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不妊治療の保険適用がもたらした変化とは『野田聖子前少子化担当大臣インタビュー』

こんにちは、アイジェノミクスのスタッフです。暑い日々が続いていますが、みなさん、いかがおすごしでしょうか。 

さて、前回に引き続き、野田聖子少子化担当大臣(2022年7月当時)のインタビューをご紹介したいと思います。第2回は「保険適用と先進医療」がテーマ。 

その模様はFM西東京にて毎週日曜あさ10:00からの「妊活ラジオ」で放送いたしましたが、もうお聞きになっていただけましたか??  
https://842fm.com/blog/ninkatsu/34379/ 

アイジェノミクスのYouTubeチャンネル「妊活研究ラボ」でもダイジェスト動画をご覧いただけます。
https://youtu.be/EMy0U957cAo 

野田聖子前少子化対策担当大臣について

野田聖子前少子化担当大臣は1993年(平成5年)の第40回衆議院議員総選挙で初当選以来、連続9期当選されています。1998年(平成10年)、当時閣僚最年少で郵政大臣に就任。以降、総務大臣や衆議院予算委員長などを歴任されてきておられます。2021年からは内閣府特命担当大臣として「少子化」だけでなく、「地方創生」「男女共同参画」についての大臣として、女性活躍、こども政策、孤独・孤立対策を担当されました。 

野田聖子大臣は米国で卵子提供を受けて体外受精を実施して妊娠したことを、週刊誌に掲載した手記で明らかにしており、また出産前から密着取材が行われたドキュメンタリーのテレビ番組も放送されていたことなどから、不妊治療に取り組まれ、出産されたことをご存知の方も少なくないでしょう。その野田聖子前少子化担当大臣にお話を伺った2回目です。 

不妊治療の保険適用が持つ意味は?

 保険診療以前の体外受精は、1回平均50万円~100万円程度かかっており、それが全部自己負担になっていました。それが今年の4月から始まった不妊治療の保険適用により負担額が3割となったことで、これまでよりも多くの人にとって検討可能な治療法になったということです。 

結婚して1年経っても子供を授からない、でも治療費が高いために不妊治療を受けない人が多かったという状況が続いていました。「風邪をひいた時やお腹の調子が悪い時に受診できるのと同じように敷居が低くなれば、不妊治療を受けやすくなる、自分たちに子供ができないと思ったらすぐに受診できる、そこに保険適用の意味がある」と野田聖子大臣はおっしゃいます。 

不妊治療が保険診療になることで、20代、30代といった、より妊娠しやすい世代の方々にも手の届きやすい治療になっていってほしいという思いがあるそうです。 

不妊治療の保険適用が生み出した変化

 野田聖子大臣によると、不妊治療の保険適用が始まったことで、20代で不妊治療を開始する方が増えているという変化が見えてきているそうです。 

これまでは不妊治療を受けていらっしゃる方々のコミュニティの中で、病院の評判や口コミといった情報交換が行われることが多かったのですが、保険診療になったことで、より多くの人に知られ、応援される治療となりました。「メンタルの上でも金銭面でも若い人が不妊治療を受けやすくなったと思います」(野田聖子大臣)。 

不妊治療の保険診療適用で考え方にも変化が必要

 保険診療では40歳未満で6回、43歳未満で3回という、女性の年齢による胚移植の回数制限、自由診療との併用ができない、また助成金がなくなるといった制限があることから、政府には柔軟な対応を求める声が上がっています。そうした中、野田聖子大臣は当事者としての経験を語られました。 

日本には血統主義のようなもの、自分のDNAでなければという、家制度の名残りのようなものがあります。しかし、自分が本当に愛するパートナーと共に家族を作りたいというのであれば、ある程度の年齢を過ぎた時に自分の血でなければならないということは諦めざるを得ないでしょう。 

「妊娠することがゴールではないと思います」(野田聖子大臣)。 

現在では第三者提供の精子や卵子による不妊治療も、厳しい審査のもとではありますが、認められる場合があり、どうしても自分の血、DNAでなければならないというのであれば、そこで待つのか、諦めるのか、その決断を先延ばしにすべきではないというのが野田聖子大臣の今のお考えのようです。 

科学的に、そして医学的にも、40代以降の不妊治療は難しいと言えます。不妊治療の対象年齢を引き上げるだけでは解決できない問題があることを、野田聖子大臣は痛感しておられるそうです。 

今後は、精子提供や卵子提供、里親制度、特別養子縁組など、さまざまな制度や環境の見直しが求められていくのではないでしょうか。 

ERA検査、EMMA・ALICE検査など、野田聖子大臣が先進医療に期待することは?

 野田聖子大臣によると、不妊治療の一部が保険診療になったことで、「不妊治療の入り口が入りやすくなること」が重要であり、100%満足のいくものではないけれど、不妊治療に取り組もうとする人たちが「これで不妊治療に頑張っていくことができる」という環境作りになったということです。 

今回の改正では、ERA検査やEMMA&ALICE検査、タイムラプスなどは保険診療になりませんでしたが、不妊治療の最先端にいらっしゃる先生方からリクエストがたくさんきたという、これらの最先端医療技術が「先進医療として認定されたことで、費用負担の軽減になる」と、野田聖子大臣はおっしゃってくださいました。 

一方、混合医療の問題については疑問も投げかけておられました。現在、保険適用の不妊治療に、先進医療と認定されている治療以外の自由診療を組み合わせた場合は、混合治療となり、保険診療を利用することができません(保険適用となるはずの治療を含めたすべての治療が全額自己負担となります)。 

混合医療についての問題は不妊治療だけではなく、全ての科における治療で起きている問題で、野田聖子大臣自身もなぜそれがダメなのか、明確な答えが得られない状況にあるのだそうです。 

しかし、先進的な治療として予防医学などが進んでいく中、「今後、この混合医療の問題についてはターニングポイントになり、検討すべき課題だ」と野田聖子大臣はおっしゃいました。 

まとめ

 妊活ラジオで行った野田聖子少子化担当大臣へのインタビュー第2回「不妊治療の保険適用がもたらした変化とは」、いかがでしたか。 

野田聖子前少子化担当大臣は不妊治療が保険診療になり、若い世代の人たちが不妊治療を受けやすくなったことに意味があるとおっしゃいました。実際、20代の受診率が増加傾向という報告も見られるそうです。 

野田聖子前少子化担当大臣が出演されたアイジェノミクス・ジャパン提供「妊活ラジオ」のダイジェスト動画はこちらからご覧になれます。 

https://www.youtube.com/watch?v=EMy0U957cAo 


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