2020年2月発売、みかみてれん氏によるガールズラブコメ作品二作を読みました(感想)

導入:そもそもどうしてこうなったのか

詳しくは以下で語るんですが、2020年2月、GA文庫とダッシュエックス文庫というラノベ界で名の知れた2レーベルによる裏での話し合いの結果か(言い方)、みかみてれん氏の作品がポンポンッと発売されることになってました。で、発売されました。
詳しくは以下のサイトにアクセスしてご確認ください。

GA文庫×ダッシュエックス文庫×みかみてれん Presents. 春のガールズラブコメまつり!!

で、まあよくある話なんですけども、Twitterで感想ツイートをツイートすると○名様にサイン入りなんたらをプレゼント、みたいな企画があってですね。それに応募しようかなと思って、ツイート文を打ち込み始めたわけなんですけど。
やー、驚きましたね。

まさか軽々と1000文字超えるとは。

そもそも運営側が感想ツイートによるキャンペーンをするとき、それによってある程度の売上に繋がるという期待を込めてるわけですよ(あくまで個人の考えです)。
つまり、その意思に沿うためにも、何かしらをフォロワーに伝え、そして購買意欲に繋げたいわけですね。
で、やっぱり作品を購入した側からすれば、キャンペーン云々よりも、自分の好きになった作品の良さを伝えたいわけで、でもネタバレはしたくないわけで。
それでネタバレなしでの感想をツイートするんですね。
でもそれは当然、編集部の方とか作者本人をはじめ、既に読んだ人も読むわけであって。
そういう人とは積極的に感情を共有したいわけで、つまりネタバレありで語りたいわけですよ。

はいこれ、葛藤ですね。
ちなみに今回紹介する2作品も“葛藤”が一つの大きなポイントとなってます(唐突な宣伝)。

で、まあ至った結論がこの長文、というわけですね。

伏せ太くん(fusetter)でもよかったんですが、それだとネタバレなしの部分を140字に収めないといけないので、まあ思い切ってnoteに持ってきました、という運びです。

さて、そろそろ本題に入ります。この先「です・ます」から「だ・である」に変わりますが、まあ小論文じゃないただのオタクの語りなので、許してください。あと途中で乱れたりもしてます。表現ってむずかしいなぁ()


第一部:『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』編

2020年、2月14日。世はバレンタインデーで浮かれている中、彼ら彼女らに比べれば遥かに数は少ないであろうが、それでも少なからずは浮かれているオタク達の姿が各地で見られたことだろう。
その日はGA文庫から、みかみてれん先生の『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』、通称「ありおと」が発売される日であった。

実はこの作品、発売前から百合作品界隈では割と多くの人にその名が知られていた作品であり、GA文庫から発売されるよりかなり前から「みかみてれん文庫」としてコミケやメロンブックス等に存在していた同人作品である。
まあ、「小説家になろう」で連載されていた「なろう系」という作品群が存在するので、それに近い流れで出版に至ったのだろうか。その辺はよくわからないが、まあとりあえず出版された。

さて、まあ発売決定から買うことは確定だったわけだが、いざ特典情報が出たりしてみると案の定悩まされた。が、辛うじてアニメイトがある程度の地方勢としては、やはり大正義アニメイトで購入するのが適していると思い、有償特典は諦めてこちらで購入した。まあ無償特典のSSリーフレットが付属していたので満足だ。
余談だが、発売前日に都会で入荷したという情報を見てアニメイトに向かったがまだ入荷していなかったため、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』のアニメイト限定版の予約をした。まあこの話は後ほど。

で、発売日翌日の朝には読み終えましたとさ。



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以下は本作品の感想となり、本編のネタバレを含みます。まだお読みになっていない方はブラウザバックしていただくか、速やかに財布を持って書店に足を運び、金銭をもって購入し、それを読了してから以下の記事を読むことを強く推奨しております。また『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』のネタバレを含む文章だけ読みたくない場合、目次に戻って第二部に進むことを推奨しております。
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読んだ?読んだよね?(オ○ロスキー風)

はい。

さて、まず感想を書く前にはっきりさせておきたい事項がある。
この作品の他の作品と異なる点は、「結末がわかっている」という点だ。
まあタイトルを見ればわかる。実際、『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』というタイトルから得られる情報はかなり多い。

・百合のお話
・女同士の恋愛を(口先では)否定してる女の子が出てくる
・で、それを落とす人が出てくる
・最終的に徹底的に落とされる

とまあこんな感じで、かなり前情報が多い。比較対象として昨年映画化された『フラグタイム』を挙げると、こちらはタイトルから得られる情報が少なく、少しでもタイトル以外の“内容”に触れなければ「おっ、こいつは百合作品の予感がするぜ」とはならない。一方この作品はタイトルだけである程度の内容を予想でき、購買意欲を高めるとともに、あらかじめ脳内に描いたシナリオと実際の内容の差から「なるほどこう来るか……!」という楽しみ方も生まれる。
簡単にいえば、タイトルだけでセンスを感じる、ということだ。

さて、肝心の本編なのだが、まあ一言で言ってしまえば「めちゃくちゃ良かった」。そして、「なるほどこう来るか……!」の連続だった。

まず、百万円が出てきた時点でだいぶ衝撃を受けた。まあこれはあらすじも何も見ずに読み始めたので、というのもあるのだが。

そして、想像以上に百合してた。自分が普段触れている“百合”はまんがタイムきらら系列やコミックキューンのものであり、まあそこはかとなく尊さを感じるような作品群だったのだが、この作品はそれらとは全く異なっていた。

身も蓋もない言い方をしてしまえば、えろかったですね、はい。

途中まで読んで一旦休憩としたときに、「これまで自分が読んできた百合は百合ではなかったのではないか?」という感覚に陥った。まあ「こういう百合のカタチもある」というだけの話なのだが、それほどまでに圧倒的な成分を含有していた。そういうえっちなシーンの度に「これは本当に年齢制限がない本か?」と脳内確認したりしたのだが、どうやらこれは全年齢対象のようだった。これも、百合作品だからこそであろう。ぜひ欲求不満な男子高校生諸君におすすめしたい。「これは全年齢ですよ〜!」って感じで。
まあ自分自身、男子高校生なんですけどね。

あともう一点。この作品は基本的に一人称で、さらに主人公の心情描写が多量に描かれるのだが、ここで言う“主人公”は「榊原鞠佳」であり、つまり“落とされる側”なのである。タイトルが『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』であるにも関わらず、落とされる側が主人公なのだ。
ここで「あれ?もしかしてこれ不破絢視点でもう1冊出せるんじゃね?」という思考が脳をよぎったが、そこはある程度脳内補完が行われた。それに関しては、書き下ろし短編の賜物だと言えるだろう。
というわけで、みかみてれん文庫版を読んだことがある皆さんもぜひ買って読んでいただきたいです。
まあ、この記事を読んでる人は全員もう読んだはずなんですけどね。


第二部:『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』編

さて、『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』の興奮も冷めないうちに1週間が経ち、2020年2月21日になった。みかみてれん作品がGA文庫から生み落とされたその僅か1週間後に、お次はダッシュエックス文庫から次なる“供給”が為された。
その作品こそ、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』、通称「わたなれ」である。

自分も高校2年の学年末試験という重要なイベントを控えているにも関わらず、発売日に予約していたアニメイト限定版を受け取りに赴いた。
なお、これを書いている今は2月24日であり、明日から学年末試験である。勉強しろという意見ももっともだが、今は勉強をする気分ではない。百合ラノベのレビューを書きたい気分なのだ。人間は大抵気分で動くものだ。

本編の感想に入る前に、アニメイト限定版について触れるとしよう。

【小説】わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) アニメイト限定セット【Wポケットクリアファイル付き】 | アニメイト

なんとまだ在庫がある(2020年2月28日現在)。まだ遅くない。気になったらポチッとやってしまおう。

アニメイト限定版に付属している特典はクリアファイルである。それもただのクリアファイルではなく、Wポケットのいいやつだ。単にクリアファイルとしても優秀だと思う。まあ書き下ろしSSが堂々と載ってますけどね。

で、このクリアファイルの素晴らしいところが、「自らの手で百合キスをプロデュースできる」という点だ。まあ何を言ってるのかわからないと思うが、できてしまうのである。

一番わかりやすいのは、アニメイト百合部さんのこちらのツイートだ。動画で紹介されている。

https://twitter.com/animateyuribu/status/1230741077012832258?s=21

はい、天才。
過去多くの有償特典を見て、そのうちの一部は購入している自分でも、ここまでのものは見たことが無い。それほど革命的な特典だ。買わない理由がなかった。

#わたなれ のアニメイト限定版特典、「なるほどね」って言ったら負けだとわかってたけど実際に手に持ってみると「なるほどね」って言ってしまう。なるほどね。

これは発売日当日に自分がツイートした文だが、まさにこれである。
まだ手に入れていない皆さま、在庫、ごさいますよ(2020年2月28日現在)。

さて、アニメイト限定版の話はここまでにしておいて、本編に話を戻そう。まあテスト勉強の合間に読み進めていたわけだが、2月25日、学年末試験が初日のみ終わった時点で読了した。先が気になってテスト勉強どころではなくなりそうだったので一気に読んだ、というのもある。



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以下は本作品の感想となり、本編のネタバレを含みます。まだお読みになっていない方はブラウザバックしていただくか、このページを開いたまま書店またはあなたの家に存在している本を手に取り、「どこまで読んだかな〜」とかなんとか言って、なんだかんだで読み終えてから以下の記事を読むことを強く推奨しております。また、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』のネタバレを含む文章だけ読みたくない場合、目次に戻って「終わりに」に進むことを推奨しております。
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読んでいただけたでしょうかね、はい。

さて、例によって「読む前に得られる情報」「一言でどうなん?」「中身についてkwsk」の三段構造でいこうと思うが、まずこちらもタイトルに着目してみよう。『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』というタイトルから、ある程度の情報が読み取れる。

・一人称が「わたし」
・恋人になるかならないかみたいなお話
・ムリじゃなかった

まず一人称についてだが、『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』が「あたし」であったのに対してこちらは「わたし」であることがわかる。この一文字、というか子音「w」の違いが意外と大きかったりする。長い間ライトノベルに触れている人なら、ある程度その“違い”がわかるのかもしれない。

そしてこちらは「ありおと」と同様だが、まあ割と大きめのことがタイトルから察せられる。タイトルの()の中、「ムリじゃなかった!?」という文言は前情報による購買意欲の向上、そして脳内に描いたシナリオとの差を楽しむという読み方を生み、そのタイトルにはセンスが宿っているのだ、と感じさせる。

で、本編である。読み終わった直後の自分の新鮮なツイート文があるので、まずこれをご覧いただこう。

テスト期間中にも関わらずわたなれ読了。
優勝した。これは天才すぎる

とまあこんな感じで、「わたなれ」は「ありおと」以上の衝撃を自分に与えた。というか、「過去読んだラノベでここまでの作品は存在しただろうか……?」とまで考えた。ちょっとヤバいよね、うん。

さて、ここからは内容に触れていこあと思う。

まず一点目。超絶序盤で、というか裏表紙の文でもわかることなのだが(例によって前情報無しで読んだのだが)、れな子は元陰キャだった。

たったそれだけの事実が、最高のアクセントと化していた。まあ自分がそういう系のキャラ大好きなオタクだということもあるのかもしれないが、それにしても天才が過ぎた。

というか行動言動心情描写、その他諸々から滲み出ている元陰キャ感がヤバい。めちゃくちゃに推せますね。

で、あと一点。この作品には主人公のれな子とメインヒロイン(?)の真唯の他にも3人ほどメイン格のキャラクターが存在する。そのうちの一人に紫陽花さんという人がいるのだが。

彼女、れな子の言うとおり、マジ天使ですよ。

「天使」は「優しい」の最上級という認識で大丈夫かと。まあ優しいだけというわけでもないんですけど……そこも含めて「天使」なんですよね……

ちなみに『Re:ステージ!』という作品にオルタンシアという2人組アイドルユニットがあるのだが、その二人の名前が「伊津村紫」と「伊津村陽花」で、合わせて紫陽花なのだ。そして紫陽花さんは彼女らに似ている優しさがある。
(アニメ『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』はTOKYO MXで再放送中、各アニメ配信サイトでも配信されています)

で、第三章では紫陽花さんとれな子がデートする。
いやー本当に天才。よくぞこのシーンを書いてくれた。みかみてれん氏は神だったかもしれない。この二人のシーンが続いてくれたらなぁとまで思った。そうはならないけど。
公式がれな子と真唯をカップリングだと公言しても、自分の中ではれな子と紫陽花さんがゴールインした。

先程れな子を「好き」ではなく「推せる」と表現したのはこのためだ。れな子の隣には紫陽花さんがいてほしい。二人仲良くゲームしたり、お互いの家に行ったりしていてほしい。そして早く結婚しないかな。脳内ではしたのにな。

ちなみにですが、紫陽花の花言葉は「浮気」です。ふふふ。

話は変わるが、「わたなれ」は「ありおと」ほど濃密なエロが存在しない。が、その分日常の描写が多くなっており、きららやキューンが主な供給である自分にとってはかなり入り込みやすい作品となっていた。
百合作品初心者の方は「わたなれ」→「ありおと」の順で読んだ方がいいのかもしれない……
まあ自分は発売日の関係で逆だったのだが。どちらからも楽しめる、素晴らしい作品たちになっております。是非お読みください。


終わりに:より良い人生のための「知識」を得るために

このあたりで、2作品に共通している点として、本の表紙をめくったところにある作者コメントについて触れたい。
2冊とも、そこの最後の一行にはこう書かれている。

大丈夫、みかみてれんの百合本だよ!

「ありおと」を読み始める前、この文読んだ時はふふっとなる程度だったのだが、その1週間後に「わたなれ」のこの一文を読んだ時、「あっ……これは安心だな」と思った。信頼度が尋常じゃない。
というか、これはもっと前面に押し出して良いと思う。フ○ミ通の攻○本よろしく、帯に書いても良いと思いますよ(誰に言ってるのか)。


さて、総まとめ。

2月に発売された『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 』の2作品は、本当にめちゃくちゃ面白かったし、間違いなくオススメしたいラノベのひとつ(ふたつだけど)になった。このレベルのラノベはなかなか出会えないので、オススメしたい欲が非常に強い。布教せねばなるまい。

で、今回ライトノベルという媒体を通じて「百合」に触れたわけだが、実は現実世界においても色々なものが百合に変換できたりする。そしてそれによって、人生がより良く、楽しいものになったりする。

様々な媒体で展開されている多様な“百合”を求め、それを享受し、得たものを用いて現実世界において楽しみを見つけることで、より良い人生を送ることができる、というわけだ。

(いや、なんの結論だよこれ……)

とにかく!
百合は最高!ガルコメ最高!みんな、みかみてれん作品買おうぜ!以上!!!


おまけ:宣伝のコーナー

みかみてれん文庫版の『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』は、Kindleで読むことができる。またみかみてれん文庫版はKindle Unlimited 読み放題対象作品なので、そちらに登録すれば関連作品も含めて読むことが可能だ。

Amazon.co.jp: 女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話 (みかみてれん文庫) eBook: みかみてれん, 雪子: Kindleストア

あと、原作みかみてれん先生、漫画をろうか先生が担当している月刊コミックキューン連載の漫画『おとめバレ』作品紹介ページはこちら。試し読みも可能だ。

おとめバレ | コミックキューン 公式サイト

以上、宣伝のコーナーでした。記事も終わりです。お疲れさまでした。

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