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自宅で死ぬための大会議 ② 家で死ぬにはどうすればいいのか?

 家で死ぬには、しっかりした 在宅診療所に診てもらえることと、適切な介護が必要、そのために丁寧なケアマネさんの確保が大切ですが、地域によるばらつきが大きいようです。
 
 石川:父を看取ったのは、静岡県伊東市・・・典型的な地方の都市です。必要な医療や介護にアクセスできず、途方に暮れる。それが地方の現実だと思いました。
 山中:本来、在宅診療所の目的は、重症で病院に通うのが困難な患者さんを「24時間365日」の体制で最期まで看取ることです。しかし全国に1万カ所以上ある在宅診療所のなかには、緊急時に緊急コールをしても「救急車を呼んでください」と告げられるだけのなんちゃって在宅診療が混在しています。在宅診療の高い診療報酬目当てで跋扈しています。在宅での看取り率が70%を下回っている診療所は要注意です。・・・地方だけではなく、都市部でも同じ状況にあります。
 
 こんなケアマネには要注意
 甚野:ケアマネージャーの吟味は非常に重要ですね。ケアマネは、1カ月に使える介護保険の支給限度額が決まる要介護認定を受けた際、どのような介護が必要かを考えてくれる専門職です。近所の居宅介護支援事業所に電話してやってきたケアマネとそのまま契約する人が多いと思いますが、違和感を覚えたら、合う人を探したほうがいい。母のケアマネ選びも私が同席するようになり、現在は4人目です。
 三砂:父を看取った時、当初は遠距離介護だったのですが、ケアマネさんが非常に気の合う人で、とても頼りになりました。
 石川:全く同感です。あのケアマネさんがいたから、難しい環境にあっても、最期まで家で父を看取ることができたと感謝しています。
 
 介護業界では、「囲い込み」「ひも付き」があり、ケアマネが特定の業者と結びついている場合もあるので、その辺も要注意とのことです。
 
 求められる家族の覚悟
 三砂:主人は末期癌と診断され、訪問介護の草分けのお一人である新田國夫先生の元に駆け込んで「僕は家で死にたいです」と言ったら、「それはあなたの問題ではなく奥さんの問題です」とおっしゃったそうです。結局は家族との関係性が如実に現れてきます。関係性のよろしくない家族なら、最初から家で死ぬのは諦めた方がいいかもしれません。
 山中:家族の関係性がよければよいで、「私が全部できるので」と介護の負担を抱え込む人がけっこういるので悩ましいところです。・・・ちなみに私たちの患者さんの約半数は完全独居で、重症度の高い寝たきりかつ認知症の方も多い。地域の条件さえ整えば、家族がいなくとも家で死ぬことは可能です。
 
 とは言っても、私の場合、ここ人形町でご近所さんと親しく良好な関係を作るのは難しいだろうから、独居での在宅死は現実的ではありません。

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