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日記 2023.10.31(火)


今朝は朝8時から吉祥寺へ。もう1人の住人と向かった。
昨日の夜、ゆうちゃんからビビが亡くなりました、と連絡があった。ビビとは友だちのゆうちゃんの愛猫。ゆうちゃんと16年、ずっと一緒に暮らした相棒だった。うちのもう1人の住人とは一緒に住んだ時期もあり、わたしも何度も会ったことのある。ビビは大きなかっこいい猫だった。主人であるゆうちゃんの気持ちを汲み取ることができ、ゆうちゃんのピンチを救うことができる。ビビちゃん本人は自分が猫だとは思っていなかったのではないかなと思う。2人は程よい距離感で一緒に住める関係、友だち以上の関係にみえていた。ここ最近は病気をしたりしながらも力強く生きぬいた。大往生といえるのではないかなと思う。
もう1人の住人の相棒、うさぎのぬすとこぶが亡くなったときもゆうちゃんはすぐに会いに来てくれた。悲しくて寂しくてどうしたらいいか分からなかったところへ、ゆうちゃんが駆けつけてくれてものすごく心強かった。いつかビビちゃんに何かあったときには、今度は私たちがゆうちゃんを支えようそう約束していた。住人に話をして、火葬するビビちゃんを一緒に見送らせてもらうことになった。

吉祥寺からバスで深大寺のペット霊園へ向かった。深大寺の参道を通ると朝早くてまだどの店も閉まっていた。お寺の方に聞き、ペット霊園の方へ向かった。受付で手続きをして、10分くらいでお別れの部屋へ案内された。久しぶりに会ったビビちゃんは、いつものようにきれいでかっこよく、柔らかくてぬくもりも感じられた気がした。みんなで声をかけて撫で、最後のお別れをした。最後にビビちゃんを抱っこして2人の写真を撮った。ゆうちゃんは声も手も震えて静かに泣いていた。骨は連れて帰れないということだったので、毛をカットして持ち帰らせてもらうことにした。

何度も何度もビビちゃんに声をかけて別れを惜しんだけれど、ビビちゃんから声は返ってこなかった。きっと魂はゆうちゃんのそばにいるよねと、また、いつか会おうね、最後に声をかけた。

さみしさは時間だけしか癒してはくれない。そのまま帰ることはできなくて、深大寺の周辺をすこし歩いてみることにした。いつもは自分の意見を主張することのないゆうちゃんが、今日は時間が許せばこのあたりを見て回りたいと言ってくれた。今日までビビちゃんがいた部屋に帰ればすぐにまた寂しくなってしまうのだから、少しの間はビビちゃんとのたくさんの思い出を語り合って笑って過ごそう。みんながそんな気持ちだったと思う。

深大寺の境内で、わたし以外の2人はだるまのおみくじを引いた。ゆうちゃんには赤いだるまが出た。赤いだるまの意味は、勝運上昇、難関突破とある。わたしはなんだかビビちゃんからゆうちゃんへの最後のメッセージのような気がしていた。アイスクリームを買って食べ、小川にいるザリガニやアリ、蝶々を見たりした。無意識にいきものの姿をみんなで追いかけていた。半周したところで帰りのバス停に着いてしまった。バスであっけなく帰るのはどうしてもさみしすぎる。ゆうちゃんをこのまま1人にできないという気持ちもあってビビちゃんの魂がゆうちゃんのうちへ帰ってこられるように道案内をしようということで、ゆうちゃんの家の方向へ歩きながら話の続きを、ということになった。

とにかく今だけは笑っている時間を、そんな気持ちで楽しい話をした。座ってしんみりとしゃべるよりも、みんなで同じ方向を向いて、歩きながらしゃべっていたほうがよいと思った。とにかく歩いて、歩いて、ゆうちゃんの家を目指して歩けるところまでは歩いてみよう。3駅分くらい歩いたところで、タイムアップとなり、少し休憩してビビちゃんの思い出の写真を見せてもらって別れて帰った。ゆうちゃんはとっても周りの気持ちを汲み取る人なので、心配をかけないように無理をして元気を出してくれていたのだと思う。それでも帰るころには前を向いて、初めての一人暮らしをがんばります、と言えるようになっていた。

帰り道、住人と2人になって帰ってきた。しゃべったのは2ヶ月ぶりくらいだった。鍋の食材を買って、夕飯を一緒に食べた。一緒にご飯を食べたのも、本当に久しぶりだった。明後日、住人は新しい家に引っ越していく。別々に暮らすまでに話ができた。いろいろとこれまであったことを話した。
ゆうちゃんともう1人の住人と、わたしと。わたしたち3人は不器用なところ、周りの気持ちを汲み取りすぎてしまって勇気がでないところ、よく似ている。性格も趣味も、あんまり似ていないのだけれど、言わなくてもなんとなく、理解し合えて支え合える。

今日、またビビちゃんが繋いでくれたこの縁を大切に、これからも友だちとして助け合っていきたいと思う。

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