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「二人目不妊」の原因を考える

「不妊ルーム」を開設して4〜5年を経たあたりから、第一子を授かった女性が、二人目を希望して来院するケースが増えはじめました。

しかし、一人目を20代で産んでいるのであれば、二人目で苦労するケースはそんなに多くないのですが、1人目を30代半ばで産んだ人が数年経ってから再度来院されると、苦労する「二人目不妊」が多いのです。


二人目不妊の原因① 卵子のエイジング

一人目が産まれると育児ということがはじまりますから、多くのカップルは二人目どころではなくなります。そして、子どもがヨチヨチ歩きをはじめ、幼稚園、保育園に入園したあたりから、二人目をと考えるカップルが多いのです。そうすると、4〜5年という歳月があっという間に経ってしまいます。

一人目を30代半ばで産んだのであれば、二人目希望での来院が40歳前後ということになります。しかし、女性は35歳を過ぎたあたりから、卵子の老化(エイジング)ということが問題となってきます。ですから私としては、一人目と二人目の間隔をあまりあけないことが知恵のひとつだと思っています。

「不妊ルーム」に来院されている女性は「卵子のエイジングということがわかっていれば、もっと早く2人目に取り組んだのに……」という話をよくされます。子ども持つことは、ファミリープランニングではなく、ライフプランニングと考えたほうがよいのです。


二人目不妊の原因② 離乳のタイミング

さらに来院されている女性の話を聞いていると、妊婦さん、新米のママさんをサポートする保健師さんなど、まわりの人たちにも少し違和感を覚えます。

一昔前までは早期離乳といって、断乳、乳離れを早くするようすすめてきました。しかし最近はスキンシップの大切さが強調されているのでしょうか、子どもが欲しがらなくなるまで母乳は与え続けたほうがよいという考え方が主流になりつつあるようです。

そうした場合、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が問題となってきます。プロラクチンの高い状態である高プロラクチン血症は、不妊症の原因のひとつになります。母乳を与え続けている間は通常、プロラクチンが高い状態にありますから、妊娠しづらいわけです。ですから、長期間母乳を与え続けることは、2人目を授かることを、困難にする可能性もあるわけです。


二人目不妊の原因③ 社会性不妊

もうひとつ原因が考えられるとしたら、「社会性不妊」です。

聞き慣れない言葉だと思います。これは私の造語ですから。

卵子の老化というのは医学的な理由ですが、それだけで「二人目不妊」になるのではありません。むしろ「二人目不妊」になる理由は、男性と女性の関係にある場合が多いのです。

不妊ルーム」に二人目不妊の相談に来られた女性に、「あなたは一人目ができたときと二人目を望んでいる現在では、夫婦生活の回数は変わりませんか?」と質問すると、ほとんどの人から「激減しています」という答えが返ってきます。それはとりもなおさず、不妊の原因になるわけです。

では、なぜそうなるのでしょうか?

一人目のときのカップルは、男と女という関係でいられるわけです。セックスそのものも新鮮ですから、前に述べたセックスでの興奮度も高くなります。また回数も多いわけですから、妊娠しやすい状況にあります。

では、それからしばらくして二人目を望んだときのカップルは、どのような状況でしょうか?男と女の関係だった二人は、パパとママという関係になりがちです。そしてセックスそのものに新鮮さを見出すということも難しくなってきます。

また、女性のほうは育児に追われて、ヘトヘトだという人も多いでしょう。一方男性のほうは、社会的責任がより重い立場になっている人も多く、男女共に妊娠しづらい状況になっているといえないでしょうか?

こうした環境因子によって妊娠しづらくなっていることを、私は「社会性不妊」と名付けたのです。

「二人目不妊」で不妊治療のドアをノックしても、多くの場合「一人目不妊」となんら変わらない検査や治療がはじまります。しかし、タイミング指導で医師の指示のもとセックスすることは、ますます状況を悪くしてしまわないでしょうか。「社会性不妊」+「不妊治療不妊」のダブル不妊になってしまうかもしれません。

もしそうした状況にあるとするなら、問題の解決は医療機関にはないように思います。二人が出会った頃の新鮮な気持ちを取り戻す工夫などを心がけてみるといったことが、案外ブレイクスルーになったりするものです。


【妊娠のコツ #5】

二人目が授からない場合、「社会性不妊」になっていないか振り返ってみる。



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