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サブカル快楽主義を語る人間は、女子校の選挙を知らない

何度も書いているように、私は思春期にイギリスのパンクにかぶれていた(今でも)影響からか、選挙権を持って以来このかた”投票”を欠かしたことがないのです。「公明党をよろしくお願いします」と遠路遥々訪ねてきた方に「マリコチャンも大人になったら公明党に入れてね」とにっこりされた時も「いいえ、私は共産党に入れます(キリッ)」と返してしまって苦笑され、帰った後に親に空気を読めと怒られたこともある。んなもん知らんがな。まあその時は”公明党”とはなんたるかを知らなくて、ブスッとしてたらちゃんと党のコンセプト(?)を教えてくれたので、親には感謝していますけど…。

KNOW YOUR RIGHT

成人してからも「ロックやパンクが好きなのに選挙なんて行くの?真面目だね」といいトシこいた大人に言われたりしたことは一度や二度じゃないので、ますます大人って馬鹿だなァ(ジブンも成人しとりしますがな)と思ったり、あと(小泉政権の頃からですけど)与党の政治家が総じて馬鹿に見えていたので、こんな人間がエラそうにしとる上に庶民の納めた税金で金持ち生活(かつ、元から金持ちの輩も多い)をしているのかとムカついてしゃあないので、呪いを籠めて投票に行っていますね!選挙だけでなく地獄に落ちて欲しい。

そういえば”選挙”について面白い思い出があるので今回はそれについて書いてみます。

私はカイル

手前(てめえ)は中高一貫の某私立女子校出身なのでござすが、中学生の頃に生徒会で会計という職についておりました。現在のニイサンを知るみんなたちは信じられんかもわかりませんが、本当です。えっと…、私は割と顔が広い系というか、まあコミケ行ったりなオタク、が主軸ではありましたけど、文化系、体育会系、優等生系、窓際系(?)、etc…筒がなく色んなジャンルのお友達にお喋りして貰ってました。多分そういう認識。んで、中学2年のときに文武両道系(ソフトボール部)の優等生、Jというコに、”私は生徒会長に立候補しようと思っていて、ニイチャンも会計か書記か、職に立候補してくれまいか”と相談を持ちかけられたのです。副会長に立候補しようとしているH(体育会系でJとは仲良し)と共に、色々とやっているのよ、と、一冊のノートを見せてくれました。そこには、『中等部の指定鞄のデザインを変える』という計画が書かれていたのです。

高等部に入ると鞄は自由になるのですが、中等部はめっちゃ重くて、あんまり物も入らない、斜めがけの変な合皮の指定鞄の使用が義務付けられており、ただ生徒の中には、ビリビリに破いて縫い直したり、バッジやワッペンをつけたりカラフルなペンで『GLAY命』『V6命』『YUKIちゃん命』などを意味する文句を書きつけるなどという猛者もいましたが(それは特に咎められなかったのでまあまあ良い学校ですよね)、かつ、教科書は必ず持って帰らねばナラヌ、という決まりもあり、その指定鞄をパンパンに膨らませて登校していたのでした。ちなみに私はガンズ&ローゼズのダフ・マッケイガン(おやイギリスのパンクぢゃないぞ?!セックス・ピストルズのバッジは落としたらイヤだからつけてなかったのヨ)のソロアルバム(命ってほどじゃないがファンでした)

(ディスク・ユニオンで300円。こういうのはなんでか忘れないね。)のオマケについていたステッカーを貼っているという猛者でした…。

『指定鞄は学生だからしょうがないけど、もっと軽くて沢山入るものに改良するべきだと思わない?先生に掛け合ってて、今度教室のみんなにもアンケートを取ろうと思ってるんだ。』とJちゃんは言いました。『そんなんで変わるの?てか先生ともう話してるってどういう意味??』とちんちくりんな私は不思議でしたが、その先生との面談にも連れてってくれたりとか、話し合いに入れてくれたりとかして。そういうのはちょっと楽しかったし、こんなことしながら成績はいつもトップクラス、爽やかで、ハードなソフトボール部で、とんだ化け物もいたもんだと思いました。しかし、なんでまた、オタクで、成績もビリケツで、先生に反抗的な自分を生徒会に引き入れようとしているのだろう、この化け物は…と、理由を聞いてみたところ、『なんか私とHだけだとみんな引いちゃうっていうか…、ニイチャンが居るとバランスが良くなる。下級生にも人気だしね。』と普通に言われたのです。最も驚いたのは『優等生な自分が前に出ると反発を喰らう可能性がある』という冷静な感覚でした。暗にそういう意味だったと思います。会計と書記は立候補する人も別に居ないと思うし仕事もみんなで手分けしてやれば良いし、仲良しのコを誘ったら良いじゃない、Kちゃん(オタク)とか。と言って笑っていました。

これはとても重要なことなのですが、生徒会室にはなんと!!!自由に使えるコピー機が置いてあるのでした。お小遣い制生活の真っ只中、しかしタダで同人誌やフライヤーまがいのものを作ることが可能。不安はありましたが、そのKちゃんに相談して二人一緒に立候補を決めました。コピー機使い放題ですよ。つまり私達は利権に吊られたわけです。最低ですねこんな人を選挙で通してはいけません

自由を舞う薔薇のように

まあ立候補とはいっても、やりたがる人なんて基本的にいないので、この面子で生徒会になるのかな〜、と思っておりましたらば、なんと突如生徒会長に立候補した猛者が現れたのです。彼女はSという、一言で言うと、”オタクのカリスマ”でした。ビスク人形のような可憐な顔立ち、裁縫とパソコンが得意なアトラス命のゲーマーでありコスプレイヤー、そして数学の成績が異常に良い、という文芸部の女子。漫画かよ。彼女とも仲が良かった(今でも付き合いがあります、たまにとあることでバズってるよ!これは読んでないと思うけど、やっほ〜!元気?)ので、驚きはすれど嫌な気持ちには全くなりませんでしたが、彼女は少女革命ウテナの大ファンでしたので、

まあそういう理由からだろうな、と思ってますけど、違うかな?聞いたっけ?覚えてないけど、多分そうだよね??

一応選挙演説の場も設けられており、主に下級生からの黄色い声にしどろもどろな自分(所謂女子校の男役だったもので…)はさておき、その『鞄改良計画』を実行に移したことも含めて、将来の展望をしっかりと語るJちゃん VS『みなさま、ご機嫌よう』という冒頭の挨拶からキャッチーなカリスマSちゃん。でも私は、まあ真面目なJちゃんが普通に通るだろうな、と思っていました。絵にかいたような生徒会長だもんね。嗚呼、華の生徒会。勿論、確か高等部も含めてだったかな??全校生徒が投票をします。

結果、生徒会長に選ばれたのはカリスマのSちゃんでした。

副会長のHちゃんも漫画好きのオタクだったので、パソコンとコピー機のある、寒い暑いな掘建て小屋の中学生徒会室は晴れてオタクの巣窟となったのでした。…やったことはね、伝統的な中学生徒会主催の催し物をさっぱり辞めて、もっとファニーな催し物を開催したり(餅つき大会とか、大声大会とかね!舞台で好きなことを絶叫してスッキリする、というだけの催し。オタク…)…とか、まあおもしろおかしく過ごしたのだけど(会計もやってたよ!部活の予算の振り分け決めたりするの。ちゃんとやってたつもり!)もうじき36歳の今でもちょっと思うんです。もしJちゃんが生徒会長だったら、どんな日々だっただろうな〜、って。
そんなわけで、Jちゃんが誘ってくれたのに、ちんちくりんな私(とK)が生徒会入りしてしまった…と思って、なんだか微妙な気持ちになって、(アンケートもちゃんとやって意見書を提出していたんだよ!!!マジで凄くない?当時14歳とかだよ…)鞄の計画もどうなるのかな、と思いながら敗退した彼女に恐る恐る話しかけると、『やっぱりSちゃんはすごいインパクトだもん、流石だね。鞄は多分変わると思うし、こんなきっかけもなかったらやらなかっただろうから良い経験になった、頑張ってね。』と最後まで爽やかでした。

次の年だったかな?ひっそりと、本当に鞄は変わったのです。私は買いませんでしたが(チーン)、自由な鞄を持って良いはずの高等部になっても、その鞄を持っている生徒もたくさん居ました。彼女の暗躍は特に紹介もされなかった。みんな覚えてるかしら?アンケートを作ったり、聞き書きをしていた彼女の姿を。こういうの表彰とかしろよ、てめーらの好きな”自主性”じゃねえか。使えねえなセンコー共はよ、と私は思ってましたね…。これは20年以上前の、中学校、というちっちゃな、平和な世界での出来事で、別に誰がなろうと、たった一年の学校生活が超過ごしやすくも、超最悪にもならなかったでしょうけど。とても印象的かつ、大きな学びがありました。私はやっぱり、今は世界的に大変に不安定な世の中ですから、Jちゃんのような人間に長(おさ)になって貰いたいです。安定したらね、Sちゃんみたいなタイプも素敵だと思うよ!!!楽しかったよね〜、生徒会。あの時は色々どうもありがとう。マジでコピー機と戯れてばかりの会計でした。スマン!!!

たとえ二人 離ればなれになっても

ちなみに、一緒に生徒会で会計コンビとして活動したKちゃん、というのは、HOMMヨのフライヤーやグッズのデザインもしてくれている同人漫画作家の市川芯子さんで、気が狂ったような同人誌を気が狂ったように作っている化け物のような人間なのです★ゆる〜く一緒になんかやり続けているので、コピー機乱用の日々は終わっておらぬのでござる。ワルよのう…


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