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世田谷のカフェで

東京で一人暮らしをするときに、
内見中のタクシー内で紹介されたのが
世田谷のあのカフェだった。
中が見えづらく入るかどうか迷ったけれど、
紹介されたからと、どしゃ降りの雨の中
ひとりであのドアを開けたのが、
はじめての訪店だった。
少し暗いアンティーク調の店内、流れる音楽、落ち着いた空間。すべてが心地よくて気付けば行きつけのカフェになっていた。

今でこそ変わったが、
当時はもっぱらケーキとホットコーヒー。あのカフェで以外飲むことがないコーヒーだったが、あの時間だけは特別。  
大人になった気分で注文していた。

”行きつけのカフェ”
”行きつけのバー” なんて言葉を聞くと、
東京の人はかっこよくておしゃれだ  
と思っていたけれど、
ついに私にもそんな場所ができたのだろうかと考えると、なんだか誇らしくって大人になった気分でわくわくしていたっけ。
そんな気分も味わいたくて通っていたあのカフェは今やなくてはならない存在になった。
誰かの作った料理が食べたい!
と思った時まず頭に浮かぶのが、マスターの作るごはんなのだ。

作ってもらった料理はどうしてこうも、人を幸せにするのだろうか。故郷に帰ったときに感じるあの安心感とも似ている気がする。
また明日から頑張ろうとも思える。
生きる幸せと活力をくれるそんな場所。
それがあのカフェなのだ。


世田谷 アンジェリーナ

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