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やわ肌の・・・・

 文芸春秋8月号の、昭和100周年記念大特集、
―総力特集―「昭和100年の100人、激動と復活篇」が興味深い。
 
 以下が冒頭での特集の紹介
来年2025年、日本は「昭和100年」を迎える。昭和は遠くなりにけり-----しかし、私たちはいまだに昭和の光と影を背負っている。昭和元年から戦争を経て、昭和35年の安保闘争、高度成長の黎明期までを100人の忘れがたい人物とともに振り返る。
 
 天皇家、政治家、軍人、文人、学者、スポーツ選手、芸能人等、誰でもが知る多彩な人たちを、その人を良く知る人、縁者が人となりを2から4ページ程度で述べている。昭和天皇に始まり、最後が皇太子妃美智子、きりがいい。
 
 全てを真面目に読むにはかなりな労力を要するので、取りあえず、目についた人を拾い読みするが、先ずは、与謝野晶子さんが目につく。彼女(1878年~1942年)は、歌人、作家、思想家。同じく歌人の与謝野鉄幹さんと不倫の末に結ばれた話はよく知られている。
 
 孫で詩人の與謝野文子さんが、いろいろ書いているが、最後の部分を転記すると・・・・
 昭和二年(1927年)に(与謝野晶子さんが)書いた「中元雑談」というエッセイで、めずらしく霊魂の不滅といったテーマに触れながら、「私は自分の霊魂に執着しない。肉体の解体で霊魂の活動は止むと思っている。神道や儒教が現世の幸福を目標とし、死後の世界を立てなかった点は、此の意味から私を喜ばせる」と述べている。・・・
 文明の中には・・・過去や未来のとてつもない長いスパンを構想させた例がある。仏教を美しく奥深くする深遠である。いっぽうもう少し人間もしくは花の寿命の単位で祖母は考えたのではないかと想像したりする。
 
 与謝野晶子さんの歯に衣をきせぬ言動、現実を見つめる姿勢を鑑みて、成程と思う。
 
 彼女の処女歌集「みだれ髪」は鉄幹との不倫真中、女性の官能をリアルに歌っている。表紙について彼女は以下の如く記している。
「この書の体裁は藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪郭は恋愛のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩をい意味せるなり」

歌集「みだれ髪」の表紙

 なかに、有名な次の歌がある。
「やわ肌の あつき血潮に ふれも見で さびしからずや 道を説く君」
やわ肌に触りもしないで、道を説く鉄幹に文句を言っているのだが、鉄幹は、不倫は人の道から外れていると説いている・・・・らしい。
 
 その後、不倫は成就して正式に結婚し、子供を12人産んでいる。 

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