気遣う始末

自分に危害が及ばなければ平和なのである
平時﹅﹅であれば挨拶をして雑談もよく弾む
基本的には「いい人」なのだ

けれども仕事や日常で深く関わるとなると
それはもう周囲の者は大変なのである
時間軸というか次元というか …
まるでズレているのだからタチが悪い

実は自分でもそれは解っているのである
こんな苦しみはもう十分に懲りている
だからやっぱり歩き続けるしかないのだ
いつしか放りあずけたはずのこのゆく末を
結局はアレ﹅﹅と対峙せざるを得ない

ボクじゃない誰かの背中へ依存する無責任
ボク自身を無闇にあずけてしまう無警戒さ
それはとても楽チンであり危険でもある

けれどもそれはつまるところ
アレ﹅﹅のお仕置きがくる前兆でもあるわけで
だから口を尖らせながらも自戒する日々に
こうやって何度も幾度も軌道修正を重ねる

人生とはまったく巧くできている
なるほど そうなんだ
赤子のその命であってさえ
犬猫や草木虫のそれであってさえ
大全体の大っきな巡らせの環の果てに
こうやって因果は芽を吹くのであり

確かに この水と空気だけは
お天道さまに設てもらってはいるけれど
自分の成り行きや運命や次元のズレまでも
どっかの誰かの操舵に捏ねるなんてことは
大循環に抗う完全アウトな行為なのだ

アレ﹅﹅はキッチリ知らせてくれる
そうやって無明闇を断ち切ってくれる
それだからむしろ逆にありがたいのだ

そしてもう あとはたぶん
自力しか残されていないという結論を知る

さてと…バックパックを締め直そうか
この人生を旅するにあたり
その一歩一歩は やっぱり
結局のところ自責でしかないのだから

>> this way Please Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕

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