日記　2024.4.5(金) 静かな時間、ふるえる感覚を探す

頭が重い。光と音とにおいに敏感な昨日をまだすこし引きずっている。体がまだ横になれと指令を出している。横になっているのも体力を使うからそのうちいやでも起きたくなってくるだろう。それまでは横になってじっと天井を見たりして過ごす。今日もくもり。

しっとりした部屋の中。頭は重いけれどなんとか起き上がり鏡を見る。昨日よりも落ち着いた顔の赤紫の斑点。志村けんのコントかと思うくらい大袈裟におばあちゃんメイクを施したみたい。ちょっと意地悪そうにも見える。かわいいおばあちゃんになりたい。これまでのわたしのさみしさや人や自分への意地悪さがこの肝斑とシミとなって現れているような気がする。

お腹が空いてきて起き上がる。何にもほったらかしにしていたから部屋の中がごちゃごちゃになっている。ひとつひとつ片付けていこう。吊るしっぱなしの洗濯物を畳んで片付ける。台所もしんとしている。ストックのご飯もなし。ご飯を炊こうとお米を洗う。今日は少しだけ水にかしておいてもう炊いてしまおう。ぬか床は昨日も放置してしまったので酸膜酵母がはっている。スプーンで取り除いてよく混ぜる。にんじんをたっぷり漬けてみる。冷蔵庫に入れてみよう。ぬか床をかき混ぜている間に頭は少し軽くなってきた。今日もうちで過ごそう。その方がいい気がする。

家の中は安心安全。コンビニで袋ラーメンを買ってくる。マスクをしたらすっぽり斑点は隠れる。無駄に人を驚かさないようにしたいし、紫外線にも当たらない方がいいみたいなのでちょうどいい。ご飯を炊いて蒸らしてしている間にお昼ご飯を食べる。袋ラーメンはやっぱり辛ラーメン。干し大根の皮、干し椎茸、間引き菜をもさっと入れたラーメンにする。あつあつで汗をかく。朝と夜、ビタミンの薬を飲むことになっていた。食後に飲むと強烈な眠気に襲われる。普段薬を飲まないのでものすごく効いてしまうのだろうか。だめだ、眠たい。マットレスにどさっと横になりヒーターに足を当てて2時間くらいぐっすり眠ってしまった。

今日は昼間も夕方みたいに暗い。カーテンを閉じているとずっと夕方みたいに感じる。空気も冷たくて動きも鈍い。近ごろずっとどこかにさみしさを抱いている。大好きなひとりの時間に安心するのは変わらないけれど、ずっと寂しさもある。頭の中の動きも鈍い。こんな時は体や手を動かすしかない。ご飯をポーションしてほうれん草のポタージュを作る。蒸してから冷蔵庫に放置してしまっていた。今日は流石に調理しないとだめになってしまいそう。何度も何度も繰り返し作っているほうれん草のポタージュがたまらなく大好きだ。夕飯をポタージュにするとすこぶる調子もいい気がしている。朝の空腹感も心地よい。今日は美味しいバゲットもあるから少し焼いて浸して食べる。なんというしあわせ。美味しい。思わず声が出る。体や手を動かしているうちに思わず顔や声が反応する。そんな時を見逃さないで感じていく。

いまは考えるよりも感じたい。うまく言葉にはできないけれど楽しさやふるえる感覚を探している。明日はちょっと美術館へ本物に会いに行こう。誰かの気持ちを感じてみたい。